第43話 会見
雄一郎とルイが与圧室を出た途端の宇宙服を脱ぐ前に皆が質問を浴びせ掛けた。
「待った、まず座って珈琲を飲ませてくれ、ゆっくり話そう」
皆が黙り込み二人が宇宙服を脱ぐのを手伝だった。
その後、雄一郎の後を皆がぞろぞろ歩いて管制室へ向かった。
管制室のテーブルには既にリサに寄って皆の好きな飲み物が準備されていた。
「リサ、ありがとう、処でリサ、向こうのキー達は君にハッキングを試みて来たのかね」
「いいえ、質問と会話だけでハッキングはありません、もっとも私の知る方法の範囲ですが」
「そうだね、彼らの進んだ技術力では通信が繋がっただけで君の全てのデータにアクセスされた可能性も考えられるね」
「では、兄さん、落ち着いたでしょうから話をお願いします、その前に異星船に入って直ぐに通信が遮断され直ぐに回復したのに映像も会話も消えました、どうしてですか」
「相手に大げさに言えばスパイ行為と思われない様にだよ、但し、宇宙服のオフライン録画があるから、まず、それを見てもらおう、リサ、頼むよ」
「はい、左がルイ、右が雄一郎さんの物です」
正面の大きな画面が左右の二つに別れ二人の宇宙服の胸に装備されたカメラ映像が写し出された。
「アーがトップで迎えに来たキーが七番目と言う事ですかね、我々が言い難いとの事でしたが一度、アーの本名を聞いて見たいものですね」
ケンが録画を見ての第一声だった。
「それとアー、キーとアイウエオ順でABC順じゃないのは面白いですね」
ヘンリーのコメントは皆に無視された。
「少し身長が高い様に感じられましたがどうですか」
「ジェニー、鋭い、会ったら驚くぞ、多分3メートルを超えているだろうな」
「3メートル、巨人ですね、そう言えば巨人伝説があったわね、ヘンリー」
「世界中に巨人の骨が見つかっている様なんだけど、実物が残っていないんだ、アメリカでも大量に見つかった様なんだけど一つも残っていないんだ、不思議だよね、嘘なのか、誰かが骨を証拠を隠すのか」
「1万3千年前にいた事が解ったから事実なんだろうね」
「ケン、まだ、彼らの故郷が本当に地球なのかを確認してからだな、結論はな」
「そうですよ、ケン、ヘンリー、リサ、地球の歴史がひっくり返るんですから」
「悪い、悪いそうだね、佐紀、只、一つのミッシング・リンクが解明される事だからね」
「ミッシング・リンクってなんですか、ケン」
「いろいろあるがね、その内の一つに石器人が短い期間にピラミッドを作る位に進化している事だよ、それが1万3千年前に進化した先生がいたとすれば納得できるんだよ、只、今度は別の疑問が生まれる」
「何なの、ケン」
「ジェニー、1万3千年前にピラミッドの作り方を教えられる程の進んだ頭脳を持った種族がいたのなら何故その時期なのか、それ以前でも良いはずなのに、それ以前に電気や楽器や火薬や印刷機でも良いはずなのに何故ピラミッドなのか、教えて作ったが発見されていないだけなのか、腐敗してしまったのか」
「成程ね、確かに新たな疑問ね・・・待って、ケン、兄さんは出かける前に考えていたんじゃなかったっけ」
「そうだ、兄さん、あの時何を考えていたんですか、僕は彼らが地球にいた時期を考えていた、と思ったのですが」
皆が期待の籠った眼で雄一郎を見つめた。
「ケン、正解だ、それを考えていた・・・1万2千年前と考えた、だが、ケンが言った疑問が残った、それで得た結論は何らかの理由で彼らは眠るか隠れていた、何万何億人もだ、それも二つの種族がね」
「二つの種族・・・もう一つ種族がいるのですか、それは今、何処に」
「一種族が宇宙にいる事を受け入れれば・・・」
「もう一種族も宇宙にいるのね、彼らは知っているのかしら、ね~、お父さん」
「私は知っていると思うがな」
「それが本当なら地球の歴史が、人類の歴史がひっくり返りますよ、お兄さん」
「だからこそ慎重に証拠が、確証が必要なんだ、ヘンリー」
「兄さん、何故一種族では無く二種族なんですか」
「昔の言い伝え、彫刻、壁画では巨人、鳥人間が多く描かれている、日本では天狗もあるがね、だが、古い物はやはり巨人と鳥人間だ、伝説か想像と思われていた巨人が実在していた、鳥人間もいるかも知れないだろう、私が巨人に会うまでは鳥人間に会うのでは、と思っていたがな」
「本当に新たな疑問がと言うか疑問が増えたんじゃないかしら、人類が突然進化した不思議だけが、一種族か二種族が何時からいたのか、何故消えたのか、何故宇宙にいるのか、何時消えたのか、何時地球を出発しどこへ行ったのか、彼らの文明の痕跡は地球の何処に眠っているのか、お父さん、この疑問の答えは考えたの」
「まだヒントが少なくてな、只、オーパーツを知っているか、みんな」
「時代と合わない遺物の事て゜しょ」
「おぉ、佐紀は考古学にも詳しいのかい」
「そうよ、ケン、驚いたかしら」
「あぁ、例えばと言えば何と答えるかによるなぁ、それとヘンリーも遺物が好きよ」
「えぇ、ヘンリーも、じゃあぁ、間違えない様にしないとね、まずはコスタリカの石の真球、次はアンティキティラの機械、デリーの鉄柱、ピリー・レイスの地図と言った処かな、後はいろいろ言われている物はあるけど私は眉唾だと思うのね」
「ヘンリー、どう」
「どうってどう言う事だい、姉さん」
「佐紀ちゃんが言った物はオーパーツなの」
「そうだよ、僕もそう思うよ、石の中から見つかったボルトとか恐竜の彫刻とかはちょっとね」
「そうそう、他には勿論ピラミッドとスフィンクスも私は入れたいな」
「二つともオーパーツなの」
「不思議なんですよ、だって一番古いクフ王のピラミッドが一番精密で次のカフラー王のは100年も経っていないのに技術力が落ちた見たいなのはどう見ても可笑しいでしょ」
「そうなの、ヘンリー」
「そうなんだ、クフ王のピラミッドは正四角推と思われているれど本当は8面あるんだよ、処が後からの物は4面なんだ、可笑しいだろ」
「えぇ~四角推にしか見えないけど」
「姉さん、面の真ん中に縦に線があってね正確には八角錐なんだよ、リサ、写真を出して下さい」
リサがクフ王のピラミッドの上空からの写真を大きな画面いっぱいに表示した。
リサが輪郭に沿って赤い線を描き八角錐が解り易くしてくれていた。
「あぁ、本当だわ・・・それを次のピラミッドでは止めたのか、出来なかったのか・・・」
「えぇ、私は出来なかったと思っているの、クフ王のは言われているよりもずっと古いもので技術が解らなかったんだと思っているんです」
「ヘンリーもそう思うの」
「不思議だなとは思ってはいたけどね」
「そんな事よりも彼らとの連絡はどうなっている、リサ」
「はい、現在、七人とあちらのコンビューターのゼロと日本語の精査を行ってします、言葉で誤解を生まない様にとの事です」
「適切な事だね、人類ま歴史ではたった一つの言葉の誤解で大事件が起きた事もあるからね」
「へぇ~、そんな事があったのですか」
「その説明は後にしよう、リサ、尋ねてほしい、向こうの大きな船にこの船を格納出来るかね」
「はい、出来るそうです」
「では、格納依頼して下さい」
「兄さん、そんな事をしたら捕虜になりますよ」
「彼らはやろうと思えば何時でも出来たんだよ、僕たちの意思を待ってくれていたのさ」
「牽引ビームに捕まりました」
「距離は???」
リサの知らせに雄一郎が問いを追加した。
「はい、500キロ・メートルでした」
「そうか、さっきは100キロだったが限界、最大では無かったか」
「5分で到着します」
「5分・・・もう腹を括るしか無いか」
ケンが皆を代表する様に言った。
暫くして雄一郎たちの船は異性人の船の格納庫に飲み込まれる様に入って行った。
入った処は何台もの異星人の小型船が止まっている格納庫で高さが200メートル以上、幅と奥行がそれぞれ500メートル以上ある様に見える大きなものだった。
暫くすると何処かから車が現れ彼らの船の近くで止まった。
「リサ、この格納庫の空気の組成と酸素濃度を調べてくれ」
「はい・・・組成は地球のものと同じですが酸素濃度は23%と地球よりも2%多く含まれています、代わりに窒素濃度が低くなっています」
「2%高いとどれ位・・・身体が持つか、私には解らないが、リサ、何か資料はあるかね」
「酸素濃度が低い場合と気圧が低い場合の資料は大量にあるのですが逆は少ないのです」
「ケン、リサの情報源は何なんだい、インターネットでは無い様だね」
「いいえ、インターネットですが無作為と言う訳には行きません、データー量が多過ぎます、それでサイトアドレスの文字数が30文字以内の物に限ったんです」
「そうだな、全てを入れる事には無理があるからな、1分毎に何千、何万、何十万文字増えるのか、それも世界中の言語でね、無理な話だ、サイトの文字数で情報限定したのは良い方法だな、当然記憶容量を増やせば文字数を増やすんだろう」
「その通り、最初は10文字だったんだ、次に15、20、25と増やしたんだ」
「さて、降りようか、その前にリサ、カメラを記録用に撮って良いか尋ねてくれないか」
「良いそうです」
「早いなぁ、予想していたのかな、では全員で行く事は出来ない事は皆、解っていると思う」
雄一郎は間を開けて皆を見渡した。
「では、行くのは私とルイの二人です」
「・・・」
「何故かは解るよね」
「・・・」
「安全が確認出来たら第二陣はヘンリーと佐紀に来てもらいます、最後はケンとジェニーだ、勿論、リサにはバリアーを張って貰いたい・・・皆、良いか・・・良し行くぞ」
雄一郎が皆の顔を確認しルイを従えて格納庫へ向かった。
途中で研究室に寄ってメガネ型カメラとブローチ型カメラ、普通のビデオ・カメラを持ち気密室で二人は宇宙服を着た。
宇宙服には頭の上と肩に前後を映すカメラが付けられていた。
彼は、此れでもかと言う位の記録装置を準備した、歴史上人類初の異星人との直接遭遇なのである、当然と言えば当然の処置だった。
念の要った事に記録は媒体そのものと無線て゜リサへも送られる様にもなっていた。
内側のドアを閉めるとリサが外部と気圧が同じに調整し外部ドアが開いた。
二人がドアに着けられたタラップをありながら迎いに来た乗り物を見つめた。
地球の普通自動車よりも大きくバスよりも小さい物で車輪が6個付いていて扉が開いていた。
好奇心が旺盛な二人は恐れる事も無く珍しい物をあちらこちらに見つけ眺めながら乗り込んだ。
二人が乗り込み椅子に座るドアが何処かから現れ閉まった。
直ぐに車が発進し広い格納庫を壁に向かって走り6個の車輪が独自に向きを変え通路に向かった。
車は通路に入ると線路の様な2本の軌道に沿って走り速度を増して行った。
幾つもの部屋や広場を通り過ぎ闘技場の様な広場に辿り着いた。
ドアが開き二人が車の外に出ると周りの階段状の処に沢山の人が座っていた。
二人が周りを詳しく見ると何万人もの人たちが居る様でまるで艦内の全員がいる様だった。
正面の七つの特別席の真ん中の席に座る人が宇宙人が日本語で言った。
「ようこそ、我らの船へいらした、歓迎します」
彼は七人の中では一番小さく見えた。
「ご招待ありがとう、全員で来ていない事をお詫びします、貴方がたの技術力では無駄な事だとは思いますが用心しました」
「謝る事など無い、当然の事です、それに無駄な事では無い、貴方がたの船のバリアーを破る事は出来ますが我らの船も損害を受けます」
「安全が確認できたら順番に船を出る事になっています」
「私が安全です、と言った処で嘘か真か解らない、ご自分で判断して下さい」
「ありがとう御座います、早速ですが、貴方がたは他の星の人類と我々は宇宙人と呼びます、宇宙人と遭遇するのは初めてでは無い様ですね、我々は初めてですが」
「この星系の人類を観察しています、貴方達は3種族目です」
「貴方がたは、この星系のかたでは無いのてせすか」
「違います、私達の母星はこの近くです、15光年の距離です」
「貴方がたは慣性制御が出来る様ですね、私達はまだ出来ません、だが速度は私達の方が早いのでしょうか」
「慣性制御が出来ますから加速度はやはりこちらが早いが燃焼効率はそちらが高い様です」
「技術、理論を教え合うと言う事は不可能でしょうね」
「お互いの技術を教え合えばお互いが大進歩するでしょう、ですが宇宙には良い文明だけではありません、他の文明を征服しようとする文明も存在します」
「それは残念です、私は文明が成熟すれば悪意は無くなるものだと考えていました」
「基本的には貴方の考えは正しい考えです、ですが独裁者が強大な権力を持ち、その独裁者が邪悪な、貴方がたの言葉では宗教とでも言えば良いでしょうか、邪悪な宗教で文明を支配した時にその文明は他の文明に対して支配的になるのです」
「貴方の話は独裁者、宗教と具体的ですね、その様な文明があり貴方がたは既に遭遇しているのでは無いのですか」
「その通りです、その様な文明には協力する事は出来ません」
「私たちはその様な文明ではありません、まだまだ未熟な文明ではありますが、もし他の文明が攻撃して来れば攻撃するでしょうが自ら攻撃する事は無いと信じたい」
「それは貴方の言動で理解しています、貴方とは文明の交流を行いたいものです」
「ありがとう御座います、船に残っている者たちも呼びたいのですが、宜しいですか、そしてこの船の見学をさせて頂けますか」
「良いでしょう、皆さんを歓迎し船を案内しましょう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます