【このすばss】この素晴らしいバレンタインに祝福を!

佐倉澪

この素晴らしいバレンタインに祝福を!

俺達は今、王城で暮らしている。

そう、アイリスとの優雅な城暮らしがまた戻って来たのだ。

そんなわけで、朝から早起きをして俺は優雅にアクアと遊ぶのだった。

本当はアイリスと遊びたいのだが、今日は用事があると言い、何かしてる。

まあ、コイツは遊び相手としてなら最高の相棒だ。今日も優雅に怠惰にいくぜ!

と、カズマが変なテンションになっているのは置いておく。

この日はバレンタイン、世の非リアたちがリア充の首を狙う一日である。

そんな日は異世界には無いのだが、約数名だけこの日の存在を知る者がいる。

その一人は今も王城の客室で一人、考え事をしていた。

「今日はバレン…何とかですね」

彼女の名はめぐみん、魔王討伐後に『爆裂魔道士』の二つ名を手にしたアークウィザードの紅魔族。

「私が用意しておいたチョコレートをカズマにあげましょう」

因みに、バレンタインの正式名称はカズマに教えて貰って無いので知らない。

「まあ、私以外はこの事をカズマに教えて貰って無いはずです」

女神であるアクアは知っていそうだが、アクアはカズマにあげるぐらいなら自分で食べそうだし大丈夫だろう。

そんな事を考えながら部屋から出ると、

廊下を歩いていたアイリスとバッタリ遭遇した。

「あ、お頭様。おはようございます」

「おはようございます、アイリス。今日は何の日か知っていますか?」

取りあえず聞いてみることにした。

するとアイリスは、挑発的な表情で、

「ええ、バレンタインですよね?」

「なっ…!どこでそれを!」

「お兄様が昔、教えてくれたんです」

あの男は…!しかも、自分には良い思い出が無いから言いたくないと教えてくれなかった正式名称をアイリスには教えている。

その事実に少しムッとした。

「私は事前にメイドさん達に手伝って貰って頑張って作りました!」

マズイ…!このままではアイリスにカズマが異性から貰うチョコ第一号の座を奪われてしまう!

「そ、そうですか、でも、私も既にチョコを用意して…!チョコを…チョコ…?」

あ、そういえば!昔、こめっこが屋敷に来たときに戸棚に隠しておいたのを食べられたんでした!

その後は塩漬けクエストで忙しくてすっかり買い直すのを忘れてました。

まあ、もし買い直しても屋敷にあるから取りに行けないし、アイリスは手作りなのに私は買った物をポンッと出すのも負けた気がする。

「お兄様は私のチョコが欲しいと言って下さいましたからね。妹として、異性としも用意したんです!」

小さな胸を張るアイリスに何だか頭が何だかクラッとしてくる。

そういえば、カズマの初めては大体他人に取られてる気がする。

カズマと初めて一緒に寝たのはアクア。

カズマと初めて一緒にお風呂に入ったり、キスをしたのはダクネス。

ダクネスは勿論、昔ならともかく、今のアクアには若干気がある気がする。

「……本当に、貴族は変態や変人が多いと聞きますが…はぁ…」

「あ、何ですか!今のため息は!物凄く不本意です!」

廊下で言い争うめぐみんとアイリス、それを止めようか迷うメイド達。

その陰からその話を盗み聞きする人物が一人。


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「バレンタイン…バレンタインか…」

ダクネスは城の庭園を歩きながら先程、二人が言っていたしきたりを思い出す。

「確か、カズマが言っていた好意を寄せる異性にその気持ちをチョコレートにしてあげる日だったか……っ!」

以外と乙女なダクネスは自分が考えてる事に恥ずかしくなる。

「ねえ、カズマ。見てちょうだい!私が剪定したこの初心者殺しを!」

「うわっ、ウメぇ!お前、本当にこういう事させると凄いよな…!」

(だが、きっと、カズマにチョコレートを渡してもこう言うのだ!「チョコ何かよりも俺が何を欲しいのが分かるよな?」と、そして私はあられもない姿で…!くぅっ…んっ!っ!)

