新生命体チトセは時を超えて戦った
皐月
続いてほしかった日常
第1話 新生物の誕生、そして破滅の始まり
もし人間により作り出された生命が人間と同等またそれ以上の知能の生命なら彼らは己の存在価値に悩まないのか? 彼らは生まれて意識が生まれるころには既にこの地に誕生しており、親は自分の姿とは違う研究者。
その中で彼らは自分と同じ姿の親に会いたいと思わないのか?
・・・・・・多分、考えることはないだろう。 彼らは人間という高等生命体の傀儡として頭に機械を植え付けられて指示通りに動く生き物になるからだ。 その生命体の遺伝子は人の手によってプログラムされ、そのプログラムに自己学習能力を人以上に、世代交代をハエ並みにしたあと犬並みの忠誠心を植え付ければその段階で人と同等またはそれ以上の生命体へと変貌する。 そして彼らに徹底した学習をさせ、役目が終われば彼らに麻酔を打ち、脳を取り出したあと一時的に冷凍保存した段階でその生命体は破棄する。
その後脳のクローンを大量に作り、それを同じ生命体かつ若い世代にその植え付けることによって永遠に知能は上昇していく。
そうすることにより人工知能が人工知能を開発する必要性が無くなり、シンギュラリティと言う特異点は存在しなくなるのだろうか?
それはまだわからない。
もしそれがなくなるのならそれは・・・・・・。
人間の遺伝子の中に存在する原生生物時代より40億年間受け継がれてきた淘汰された記憶が無くなった証拠だ。
ーーーーーーーー
これは人によって作り出された小さな人工生命体の物語である。
とある田舎の山奥に寂しく建っている研究所にて、一つの生命が誕生した。
______。
_________。
__________。
あれ、僕は何だろう?
僕はいつからここにいるのだろう?
僕は目が覚めてから何日も何日も圧力も抵抗も感じない変な空間に存在しており辺りは暗闇に包まれ上下左右も分からない。
わかるのはかすかな振動があるのみ。この中で僕は生きている。
___この振動が何か気になるなー。
僕は急に深い眠りに襲われた。
お____。
お____い。
また振動が体に伝わる。しかし昨日とは違う感じがする。
そう、何かブーーーといった感じの振動が全身に伝わってくる。
「ねぇ、本当にこの子音の感知出来てるの?」
「あぁ、そのはずなのだが」
そうか! この今までに感じたことのない振動は音というのか!
----ピーロロロロロ・・・・・・。
「・・・・・・ん、ねぇ兄さんこの音は?」
「これは音を記憶して覚えようとしているのを感知する機械の音・・・・・・あ、反応してる」
僕はまだこの二つの振動の違いはまだ判らないから学習しよう。
___また眠たく・・・・・・。
「あ、また寝たな」
「・・・・・・この子本当に大丈夫なの?」
「まぁ、まだ生まれたばかりだから仕方ない。お前だって小さい頃は生きているのか分からないくらい寝ていたぞ」
「もう! そんなことは忘れて!」
___あぁ、早く音というものを正確に感知できるようになりたい、そしたらこの人たちと話ができるのに・・・・・・。
あれから何回も音とは何かと考え、音の細かい振動高低差を体で覚えていった。最初は低い音・高い音の区別が出来なかったが、それから一カ月たったある日正確に音が聞き取れるようになった。 それからこの空間には低い音と高い音の二つしか存在しないことそして二人の喋ってる言葉も覚えることが出来た。
「おはよータコさん」
------おぉぉ・・・・・はぁぁ・・・・・・よぉぉぉ・・・・・。
よし、音は重なっているが、依然と比べだいぶ聞き取れるようになってきた。
「もしもーし、喋れる?」
これは確か質問で、相応しい返答は・・・・・・。
「ウ・・・・ン」
これで合っているかな?
正直なところボクは言語というものはまだ苦手で、聞き、理解する能力しかない。
ボクの近くにいる声の高い人からの反応はない。通じなかったのか?
しかし、しばらくするとバタバタと何か近づく音がした。
「本当に音を発したのか?」
「うん!」
何とボクの声が届いたみたいだ。うれしい。
「ほら、試してみて」
「わかった、おーい聞こえるか?」
・・・・・・声の低い人はボクに応答を求める。
「ウ・・・・ン」
「・・・・・・本当のようだな・・・・・・おい、学校は?」
「あ!? 遅刻する!」
声の高い人は良く分からない単語を言って、何処かに行ったみたいだ。
声の低い人は何やってんだよといい、また僕に話しかけた。
「よく喋れたな・・・・・・そうだ、それ以外にしゃべれる単語はないか?」
それ以外の単語?
僕は頭の中でいろいろな単語を検索した。しかし、知っていると言え意味を知っているものはかなり少ない。だからもっと教えてほしい。
言葉を教えてもらうには何ていうんだっけ?
