アンダーワールド~正義執行~
矢澤 瑞華
第1話破られる静寂
これは"ランク"が絶対とされた世界での物語。
子供は異能、そしてS.A.B.C.Dのいずれかの文字が腕に刻まれて出生してくる。この文字を"ランク"といい、Dは最下級民。奴隷として扱われる。Cは一般庶民。Bは企業の社長クラス。Aは医師や教育者といった具合に選別を生まれたときにされていく。そして、Sで生まれてきたものは優れた異能をもち、政治に唯一関わることができるランクである。Sの者の命令は絶対であり、支配力を持っていた。
しかし、そのSを超えるものがいる。それがSSである。極稀にしか生まれないため、神子と呼ばれていた。
しかし、SSの中には鬼子と呼ばれるものもいた。その者たちは負の異能を用いるとされ、幼い頃から忌み嫌われ、恐れられてきた。ある村での事件を切っ掛けに、"怨華"という組織が結成された。当時の首領であった、忌更木 砕我は討伐されたが、残党9名が行方しれずとなっている。しかし、近頃"怨華"の侵略行為が開始された。
彼らの野望を砕くための5名の神子で形成される軍隊がある。それが"jusxa"である。
「ふうっ…醜き化物共よ塵と化せ『雷牙_斬』」一閃の雷の斬撃は怨華の出現させた化物を焼き尽くす。化物らは断末魔を上げ塵となっていく。「Hello、こちら雅輝。銀行を占領した化け物共を駆逐完了。怨華の"醜"の異能で違いありません。他に何か事件はありましたか?」「ご苦労、みんな。最近、怨華の活動が活発だ。君たちの前に怨華の者が現れるかもしれん。気を付けて帰ってきたまえ。」「承知。」雅輝は通信をきる。そして他のメンバーに告げる。「今日のjusxの仕事は終わりだ。帰るぞ。」「りょーかい。雅君。」「はあっ退屈だったなあ。」「あんたら!早く歩きなさいよ、邪魔くさいなぁ。剛炎寺も言ってよ。」「神崎の言うとおりだ。恵園、笹川。早々に此処を出ろ。」「へいへーい。」「はぁい。」いつも通りの言い合いが始まる。雅輝は取り合うのが面倒だと一人で進んでいく。全員が帰路につこうとするその時であった。地震に地鳴り。道路は割れ、建物は崩れる。人々の叫び声、悲鳴が響く。道路の裂け目からは先程の化物が湧いてくる。政府の治療班はすぐに到着し、怪我人の治療、避難の指示に回る。5人は即座に戦闘へ入る。「『雷牙_斬』」」
「『星水の舞_乱』」「『桃源_繚』」「『岩樹の構え_涛』」「『炎珠_焔』」それぞれが技を繰り出して傀儡を倒す。「大一波は抑えたか。」束の間の安堵。地には"醜"の紋様が刻まれ、転送されてくる。気配からして恐らくは怨華の幹部の一人、"醜"が来るはず。呼吸を整え、登場を待つ。見たことのない怨華の幹部。緊張の空気が漂う。現れたのは一人の男。趣味の悪い帽子を目深に被って
いて顔は見えない。服装は左右で色も形状も非対称。腕には黒と紫の紋様が刻まれている。「これが"醜"。傀儡共とは格が違う。乗っけから最高火力でいくしかねえ。『爆火絶景_轟』」剛炎寺が愛銃
「群紅仁流」から砲撃を放つ。が、"醜"には火傷痕1つつかない。「いきなり乱暴だなぁ。君達は僕とは違う神子なんだから礼儀くらいは弁えようよ。まずは挨拶からじゃない?僕の名前は脆河 雫。別に"醜"でもいいんだけどただの役職名だからさ、できれば脆河って呼んでほしいんだよ。うん、攻撃が効かないことがわかったから、逆らわない。賢明だね。僕も君達と今やり合うつもりはない。あと3日後だ。今日はそれを告げるだけ。じゃあね!」とぽん。地に沈む"醜"彼が消えたあとは後味の悪さが残った。
「3日後か…。あとは治療班に任せて行くぞ。」5人は報告のため、長官室に向かった。
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