第3話 生命体の突然変異
「オハヨウ、メイ」
「チ、チトセ」
メイが何に驚いているのかボクにはいまいち理解できない。 ボクはただ体がスムーズに動ける練習をしていただけだが。
「浮いてるよ?」
そんな馬鹿なと自分の下を見てみると確かに浮いていた。 ただ、ボクの中では浮くことは出来ても動くことは出来ない認識だ。
「ボクハウクコトデキル、デモ、ウゴケナイ」
「そんなことないでしょ」
「ホント」
メイはまたまた~と言ってボクの体をつつく。
メイ自身はボクはスーパーヒーローみたいに飛んで動く認識みたいだがそれはフィクションの世界でそんなことが出来る生き物は哺乳類ではコウモリぐらいだ・・・・・・あれ?
「ほら動いてみなよ~」
少し苛っときた、なら動いて驚かしてやる。 ボクはそう思うと触手をタコみたいに動かして体を動かした。
あれ? 動く?
そんなことあるはずがない。 空を飛ぶ生物は長い年月を掛けて空を飛ぶ能力を手に入れたのに新参者のボクがこんなに早く獲得できるはずがない。
ボクは博士になった気分で考えているとドアをノックする音が聞こえた。
「メイ、早く起きないと遅刻する・・・・・・チトセ?」
あの冷静なタケルでさえも間抜け中をになった。 さすがはタケルこのことも想定「やはりあの部分が原因か」あれ?
タケルは僕の考えの真逆の答えをした。
「あの部分?」
メイも気になったのかタケルに質問する、しかしタケルには答える気配もなくむしろやらかした顔になった。
「この話は明日にする、メイは早く用意して学校に行きな」
タケルはそういうと部屋を後にする。
「チトセ」
「ウン?」
メイはボクを持ち上げ抱きしめる。
「たとえあなたが危険生物の一つで闇の組織の標的になっても私はあなたを守るから・・・・・・!」
何言ってんだろこの子? でもボクを守ってくれると言ってるからそう悪くない・・・・・・。
「そして闇の組織に追われ、最終的に追い詰められ逃げ場がなくなった時兄さんがまさかの闇の組織側で私の前に現れチトセを渡せと言ってくる。 その絶体絶命の中貴方が覚醒して兄を倒し私を救う・・・・・・いい話ね!」
「・・・・・・」
何ていえばいいのだろう。 ボクはあまり物語に興味はないのだが聞くだけ無駄と心も中で思ってしまった。 でもそれもいいのではと思ってしまう自分がいるためメイに影響されてるとつくづく思った。
・・・・・・いや自分の兄殺すな!。
「じゃ行ってくるね!」
メイは制服に着替え学校に向かった。 ・・・・・・今日何しようかな?
これまではメイが帰ってくるまで勉強とリハビリ(実験)だったが今日は何も言われていない。
そういえば前にメイが部屋にある本なら見ていいよと言っていたから見てみよう。
ボクは慣れない空中移動でメイの部屋に向かった。
「ん?」
メイの部屋にある本は教育関連が多く、たくさんの言葉が覚えれるとタケルは教えてくれた。 でもね、文字って何? ボクはそう思いながらメイの本棚から外側に茶色のカバーが付けられた本を何冊か取った。 ページをめくってみると訳の分からないものがたくさんあった、あとでタケルに教えてもらおうかな。
そんなことをしているとあっという間に時間が過ぎ、昼ご飯の時間帯になり、タケルが部屋にやってきた。
「こんなところいたのか。 ご飯できてるぞ」
「うん」
ボクの返事にタケルは感心したのか頷く。
「発音とかだいぶ良くなったな」
「うん、メイの本(嘘)のおかげ。 あとこれメイの部屋にあったもの、よくわからない」
「これ・・・・・・年頃だから仕方ない。 直してきな」
「はーい」
ボクは言われた通りに直しにいくととタケルは「メイにこんな趣味が・・・・・・」とぶつぶつ言っていたが聞かなかったことにしよう。
リビングに着くと今日のご飯はやはり質素でボクのご飯は勿論タコ、あと硬そうな何か。
「ねえ、これは?」
「それ? あぁ、これは貝と言って海の生き物だ。 硬いがお前の成長に不可欠だから食べてくれ」
本当においしいのかなと食べてみた・・・・・・丸のみだから硬いのかよくわからない。 もう一口に入れてみるがそのまま飲み込む・・・・・・」
「あ、すまんお前歯生えてないからどっちでもよかったか」
「歯?」
何を言ってるのかさっぱりだったが別にいいだろう。 ボクは大好きなタコを食べて本を読みにメイの部屋に戻ろうと上の階に行こうとしたがタケルに止められた。
「どうしたの?」
「いや、お前が何故飛べるようになったのかの説明をしようと思ってな」
あぁ、朝の話か。 ボクが頷くとタケル話を続けた。
「お前が飛べるようになったのは恐らく遺伝子の突然変異だ」
突然変異?
