第152話 栄光
「ここがダンジョン『栄光』ですか」
アイルはやはり緊張した表情でそう言った。
ダンジョンの入口は、見るからにダンジョンらしい雰囲気を醸し出す典型的な遺跡スタイルだった。
「一階層から三階層は物理が無効、だったかしら」
「そうだな」
前衛が食い止めて後衛が薙ぎ払うのが基本攻略スタイルになる。
だがミルムは……。
「ならそこまでは私が先導するわ」
ミルムにかかれば前衛の足止めなど全く必要がないらしい。
「まあ、そう言うなら任せる」
「私は物理が効かない相手では特に何もできませんので……」
というわけで攻略が開始された。
「いよいよですね!」
「まあ、あまり緊張して固くならないようにな」
「そうよ。死んでも問題ないパーティーなのだから」
「いや、それは問題だろ……」
冗談とも本気とも取れないミルムの言葉を受けながら、ダンジョン『栄光』の攻略を開始した。
◇
「凄まじいですね……」
「俺もびっくりだよ」
宣言通りミルムが自ら先陣に立って、見える範囲に現れるすべてのゴーレムを瞬時に破壊し尽くす規格外の力を見せつけていた。
そのおかげで三階層までの攻略は文字通り瞬殺だった。
あっという間すぎてアイルがまた自信を喪失しているくらいだ。
「これ……私は必要だったのでしょうか……」
「これからだから、な?」
「そのとおりよ。ここからは物理でしか倒せない相手も現れる」
三階層までとは雰囲気が変わる。
王都騎士団をもってしても引き返すことを余儀なくされた四階層。
うごめくゴーレムたちが、これまでとはまるで違うオーラを放っていた。
「私の予想が正しければだけれど、もうすでに力でねじ伏せるステージは終わっていると思うわ」
ミルムがゴーレムを破壊しながらそう告げる。
だが破壊されたゴーレムはまたたく間に元の姿に再生し、再びミルムに襲いかかっていた。
「私もそう思います。お二方ならここも強引に突破できるのでしょうが、およそ人の力で突破させることは考えていない強さです」
アイルが迫りくるゴーレムの攻撃を受け止めながら言う。
一撃で倒せる俺やミルム、そして互角以上に戦えるレイやエースがいてなお、アイルが戦闘に参加せざるを得ないほどにゴーレムの数が増えているのだ。
ましてやゴーレムは破壊してもすぐに再生する。このままゴーレムたちが集まってくればジリ貧だった。
「喚び出すぞ」
「ええ」
【宵闇の棺】を使い、元冒険者のゴーストを三体召喚した。
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