第118話
「ったく……魔術協会はメイルの出身組織だ。ミレオロとも個人的なつながりはある」
「ということは……」
「十中八九、あいつら魔術協会とつながりやがった」
ギレンの表情から察するに、字面以上に厄介なことになっていることがわかる。
「魔術協会ってあれだよな。魔道具や魔術の指南書とかを全部取り仕切ってるっていう……」
「ああ。だがおそらくお前さんが思っている以上にあいつらの影響力はでけえ。なんだかんだ言っても魔術で動いてるもんは多いんだ。うちの登録システムもそうだし、建物の中、人として生活してりゃ生活に必需と言える魔道具は山程ある」
「なるほど……それは仲介しか出来ない冒険者ギルドじゃ、組織としての力差がでるわね」
「そのとおりだ。忌々しいことにな」
実際に圧力をかけられるくらいには力差があるってことだもんな。
厄介な……。
「じゃあ魔術協会にも気をつけろっていう忠告か? これは」
「いいや。もうちょい根深いぞ。王都騎士団も今回の件から一時的にだが手を引いてる」
「王都騎士団が!?」
王都騎士団が動いた理由はロイグだ。
このまま行くとロイグは騎士団の汚点になるし、自らの手でと考えたのだろう
だがあの組織が動きを止めたというのは気がかりだ。
あれは文字通り国が直接関わる組織。魔術協会が圧力をかけられるのか……?
「おそらくだが、フェイドたちが直接王都騎士団に交渉に出向いた。何かしら利害が一致し、休戦状態となり、その後魔術協会が動いてる。じゃねえといくら魔術協会でもいきなり王都騎士団に圧力はかけねえとは思う」
もっともミレオロだと何をしでかすかわからないとは付け加えていたが。
そもそもギルドも国をまたぐ相当大きな組織なのだ。そこに影響を与えられていることだけでおかしい。
「要するに俺たちは今後王都騎士団にも魔術協会にも警戒が必要ってことか……?」
「そういうこった。もっというと、ミレオロに気をつけろ」
「ミレオロ……か」
不死殺しアンデッドキラーというくらいだからまあ、俺と相性が悪い感じはとてもする。
「アンデッドに特化してるってことは、聖属性の使い手なのか?」
「いいや。あいつは純粋な魔法使いだ。特化もクソもねえ。ただただ強い」
「ギレンがそこまで言うのか……」
「正直、フェイドたちに、まだお前がいた頃で考えてもあのパーティーなんざ一瞬で壊滅させられる力があるぞ」
「そこまで……?」
あれで一応俺たちはSランクパーティーだったのに……。
「弱点属性に特化してるわけじゃないのにそんな異名がついてるって、相当だな」
底しれぬ実力に戸惑う俺に、ミルムがアンデッドについて説明してくれた。
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