第14話:目的地到着


 翌日、俺たちは首都ヘンメリッツから飛行機でフーズマンへ向かった。

 フーズマンは、余り栄えた国ではないが平和な国として有名だ。

 まずは、フーズマンのラダダマックとの境界線近くの街へ行って一泊。


 そして現在、ラダダマックからの国境を越え目的地の国アスナ。


「ここに、メカニズムハートがある……」

 俺の目的は、ドール永久機動機関メカニズムハートを手に入れること。

 ではなく、その先。

 メカニズムハートを手に入れて、メルを永久に動けるようにすること。

 鉄心の薦めでは、この国のとある骨董屋に行けば何か情報を得られるであろうと言うことだったが、どこにあるんだろうか。

 まあ、まずは色々聞いてみるしかないか。


「ここなんか情報屋とかいそうだな。入ってみるか」

 俺が入った店は、とある飯屋。

 老舗感のある外装とは打って変わって、内装は若者受けしそうな感じに洒落た装飾だ。

 客も多いとは言えないが、常連客でなんとかなっているような感じだ。

「いらっしゃいませ!お好きな席に掛けてお待ちくださーい!」

 飯屋にはいると、まだ16ぐらいの若い女店員の明るい声で接客された。


「はい。とある飯屋でございます。ご注文お伺いします」


 店の奥からは、出前の電話での声も聞こえる。


「にしても珍しい店名だよな。とある飯屋なんて」

「そうですか?ここらの店はだいたい店名はとあるですよ」

 水とメニューを運んでさっきの女店員が俺の独り言に答える。

「へぇー。あ、そうだこの近くに骨董屋はないか?」

「骨董屋ですか……。すみません、私は覚えはないですね。他の店員に聞けば知ってるかもしれません」

「そうか」

「聞いてきましょうか?」

「ん?頼めるか?」

「ええ。聞くぐらい全然」

 そう言って女店員が小走りで厨房の奥へと消えた。

 早速いい情報が得られるとは思っていなかったが、あまり有名な店ではないみたいだな。


 うん。可愛いわ。メル。


「すみませーん。やっぱり誰も知らないみたいです」

 数分経った頃、俺がテーブルに伏せたようにしてメルを眺めていると、厨房の方からまた小走りで16ほどの女店員が俺たちの方へ来て言う。

「そうか。ありがとな」

「いえいえ」

「んじゃ、俺たち行くよ」

「はぁ……。って、ご注文は?」

「また来る」

 そう言って俺たちは、店を出た。


「さて、次どこ行くかな」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る