僕のカノジョ先生 鏡遊

更衣室の真香先生




 女子更衣室は、言うまでもなく男子にとって聖域だ。

 職員用の女子更衣室ともなれば、なおさら男子には縁がない。


「彩木くん、そんなにコソコソしなくていいのに。もそっと近う寄れ?」

「急に殿様にならないでください。さっさと着替えてくださいよ……!」


 なぜか僕――彩木慎は、担任の真香先生と一緒に職員用女子更衣室にいる。

 僕の背後では、真香先生が着替えの真っ最中だ。

 見えてはいないけど、ごそごそと衣擦れの音がばっちり聞こえてくる。

 先生のデフォルトの服装であるスーツから、運動用のジャージにお着替え中――らしい。


「今さらだけど、なんで僕まで更衣室に! 女子用で職員用の更衣室にいるなんて、バレたら一発でアウトですよ!」

「大丈夫、今はここに誰も来ないのは確認済みよ。そこは安心していいわ」


 会話しながらも、ゴソゴソ音が聞こえてくる。


「これも、彩木くんへの“教育”よ。最近、ちょっとえっちになってきたからね。わたしの生着替えを覗かずに耐え抜いてもらうわ」

「いったい、なんの意味が……!?」


 ただ、僕をオロオロさせて楽しんでるだけじゃないか、この人!


「ん?」


 当然ながら、更衣室なので大きな姿見が壁に貼られてる。


「って、これ……!」


 姿見に、ロッカーに向かって着替えている真香先生の姿がばっちり写ってる。

 今まさにミニスカートを脱ぐところで、黒いストッキング越しに白いパンツがくっきりと――

 こっちにお尻を突き出すようなポーズで、めちゃくちゃにエロい……!


「……って、ダメでしょ!」

「えっ、なにが? どうかしたの、彩木くん!」


 真香先生がこっちを振り向いたので、今度は鏡にブラジャーだけを着けた上半身まで見えてしまった……!


「な、なんでもありません! 早く着替えてください! あず・すーん・あずで!」

「それだけだと“~するやいなや”よ。速やかにという意味なら、as soon as possibleね」

「そんなレッスンはいいですから!」


 真香先生が半裸のままじゃ、僕の心臓がもたない。

 でも、もうちょっと見たい――じゃない、さっさと着替えてほしい!



初出:『僕のカノジョ先生②』メロンブックス様特典

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