「まだお前の遺伝子を調べていないからまだはっきりとしていないが初期の塩基配列から見て飛ぶという動作の情報が入っていないからだ」
タケルはそういうとボクの前にタブレットを出して説明した。
「まずお前の誕生だがかつて母が見つけた細胞から作られている。 しかしは母はマスコミと同僚からありもしない捏造疑惑を突きつけられまた科学者としての資格を完全にはく奪され精神的に参ってしまった。 その時の俺は十六歳だった」
タケルの表情がだんだん暗くなる。
「その時メイは五歳で父は俺が生まれたと同時に他界。 母は一人でやってきたからそのストレスもあったのかもな。 その母も病室で自殺したとされている」
「されている?」
「・・・・・・聞かなかったことにしてくれ」
タケルはそういうと立ち上がった。
「この話はメイに言わないでくれないか」
「うん」
タケルはありがとうと言いそのまま研究室に戻った。
タケルの母はいったいどんな人だったのだろう? ボクは気になってメイの部屋で資料探しをした。
「う~ん、どこにもない」
メイの部屋を暴くだけ暴いたが本以外何もなかった。 ていうかタケルは本を読めばわかるって言ってたけどそもそも文字読めないから意味ないんだよね、どうしよう。 もう最終手段だ。タケルの部屋に突入しよう。 もしかしたら別の行動があったのかもしれないがボクの中ではこれが一番だ。
ていうかタケル部屋は一体どこにあるの? ・・・・・・全部の部屋を回ってみよう。 ボクはタケルの部屋を探すことにした。
「カテル~」
「タケルだ、どうしたんだ?」
やばい、調子に乗って名前を間違えた。 でもそんなことはどうでもいい。 今は部屋に入ることが優先だ。
「部屋に入れて~」
「いいぞ、ほら」
タケルは普通に通してくれた。 え、いや、ボクはこんなことは予想もしていなかったし、てっきり今はだめだと言われるばかりに・・・・・・もういい、入ろう。 ボクはそのまま部屋に入った。
タケルの部屋は広く、中にはボクが入っていた容器など、色々な機械などが入っていた、寝るところは・・・・・・ない。 いや、どこで寝てるんだ。
「ねぇ、どこに寝てるの?」
「俺か? あそこだぞ」
タケルが指をさした先は簡素なベッド一つ。
「・・・・・・痛くない?」
「あぁ、意外にも気持ちいぞ」
なるほど。
では、そろそろ本題に入ろう。
「ここには何でいろいろな機械があるの?」
「これは母が研究所に育児で来れないときに研究できるような施設を家に作ろうと言って作った部屋だ。 機械は本当に必要最低限の物しかないし、あると言っても細胞増殖装置、DNA解析装置、最後は隣のトレーニングルームだけだ」
・・・・・・母金持ちじゃない? 普通の家庭なら研究資料作成だけの人が多そうだけど、まさか施設を作るとは思ってもいなかった。
「言って研究所が古くなっていらないといったものを勝手に持ってきただけだがな」
「・・・・・・窃盗」
いや、何してるの? そしてタケルは何で誇らしげな顔をしているの?
「まぁ・・・・・・父の祖父方が政治家の家系だったのもあるのかもな」
政治家・・・?
