つなぐもの

勝利だギューちゃん

第1話

「やあ、元気?」

目の前に、女の子が現れた。


とても、かわいい。

(俺の基準だが)


でも、思い出せない。

会ったことあるか?


「どうしたの?・・・くん」

俺の名前を口にする。

彼女の人違いでは、ないようだ。


彼女は俺を覚えている。

でも、俺は彼女を覚えていない。


でも、会ったことあるような気がしないでもない。


なので、俺は失礼ながら、口に出してみた。


「どちらさまでしたっけ?」


彼女は落胆していたが、すぐに笑顔になった。

そして、自分の名を告げた。


「私よ、ゼル。天使のゼル。君が一度死んだ時、会ったでしょ?」


たった今、思い出しました。


かなり前に、俺が目の不自由な男性をかばい、一時的に死んだ事がある。

その時に、世話になったのが、このゼル。


以前は、ちょくちょく来ていたが、久しく会っていなかった。


「ゼルか・・・久しぶりだな」

「うん。元気・・・じゃないみたいだね」

「まあな」

「コロナ?」


俺は頷いた。


「実は私も、その事で来たんだ」

「なぜ俺に?まさかコロナが原因で死ぬとか?」

ゼルは、首を横に振る。


「『君はまだ死んではいけない。』前にそういったよね」

「ああ、覚えてる」


でも、なぜいきなり現れる。

連絡ぐらいしろ。


「私たち、スマホ持ってない」

「必要ないしな」

「でも、トランシーバーならあるよ」


いつの時代だ。


「コロナはね・・・」

「まさか、神様の人類への警告とか言うんじゃないよな?」

「違うよ。コロナは神様も無関係・・・っていうか・・・」

「いうか?」

「冥界も、コロナ問題で被害者が出ているの?」

「もう死んでいるのにか?」

「その魂も、打撃を受けているの」


死んだ後も、安らかになれないのか?


「で、俺に頼みとは?」


ゼルの言葉を待った。

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