試行錯誤して三日の間で記憶した単語を並べ、声の低い人に。
「コトバ、マダワカラナイ、ダカラ、マナビタイ、オシエテ」
これで合っているだろうか心配だ、もし失礼なことだったらどうなるんだろう。
「うん、たった三日でここまで成長するとは驚きだ」
彼は満足したみたいだ、良かった。
「試しに目を開けさせて外に出そう」
外?
そういうと何かが吸い出される音と同時にボクの体は急に重くなった。しかし体が持ち上げられ、硬く、冷たいところに置かれたの同時にすぐ上からモフモフしたものが置かれた。
「ほら、これで大丈夫目を開けてごらん?」
「メ?」
「そうだ、俺が触っている場所に力を入れてごらん?」
ボクは言われるがままに、感触がするところに力を入れた。
すると僕は闇から解放された;
闇の外は灰色の壁に囲まれており、床は茶色、しかしその下には緑のもう一つの床があり、頭が混乱した。
そして、今まで聞いたことのない音が連続して感じ、怖くなった。
「どうだ、外の世界は」
「・・・・・・ヒロイ、コワイ」
「そうか」
声の低い人はボクをまた持ち上げて別のところに連れて行った。
声の低い人青年で黒い髪に黄色の肌。そして白衣を着ているのとたれ目なのが特徴だ。体は僕より何倍も大きい。
声の低い人はボクを先ほどの部屋と違い狭い部屋に連れてきた。
僕をモフモフした床に置いた後隣に座り、僕と目を合わせた。
「そうだ、自己紹介をしよう。 俺の名前は徳田武トクダ タケル、よろしくな」
タケルはそういうとボクに手を差し伸べる。しかしボクも同じように出すと彼と手が全く違った。
「ン? ンンン?」
「あ、そうかすまん、自分の姿を把握できてないのか?」
タケルさんはそういうとボクの前に不思議なものを置いた。その不思議な物の中にはタケルさんとその頭ほどの大きさの赤く、触手が4本生えた1頭身の生物がいた。
「コレハ、ナニ?」
「これは鏡と言って自身と同じ姿を映すものだ」
「カガミ」
なにこれ面白い!
ボクの姿を映すカガミは色々なものを映す。ボクは面白いと思い色々と動き辺りを見たいと思ったが体が動かない。頭を動かすのもままならない。
「動きたいのか?・・・・・・そうだな、リハビリをしよう」
彼はそういうと笑顔でボクの触手を一本掴む。
「大丈夫だ、お前の体を動せるようにするからな」
彼はボクにそういった。
「アノ・・・・・・タケル」
「どうした?」
タケルはそう言ってボクと同じ高さに合わせてくれた。
「ボクガハイッテタノ・・・・・・ドウヤッテ・・・・・コエ、ツウジタノ?」
「あぁーそれはこの音を感知するセンサーにお前が発しただろう音を感知したからだ」
なるほど・・・・・・。 要するに実際にはボクの声は通じてなくてセンサーが反応してくれたから意識があると判定して出したんだ・・・・・・うん。
何だろう、ちょっとショック。
「で、お前に単語を言わせようとしたのは本当に意識があるのかの確認の為であってお前の言葉が通じていなかったんだ・・・・・・その・・・・・何ていうかスマン」
いや、うん。
本当にやめて。
「ジャ・・・・・・ナンテ・・・キコエテタ?」
「え、あぁ。 ブォ、ブーブブブ、ブーブブ・・・・・・こんな感じだったぞ?」
いや、もう単語ですらない。
タケルは申し訳ない顔をしながらボクの体を持ち上げて膝にのせてくれた。
「まぁ、何ていうか誕生おめでとう、それに今はきちんと聞こえてるから大丈夫だ」
タケルはそう優しい言葉をボクにくれた。
「今日はちょっと疲れたからリハビリの前にちょっと言葉を勉強しようか?」
「ウン」
まぁ、ボクが教えてほしかったものだから許そうかな。
「大体こんなものかな」
タケルさんはそう言ってボクを撫でてほめてくれた。
「それにしても物覚え速いな~。 下手したら一流の大学生を一瞬で抜かせるんじゃないか」
タケルさんはそう言って笑いながらボクの頭を撫でてくれる。
確かにタケルさんがボクに言葉を教えてくれたおかげで少し賢くなった気がするし本当にありがたい。 あ、そういえば。
「そういえば学校って?」
「学校? あぁ、それはいわゆる勉強するところで小中高で合わせて12年勉強するんだ。
・・・・・・あの子の場合はなんというか事情があって不定期ながら登校してるんだ。
「なるほど」
ボクはその後もタケルさん、いやタケルに色々質問と雑談を楽しんだ。
この生物が世界を破壊に導くものになるとは知らずに・・・・・・
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