「いや、そんなことよりどうしたんだ?」
「あの、タケルの母について聞きたくて・・・・・・」
「そうか」
タケルは椅子に腰を掛けため息をついた。
「・・・・・・俺の母は時代の先に進みすぎたんだ」
ボクは息をのんだ。
タケルの説明によれば母は国立の研究所の責任者の一人でかなりの権威を持っていた。
しかしある時母が生物のクローンを正確にそして視覚的に作れるようにしようとDNAプログラムなるものを提唱した。 どのような原理かと言えばまずある個体の生物の種・受精卵・卵を専用機器に電子化して保存する。 その中のあるDNA情報を数値化しその数値を変えることでDNAの遺伝子組み替えをし、出来たら遺伝子テレポーテーション技術を使い具現化し、それをモデルとした生物の創造・改造を行う。技術を完成させた。
そしてそれを扱える人材としてDNAプログラマーなるものを提唱したのだが。
だが、それを提唱してから生命に対しての侮辱だと連日マスコミと過激派・環境団体・愛護団体に叩かれ、挙句にタケルとメイに危害を加えると脅され辞任を迫られてしまったんだ。
だけど母はやめた後も副業で投資をして生活の糧を稼いでくれ。そして子供たちの前ではずっと笑顔でいてくれた。
・・・・・・ある日母が買い物から帰ってこず、その日の家事はタケルがやり次の日の朝に母が死んだことが病院より告げられた。
タケルはメイと共に亡き母のもとへ言ったが医者からは見ないほうがいいと言われたがタケルは自分だけと医者に頭にこぶができるぐらい下げ入室してみたのだ・・・・・・。
変わり果てた母の姿を。
母の姿はまるで頭から灯油をかけられその後火をつけられた可能性があると医者が言っていたがタケルはそんなはずないと現実逃避をしようと必死だったが出来なかった。
母の遺体はその日に火葬されその後親戚たちに連絡しメイには過労で疲れて間違えて空で起きってしまったと伝え。親戚たちからは慰められたが彼はメイのことでいっぱいだった。 自分は高校生でもメイは5歳どうしようかと悩んでいたがその時幼馴染の男の子と女の子の家に預けたりして何とかなり。 大学に通うころにはメイは8歳になり、一人でも大丈夫になってきたがタケルは怖かったのか中学に行くまで友達の家にいるようにと言ってたみたい。
そんなこともありタケルが卒業するころにはDNAプログラマーが世間一般に認められ、タケルは母の研究所を使いDNAプログラマーとして結構稼いでるみたい・・・・・・え?
「ねぇ、タケルはその技術どこで身に着けたの?」
「うん? あぁ、母が通ってた国立大学の生物工学学部に母の研究を継いでくれた教授がいるらしく俺も俺でプログラミングが好きだったからに入学してその人の研究所在籍しそこで身に着けて卒業したんだ。 一応だが授業料は親戚の人たちが出してくれたんだ。」
「なるほど」
「で、チトセは母が研究していた試験管の中にたまたま冷凍保存されてた細胞があってそのころメイがペットほしいてせがんでしつこくてもうこいつを成長させてこいつをペットにすればいいんじゃねで生まれたんがお前だ」
「知りたくなかったよ・・・・・・でも思っていたより良かったでしょう?」
「・・・・・・ふふふ、そうだな。 お前は母の形見でもあるからよかったよ」
「わーい!!」
・・・・・・あれ? ボクの細胞どっから取ったの?
「でもなんでお前の細胞があったのかよくわからないんだよなー」
まじか。
ボクはタケルに色々教えてくれてありがとうと伝え部屋を後にした。
今日は頭を使ったから仮眠をとろうとメイの部屋に向かったがもう帰ってる時間だったみたいでメイが部屋でアヒル座りで小刻みに震えていた。 メイはボクの存在に気づいたのかボクの方を向いて。
あの本をボクに見せながら。
「・・・・・・見ちゃった?」
「うん」
メイは顔を真っ赤にし、布団に頭から飛び込み。
「む~~~~!」
と何か言ってたみたいだが気にしないでおこう。
その後の晩御飯が気まずかったのは言うまでもない。
何者かがボクに語りかけてくる。
ーーーーーー神とはなんだ?
何を言っているんだ?
--------人が生み出す神は人を甘やかし堕落させ、気に入らなくなったら殺すのに対して悪魔は後悔を教える。
ーーーーだがその悪魔も人にとっては洗脳道具として最適で異教の神を悪魔とし自身らが信仰している悪魔を神とし正当性を主張する。
ボクには何を言っているのかさっぱりわからない。
--------その中でも愚かなのは自身たちを生み出した先祖を見ないのが実に滑稽だ。人は遡ればハビリスとなりさらにさかのぼれば猿となりネズミ・脊椎動物の祖先そして真菌・古細菌までと八百万といるのに人は一人の何もしていない神を信じる。
-------先祖の功績を無視して・・・。
何かはそれを最後にボクに何も言わなかった。
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