第17話 天色髪の青年

 山の中に入った恋也たちは上を目指して進む。入ってからこの場所の空気が変わっている。

「こんなに長いんだねここ」

「そうだね。でも登り切れないわけではね」

 はー、はー、はー、と未来は息を上げながら登っている。しばらく歩いていると、二手に分かれえる道に出る。

「二手に分かれてるな」

 レンが悩んでいると、コン美はすかさず口を挟む。

「そんなもの、上に決まってるじゃない。せっかくここまで来たのに帰る人なんていないでしょう」

「そうかもしれないけど」

 レンは不満そうに頬を膨らませる。小さな子供みたいに。

 すると、恋也は一人で下の道に進んでいく。

「そんじゃ俺と恋也は下を見てくるよ」

 レンはそういうと、コン美と目を合わせて頷く。

「それでは、私たちは上に登りましょう」

「あ!待って!」

 先を急いでいくコン美に全員が着いて行く。



 一人でに歩いていく恋也に付き添うように歩いていく。

「大丈夫か?」

 レンの心配している声に、恋也は首を横に振る。

「なんか、体が、勝手に動くんだ。何かに、引っ張られてるかの、ように」

 恋也は汗をかきながらゆっくり歩く。途中で躓いたりしたが、導かれる場所まで歩くしかない。

 たどり着いたのはたくさんの墓石が並んだ広場に出る。そこで引っ張られる感覚が消える。

「あの気配は、ここに誘導させるためだったのかな」

「それよりここどこ?」

 恋也は周りを見渡すと木でできた看板が置いてある。それを読んでみると、

『-これは、大昔の平和な国のお城に住んでいた者たちが眠る場所ー』

「ここ、お墓なんだ」

「墓?ここお城でもあったのか?」

「そうみたい。でもよく知らない人だからこうなったみたい」

 恋也は木の隙間からあの白い柱がここに立ってるのが見える。恋也はお墓を見ようと近づくと地面に魔法陣が展開する。

「恋也!」

 恋也が驚いていると、拒絶反応が現れ恋也は後方に飛ばされる。空を見上げるとあの光の柱は消えている。

 レンはすぐに恋也に近づく。

「大丈夫か⁈怪我はないか?」

「大丈夫。たいしたことない」

 身体を起こす恋也。

「いったい何なの?今の」

「あの光の柱は罠だったみたいだな」



光の柱が消えた事を、未来とコン美が目にする。伝えようとも思ったが、見えない彼らに伝えても分からない。

すると、未来たちの頭上にある木の枝を使って何かが飛び越えて行く。

「今木が揺れなかった?」

「大丈夫よ。何も無い。きっとね…」



あの光の柱が消えて恋也達は未来たちの元へ戻ろうとする。

「レン、どうしたの?何かあった?」

レンは無言で何かを睨みつける。

後からして恋也も気づく。何者かがこちらにやってくる。そして、一本の木が揺れる音がする。見上げると天色髪の青年がこちらを見つめ、ニコッと笑う。

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