一人で変な妄想を始めたダスティネさんに庭にいるメイド達が顔が赤くなり、モジモジしだした事から体調を心配する中、

「見なさいな!あの、ヘンテコ悪魔とウィズの形に剪定してみたわ!」

「すげぇ!どこからどうみてもバニルとウィズだ!おい、ついでに俺達のも剪定してくれよ!丁度、あそこに四本並んでるのが…!」

庭園ではしゃぐアクアとカズマの声だけが響きわたっていた。


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「よし、こんな物でしょうか」

昼食後、めぐみんは王都の街に買い物に来ていた。

会計を済ませためぐみんは店の外に出ると城に向かって歩き出す。

(帰ったら厨房を借りて、手作りチョコを作らねば…!)

アイリスが手作りだったからには自分も手作りにしなければ負けてしまう。

そう考えためぐみんはチョコの材料を買い、どんな物をつくるか考えていたのだが……。

(ん?あれは、カズマでしょうか?)

人混みに紛れて王都の街を歩くカズマを発見した。

だが、その歩き方はどこかぎこちなく、疚しいことが有るように感じられた。

(紅魔族の感が告げています。これは、つけていくべきだと)

人混みに紛れてカズマを尾行する。幸いにもカズマからは見つかっていない。

早く帰って準備をしないと、という気持ちはあったが、気になったことを無視できないのもまた事実だった。

すると、辺りをキョロキョロと見回したカズマは路地裏に入り込み、それを追って路地裏に入ってみると…。

「あれ!?いない!」

恐らく潜伏スキルの影響か、カズマを見失ってしまった。

こうなれば、もう見つけることは出来ない。逃走スキルに、敵感知スキルまで持つカズマを見つけることはほぼ不可能だった。

めぐみんはもやもやを残したまま城にチョコを作りに帰って行った。


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「あー、危ねー、念のために潜伏スキルを使ってよかったー!」

王都の路地裏でカズマは安堵していた。

昼食後にアクアとエルロードで買ったカードゲームで遊んでいたカズマは、三回勝負に買ったら高級シュワシュワを奢るという賭けに見事勝利した。

「お金を持ってないから奢れないわ、残念ねー」と言うアクアに来月の小遣いから引いとくわと言って泣きわめくアクアを尻目に街にお酒を買いに来たのだが、

「何で、めぐみんがこんな所に…!しかも、つけてきてたし…」

確かにお酒を買いに来たのだが、目的はそれだけではない。

まさか、王都で会うとは思わなかった。

「や、カズマ君。魔王討伐後振りかな?」

そう言って路地裏に姿を現した銀髪の盗賊。

女神エリスの仮の姿、銀髪盗賊団のお頭、クリスが姿を現した。


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「さて、こんな物でしょうか」

一方、めぐみんは城の厨房を借りてチョコレートを作っていた。

途中、つまみ食いをしようとするアクアを返り討ちにした事以外は特に何も無く。

チョコトリュフと呼ばれる物を作っていた。

「これを袋に入れて…!よし、後はカズマに渡すだけ…渡す、だけ…」

い、意外と恥ずかしい…。おかしい、こんなにモジモジしてるのは私らしくない。

もしかして、アイリスが今まで渡さなかったのも恥ずかしかったからなのでしょうか?

「ずーいずーいずっころばーし」

暇そうなアクアが歌いながらコップの中の水で水芸を始めた。

(だ、大丈夫です。告白までしたんです、今更、チョコを渡すくらい…!)

「「「おおおー!」」」

「ふあぁ…!さて、めぐみーん!カズマが帰ってくるまで寝てくるわねー!」

「はい、分かりまし…ええっ!?」

眠そうなアクアが退室する中、机の上には水で描いたとは思えない程のレベルでアイリスが笑っていた。

魔道具カメラも顔負けのレベルだ。

色水じゃないから透明だが、これを色水でやらせたら写真代わりにお金を取れるレベルだ。

驚愕する私と衛兵たちを置いて、眠そうなアクアは自室へと戻っていった。


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「あー、美味かった。やっぱ城の料理はサイコーだな」

自分でも分かるレベルの棒読みで空気を和ませようとするが誰も反応しない。

何故か晩飯中、めぐみんもダクネスもアイリスも黙って黙々と食べているのだ。

(ううっ、何か気まずい…!)

クレアとレインはアイリスの傍に控えてるけど、喋らないし。

「そうね。カズマと一緒に美食巡りをした水の女神たるこの私が、ここの料理人に星五つをあげるわ!」

空気を読めない約一名を除いて。

(クリスとの約束もあるし、ひとまず先に退散しよう)

「ご、ご馳走さま…」

「あっ…!」

俺が席を立って事実上に戻っていくのを、

めぐみん達が気まずそうに見ていた。


「遅いよ助手君。ご飯ぐらい早く食べてよ」

「お頭が早いんですよ、食後が8時ってふつうでしょう?デザートも食べずに出て来たんですから」

「へぇ、何で?もしかして今日が…?」

「何でニヤニヤしてるんですか?いや、皆の空気が何か重くて息苦しいんで逃げてきたんですよ」

「となると、助手君はアレはまだ貰っていないわけだ」

「アレって?……ああ、チョコレートか」

あんな物、貰えるとは思っていない。でも、貰え無いと思っていても「もしかしたら今年は…!」みたいな期待をしちゃうのがバレンタインだ。

そのバレンタインも異世界に来て、今年で二年目になるが、すっかり忘れていた。

「もしかして、お頭は俺にくれるんですか?」

「そうだね、これが終わったらあげるよ」

何か、本当にこの人は女神様だよな…。

うっ…ウチの女子達とくれば、駄目神に変態に爆裂狂、チョコとは無縁の存在である。

過去にバレンタインの話をしたときに、アイリスにはそれとなく強請ってみたのだが伝わらなかったのだろうか。

今夜、話をするときは来年の為に強めに強請ってみよう。

と、部屋の扉が急にノックされくぐもった声が「入ってもいいか」と聞いてくる。

「五分以内に済ませてよ?」

そう言うとお頭はベランダから屋根の上に消えていった。

俺は慌てて盗賊の衣装を脱ぐと布団の中に隠して、

「あ、入ってもいいぞー」

「失礼します…」

と、部屋に入ってきたのはめぐみんだった。

「すみません、ちょっと用事があって……ナニをしていたんですか?」

めぐみんが俺に冷たい目を向けてくる。

あ、衣装を脱いだら俺、パンツ一丁でした。

「って、おい引くな引くな!そのまま部屋から出て行こうとするな!」

しかし、出て行こうとドアを開けためぐみんはドアの前にいたダクネスにぶつかった。

「何だ、お前も何か用事か?」

「あ、ああ、そうだが……お前はめぐみんと一体ナニをしていたんだ…」

「何でお前らはカタカナで言うんだよ!俺が変な事してたみたいじゃねーか!」

この状況を空気の読めないアクアにでも見られたりしたら、とんでもない勘違いを…!

「お兄様!」

「うわっ、出たっ!……って、何だアイリスか…」

アクアだと思ってビビッちゃったよ。

「人に対してうわっとか言うのは失礼ではないですか?」

「ああ、そうだな…」

「ちょっと待ってください!何故、あなたはそんな普通に会話してるんですか!」

「私、一回だけお兄様がこの格好で寝ているところを見たことがあるので。それに体が入れ替わった時にはお兄様は私の裸を見てますし、今更ですね」

俺が最初に城に泊まった時に、ジャージが無かったからパン一で寝てたら起こしに来たアイリスがこの格好見た事がある。

後者の件は黙秘する。

一緒に風呂に入った事がある癖に、ハッキリ言い切るアイリスにワナワナしだすめぐみんと、後者の件で一緒に風呂に入りそうになった事を思いだし俺にゴミを見る目を向けてくるダクネス。

「何だったら私は今日、お兄様と一緒にお風呂に入っても構いません」

「名案だな。よし、お兄ちゃんは後で行くから先に入っといてくれ」

「何、バカなこと言ってるんですか!」

「そうだぞ!それに、アイリス様も変な事を言うのはおやめ下さい!」

めぐみんに首を絞められてるとふと思いだしたが、

「お前らは一体、何をしに来たんだよ」

「「「あっ…」」」

思いだした瞬間にモジモジしだす三人。

お頭、これ三十分はかかります…!

「その、今日はカズマが前に言っていたバレンタインと言うしきたりの日らしいではないですか」

「ああー、何かそんな話したなー」

本当にこの男は鈍すぎるのでは無いだろうか。

そうだ。やっぱりモジモジしてるのは私らしくない。

カズマに苛立ちを覚え、吹っ切れた私は、

「これ、一応カズマにつくりました」

チョコを手渡した。

「あ、ああ、ありがとう…ございます…」

それに続くようにして、

「これは私から。日頃、カズマには世話になってるからな」

「これは私から。メイドさん達に手伝って貰って頑張って作ったんです!」

二人も手渡した。

「で、では…!」

「…また明日」

「…おやすみなさい、お兄様」

ガチャンと扉が絞められる部屋に残されたのはパンイチの俺と手に乗る三つのチョコ。

俺は、

「………やべぇ。普通に嬉しい」

お返しは四人にちゃんとしようと思う。

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結局、あの後特に何も無く顔を真っ赤にしてそそくさと出て行った三人。

俺は置かと合流した。

「遅いよ助手君。五分以内にって行ったよね?」

ぷりぷりと起こるクリスに、

「いや、めぐみん達が中々渡してくれないもんでね。まあ、チョコ貰えるって思ってなかったんで。それにしても、何であんなに渋ったのか…」

「……助手君は女心をもう少し理解した方がいいよ…」

男に、童貞にそんなこと望まれても困る。

というか、世の女性には女心とか言う前にじゃあ、お前は男心を理解してるのか?と、問いたい。

そしてウチの女子に聞けばどうせ俺の事をロクでもない風に言うのだろう。

「…で、お頭?今日の獲物は何ですか?」

「おっ、よく聞いてくれたね。今から向かう貴族の屋敷には前に回収した、聖鎧アイギスのセットの聖盾イーギスが見つかってね!それを回収しに行くよ!」

バレンタインなんて最初はリア充の爆発を神に願い、いずれ祈り疲れて目を瞑るようになる。そんな日だったけど今年は…

「全く。これが終わったら約束通り、下さいよ?チョコ」

「あんなに女の子達から貰っといてまだ貰おうなんて貪欲だね、キミも」

「別にエリス様がいいなら、俺はエリス様の他の私物でも構いませんけど?」

「分かったよ。終わったらちゃんとチョコ作ってきてあげるから」

今までの経験上、私物が一体何を指すのかを察したお頭が真顔で返事をする。

まあ、顔を半分はマスクで覆われて見えないけど。

「そこはちゃんと手作りなんすね」

「そうだよ。何せ、ダクネスのチョコもアタシが一緒に作ったんだから」

「へぇ、そうなんすか」

「うん。あのこ、不器用だから手伝ってって言われたんだよね。いつ作ったかは企業秘密で」

人差し指を口当たりに当ててイタズラっぽく笑うその様は正にメインヒロインである。

「でも、女神エリスの手作りチョコって滅茶苦茶レアじゃないっすか」

「そうだね、キミとダクネスと先輩には毎年あげてたんだけど……帰ったら私といてくれない?」

「そのくらいなら別にいいですよ」

「よし、着いたよ。それじゃあ…」

本当にろくでもない日だっけど、今年は…

「いってみよう!」

お頭の陰声と共に何処かの誰かの爆裂魔法花火鑑賞会の爆裂魔法が打ち上がった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

