運に左右される魔法でも無双したいんだが

A00913

ボッカス・ポーカスとは?/謎のオーク編

第1話 「ポッカス・ボーガス」の謎 

この本は...あれだ。


単に日記というというわけではない。

なぜなら毎日の事は書けないからだ。

理由は簡単、お金が足りない。紙は低価なのだが、僕はそれすら買えないほど貧困なのだ。「転生者」なのにね。


だからこの本には身の回りに起きたちょっとした事件みたいなのを書いてみる、そうした方が、君たちも楽しんで読めるだろう。

いささか奇妙な事ばかり起きているが、今後君たちの前に現れた時、僕の事を怖がらないで欲しい。


僕は人間だ、不死身で、変な魔法しか使う事ができない出来損ないだが、心はちゃんとした人間だ。





ある暗ーい洞窟の中。

そこには3つの影があった。

二つは冒険者の影、男と女二人組のパーティで、もう一つの影は「ジャイアントスネーキー」

と呼ばれる大体全長50mの一匹?一頭?の大蛇だった。


「........」


冒険者の男は地面にうつ伏せのまま動かない。

おそらく、あの蛇の攻撃を受けて壁かなんかにぶつかり、失神してしまっているのであろう。

そして女のほうは足を怪我しており、うまく歩けなさそうな状態だ。

倒れている男の横で大蛇を睨み付けている。

多分この状況で逃げようというのなら、背を向けたその瞬間、二人の肉体は蛇の胃の中に叩き込まれるであろう。

蛇はチロチロと舌を出しながらじりじりと二人に迫って来ている。


「ぐっ.....」


もはや、この状況から切り抜ける手段はないのであろう。

後ろからみてもそんな感じがする。



その時




「まさかこのクエストに挑んでる人が僕以外にもいたとは...」


男の声....ていうかこれは僕の声。

ホントにびっくりした、だってさあ、ここら辺に住んでいる冒険者ってその日暮らしが出来ればいいって考えてる奴が大半で、難しいクエストっていうのは大抵どっかから来た有名な冒険者か自分みたいな「転生者」しか攻略しようとしないんだもん。いやもうほんと、この人達は勇気ある素晴らしい方々だなぁ、って。

話がかーなり逸れた。

女が振り向き、そして驚愕した。

そこに立っていたのは.....。


「あのー...大丈夫ですか..?」


そこに立っていたのは、体はガリガリにやせ細っており、服装はぼろいマントを身につけながらパンツ一丁。髪は金髪

手には木の杖を持った僕がいたのである。

女は目をパチパチさせながら。


「大丈夫ですか.....ってそっちが大丈夫ですか!?ここは危険です!早く逃げてください!早く....早くっ!!」


女は声を荒げてこう僕にいった。

うん、まあそういうのも無理はない。

こんな変な奴がこんな難しいクエストを受けているなんて信じられないだろう。

しかし...僕にはほかの人には持っていない” 特別 ”な能力を持っているのだ。

「パンツ一丁しか着ていない奴の能力なんて信用できねぇよ!!」なんて思っている人がいるだろう。


__半分、正解だ__


僕は女の制止を振り切り、大蛇の前に立つ。

たしかに、この能力で得をしたことなど余りない。

だからこそ、パンツ一丁でクエストを受けている今の自分がいる。

でも、使うしかないのだ....生活というものは、なるべくレベルが高い方がいい。


僕は杖を持ったまま、手首を内側に曲げ、唱える


「ポッカス・ボーガスッ!!」


「ポッカス・ボーガス」...それは、何が起きるかは神のみが知る、危険な魔法。

僕の前の空間に魔法陣が展開された。


(頼むッ!!なんか使えるヤツッ!来てくれぇ!!)


僕は必死に願う、別に使用制限とかあるわけではないのだが、この魔法にはリスクがある。だから願う、一回でいいものが出てほしい。ガチャを回すような気分だ。

聞いてくれ、この時、魔法陣から出てきた物を。


(なんだこれ....)


この魔法のリスクというのは。


(豚の鼻とウサギの足となんかの動物の内臓がそれぞれ詰まったビン!?)


必ずしも。


「どうやって使うんだよぉ~~~っ!!」


出てくるものがいいものばかりではない、というものである。

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