第5話変わることはない
きっと僕は変な人間なのだと思う。普通の人が考えないことをいつも考えている。なので、僕は常に黙っている。自分が変な人間なのだと自覚しているからだ。きっと当たり前のように喋った所で、受け入れて貰えない。なんて勝手に諦めている。そんな自分がきっと心底嫌いなんだと思う。
だから僕はタブーを犯した。自分で自分を愛したのだ。世界を確立してしまったのだ。そこには何人たりとも介入することを許さない。自分だけの世界が生まれた瞬間でもあり、他の世界と隔絶した瞬間でもあった。だから僕は僕であることに非常に価値を見出していた。でも所詮はまがいものの愛にすぎないのだ。それを知っていても、手放すことを僕は許してはくれない。
そんな僕だからこそ彼女は今までできたことはないし、女性と話したりしたこともあまりない。そんな無意味な世界に浸ってしまったばかりに、人を愛することを忘れたのだ。だから僕は怖いんだ。自分で自分を見捨てることが、如何に残酷で苦しいことなのか知っている。きっと彼女はそんなこと考えもしないで、気まぐれに自由に生きている。そんな彼女だからこそ土足で僕の世界に踏み入り、僕を見つけてくれるのかもしれない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます