第37話 雄一とルイとリサの会話
「リサ、卵を持ってみて」
「はい、ルイ」
リサに制御されたアームが卵ケースに伸びて三本の指で卵を掴み持ち上げた。
「リサ、おめでとう、三度目で成功ね」
「はい、一度目は力が足りず落とし二度目は力を入れすぎ割ってしまいました、人間は凄いです、一瞬で物の重さを理解し掴む力を決め持ち上げながらも調整する、私のアームに計りと圧力センサーを付けた意味を理解しました、ありがとうございます、ルイ、雄一さん」
「君は卵の割り方の映像をいっぱい持っているはずだから試してみると良い、但し、練習は誰かが卵料理を注文した時だよ、練習だけで食べないのはもったいないからね」
雄一が助言と注意を与えた。
「はい、今、確認した処です、人に寄っていろいろな割り方があるのですね、どれが一番良いのでしょうか」
「試してみてリサが選べば良いんじゃないの、ね、雄一さん」
「そうだね、それからリサの腕は二本の組み合わせにするからね、将来、人型ロボットを作るつもりだから三本、四本の組み合わせにはしない、四本は二台、いや二人とすれば良い・・・と思うが、ルイ、どうかな」
「賛成です、私も人型を作りたいと思っていました、でも足が歩く、歩かせる事が難しいです」
「大丈夫、ジャイロを使えば良いのさ、後はセンサーで十分なはずさ」
「ジャイロですか・・・成程・・・成程、リサ、喜んで、思ったよりも早く出来そうよ」
「お二人とも、ありがとうございます、ところで卵料理の注文はありませんか」
「おやおや、今のはジョークか・・・目玉焼きを頼む半熟でね、調味料は私が自分で掛ける」
「じゃ~私は両面焼きで少し焦げ目を付けてね」
「了解です」
二人が見ていると、まずフライパンを取り出しレーザーで素材を確認し油が要らないと判断し電気コンロに乗せた、コンロに電気が流れその後、片手で卵を持ちフライパンの縁で殻にヒビを入れ片手の指で開いて卵の中身をフライパンに開けた。
その様子を見ていたルイが思わず拍手した。
卵の白身が固まり出すとリサは透明な蓋を乗せ様子を見ながら待ち皿を準備し黄身に薄く膜が張った時点でコンロの電気を留め蓋を開けてフライパンを持ち皿の上で傾けて卵を滑らせ皿に移した。
「まず、雄一さんのご注文の出来上がりです、お召し上がりください」
皿を雄一の前に出し、ナイフとフォークと箸そして塩、胡椒、ソース、醤油を並べた。
「じゃ~戴こう」
雄一は箸を取ると白身を少し切り黄身を割り白身に黄身を少し付けて食べた。
ルイが雄一の感想を目を輝かせて待っていた。
「旨い、非常に旨い、ルイ、君も食べてごらん」
「はい、戴きます」
ルイはナイフとフォークで雄一と同じ様にして食べた。
「美味しい、美味しいわ、リサ」
「ありがとうございます、これもお二人のお陰です」
「これから料理はリサに任せるよ」
雄一は残りを塩を掛けて半分、後の残りにソースを掛けて食べた。
「旨かったよ、リサ、ありがとう、明日の朝食はこれと焼きベーコンと焼きトースト一枚を頼む」
リサ、は既にルイの注文の両面焼きを作り始めていた。
「承知しました、もう一本の手を作っても宜しいですか」
「いいよ、一本と言わず各部屋に二本づつ作りなさい。作業用ロボットに付けなさい」
「はい、ありがとうございます、ルイ、出来ました、お召し上がり下さい」
「ありがとう」
ルイは一口食べて言った。
「美味しい・・・でも、これからは私も目玉焼きは半熟にするわ、明日の朝食は私は雄一さんと同じにして、リサ」
「承知しました、手を作る為に指が必要です、他に御用が無ければこの手を使いたいのですが、宜しいですか」
「良いよ、今日の我々の作業は此処までだ、ルイ、明日から足の開発に掛かろう、どうだね」
「賛成、雄一さん、珈琲を飲みに行きませんか」
「OK」
二人は研究・作業室を出て中央管制室に向かった。
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