翌日。朝食を食べていると、

「そういえば、またあの義賊が出たらしいですよ」

レインが放った一言に俺はコーヒーを噴出した。

そして、俺の正体を知るダクネスとめぐみん、それからクレアが睨み付けて来るのはいいとして…

「じー」

何でアイリスまで睨んでるんだろうか。

やっぱり、アイリスには正体がバレていたのだろうか。

俺が知らぬ存を突き通していると、

「あ、そう言えばアクア。昨日、エリス様にバレンタインだからって義理チョコを預かったぞ。ほら」

俺は昨日、クリスもといエリスから預かったチョコを渡す。

「あら、あの子ったら此処まで来て何で直接私に来ないのかしら。全くもう…!」

凄く生意気を言ってるが、多分照れてるんだろう。うん、そういう事にしておこう。

「エリス様にお会いしたのか?お前は死んだときにお会いしているのは知ってるが、まさか普通に面会出来るとは…!」

ダクネスがブツブツ言ってるけど、昨日クリスと会った事を知っている以上、これ以上詮索されるとクリスがエリスであることがバレそうで怖い。

「まさか、紅魔族や王侯貴族だけで無く、国境として崇拝される女神様まで知り合いとはこの男の人脈が恐ろしい…!」

アイリスの傍でクレアとレインがガチでビビってる。

過去に俺に対して苦手意識を持った二人だが、二人もの神と知り合いという事に恐れているらしい。

「そういえば、カズマは昨日、私があげたチョコを食べましたか?」

「ん?ああ、食べたよ。皆、美味しかったよ」

「そうですか!そうですか!ええ、そうでしょうとも!」

本人達も満足そうで良かった良かった。

「ところで、誰のが一番でしたか?」

うおっ!そうきたか!アイリス…さすがは魔性の妹…!

魔性の妹、二人目だな。

うーん、嘘をついてもダメそうだし。全員とか言ってもダメそうだ…。

「うーん、素直に言うなら…」

「素直に…!」

「言うなら…?」

「誰なのだ…!」

「このフレンチトースト、美味しいわね!」

「アクアだな」

「「「「「…………」」」」」

え?何?何で皆、黙ってんの?

「特にこのシロップよ!そうね、私の曇り無き眼によると……って、何?皆、どうしてそんな怖い目で私を見るのよ」

皆がアクアと俺を睨みながら。

「……そうですか。アクアは一体いつチョコを渡したのですか?」

「えっと、カードゲームで負けたアクアが、二時間後ぐらいにチョコを持ってきて、「チョコは貰ったらお返ししなきゃいけないのよ!しかも、値段の三倍よ!これで高級シュワシュワを奢るのは無しね!」とか言ってきて、本当にその価値があると認めたら許してやるって言って…」

「それでどう考えても見た目は板チョコで手抜きだなって思って…」

「酷い!あれは私なりのじょーくなのに!」

「で、アルミを開放したら…」

「「「「「したら…?」」」」」

「板チョコが膨らんでちょむすけとゼル帝の形に変形した」

今思い出しても凄かった。何が凄いって、アルミを破った瞬間に煙りが噴出して、それが晴れた頃にはテーブルの上には破れた袋とそのど真ん中にチョコ製の等身大ちょむすけ&ゼル帝像が置いてあった。

アクアがその場にいなかった事からすり替えた分けでは無い。

…と、めぐみんが一言。

「と言うことは、一番最初にカズマにチョコをワタシタノハアクアだったわけですか…」

三人の自然がギロリとアクアに集中する。

「な、何?どうしたの?」

俺はダクネスに抱えられて連れて行かれるアクアを見ながら、

「ちょっと、何なのよ!ねぇ、助けてよ!カズマさーん!!」

「俺に人生で始めてチョコをくれたかーちゃん以外の異性は、近所にいた雇った女の子だよ!」

アクアを助けに三人を止めに行った。


後、エリス様のチョコ。アレが一番美味かったです。さすがにエリス様にチョコを貰ったとは言えないですけど。

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