あなたのパンツはこれですか!?

れ!

プロローグ

 机の引き出しを開けると、そこには女児用パンツが入っている。


 何故俺がこのような事態に至ったのか、それは三年前の夏に遡る。


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 その時中学一年生だった俺は、夏休みを利用して友達とプールに遊びにきていた。

 プールに到着して、まず俺たちは水着に着替えようと更衣室を訪れた。

 そこで、俺は一枚の張り紙を見つけた。


「ん?『男子更衣室のロッカー故障のため、本日、男性の方は女子更衣室で着替えてください。』って書いてあるな」


「まじ!? 女子と一緒に着替えるってことか!?」


「いや、『女性の方は別の更衣室を用意してあります。』って書いてあるな」


「ちえっ、なーんだ。面白くないなあ」


 いや、こいつは何を期待してるんだよ。


 この頃の俺は真面目な人間だった。親が厳しく、下品なものは全て親の手によって排除されてきたからだ。そのためその時の俺は、女性も男性と同じようなパンツを履くのだろう。と思っていた。


「ちょっと俺、トイレ行ってくるわ!先、着替えといてくれ!」


「おう」


 一緒に来ていた友達がトイレに行ったので、俺は先に着替えることにした。

 俺はなるべくプールに近いロッカーを使用することにした。


 ガチャ。

 俺はロッカーを開けた。

 ん? なんか入ってるな。忘れ物かな……。

 俺は忘れ物が何か確かめようと手に取った。

 そして……


「……!?!?!?」


 俺は頭に雷を落とされたような衝撃を受けた。

 なんと俺が開けたロッカーに入っていた忘れ物。それは『女児用パンツ』だったのだ。

 可愛いふりふりが着いていて、少し男性用パンツより小さい。そして大事な部分を隠す布の面積が狭い。

 俺はこんなパンツを初めて見た。

……しかし、どこか懐かしい。

 そして俺は何を思ったのか、そのパンツを被った。


「......!?!?!?」


 そしてまた頭に雷が落とされたような衝撃が走る。

 これはやばい。癖になる。ダメだ。どうすればいい......。

 俺がこの女児用パンツの処理に戸惑っていると、友達がトイレから帰ってきた。


「ごめんごめん、待たせた!ってあれ?まだ着替えてなかったのかよ」


「あぁ......。ちょっとな」


「ふーん?」


 俺は咄嗟にパンツをカバンの中に押し込んだ。

 俺の本能がこれを持ってることがバレたらヤバい。と動いた結果だ。


「まあいいや、早く着替えて泳ごうぜ!」


「あ、あぁ......」


 そして俺はその女児用パンツを、家に持ち帰った。


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「はぁ......。どうしようかな」


 3年たった今でもその女児用パンツは俺の机の引き出しにしまってある。

 俺は明日から高校生になる。

 流石に高校生にもなって女児用パンツを持っているのはおかしいだろう。

 俺は女児用パンツを持っていることを隠して、高校生活を送ることを決心した。


「まぁ、ずっとこの引き出しに入れてとけば大丈夫だよな」


 俺は机の引き出しを閉めた。


 まさかこの女児用パンツがラブコメの引き金になるとは、この時の俺は知る由もなかった。

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