感想『プロペラオペラ 1巻と2巻』
犬村小六著(小学館ガガガ文庫)
あらすじ
極東の島国である日之雄の第一皇女であるイザヤ18歳には皇女であるのと別に、空を飛ぶ戦艦である重雷装飛行駆逐艦「伊吹」の艦長でもあった。乗組員はみな彼女のファンであり、ほかの艦とは全く違う雰囲気の伊吹。そこに、物語の主人公であるクロトが乗り込んでくる。
クロトはかつて黒之家という皇家の血筋を組んでいたが、小さな頃に幼なじみであったイザヤに「俺が皇になるから、俺と結婚しろ」とプロポーズ。これを「国家転覆を企てている」と捕えられ反逆罪で皇籍剥奪となり家族と共にガメリア合衆国に逃れることになる。
ガメリアでは苦労しながらもウォール街随一の相場師に成り上がっていたクロトだったが、そこで彼は「やがてガメリアを牛耳っており、やがて日之雄にとって強大な敵になる人物」に出会う。
その後、日之雄に戻ってからは「あの怪物から国を守るため」といって軍人になり、幼なじみであるイザヤの船に参謀として乗り込む。
美少女艦長と天才参謀が織り成す、犬村小六氏の十八番ジャンル「恋と空戦」の物語。
感想と自分語り
犬村小六先生はヤナガワが作家買いをする作家さんの1人です。映画化した『とある飛空士への追憶』を初めとした『飛空士シリーズ』や、『やがて恋するヴィヴィレイン』などが代表作として上げられます。この作家さんの代名詞といえば「恋と空戦」。戦争という極めて厳しい環境で語られるボーイ・ミーツ・ガール、恋の物語はとにかくロマンチックです。
本作もその要素は健在、お互いに惹かれ合う部分はありながらも、常に言い合いをしているふたりを見るのはなんだか微笑ましいです。だけど、それもいざ戦争になるとスイッチが切り替わります。クロトはその才能を戦場で遺憾無く発揮し、イザヤも高い統率力を見せます。
そして、普段はいがみ合っていても、戦いになると立ち現れてくる2人の絆の強さが物凄くいいです。時には本音が出ることも……
そして敵のキャラクターもまたいい。戦場に立つものは皆誇りをもっていますし、当然本気です。だからこそ、ぶつかり合う戦場という場の熱量が強いんです。
やっぱり犬村小六先生の作品にはハズレがないですね!
昨年下半期から今年にかけて出た新作の中でもトップクラスの面白さだと思うのでみなさんぜひ読んでみてください!
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