Earnest love for

福蘭縁寿

第1話


 私の大好きな人。

 

 貴方ったら、私が起きて朝ご飯の仕度をしていても全然起きないの。今日はお米かパンか悩んでも、まだ寝ている貴方には聞けないから私は一人で考えるのよ。考えても貴方はどっちがいいか分からないから、どちらでもいいように私は両方用意するの。だからいつも二人で同じ物は食べられないけど、美味しそうに食べてくれるだけで私は充分だわ。



 やっと起きてきた貴方。寝癖かしら、横の髪がぴょこんと上を向いているわ。さぁ、まずは顔を洗ってきて。それから二人で食べましょう。


 今日の貴方はお米の気分。それなら私はパンを食べるわ。私が食べ終わっても、貴方はのんびりテレビを見ている。もう家を出る準備をしないと間に合わないのよって言っても、貴方はテレビに夢中。何度言っても聞かないんだから。私は先に出るからね。やっと、貴方は時間に気付いた。慌ててスーツに着替えている。それじゃあ、お先に行ってきます。



 私が会社に着いてもう十分経つわ。貴方はいつ来るのかしら。なんて思っていたら慌てて貴方は来たの。ジャケットもネクタイも乱れているわ。そんなところも可愛いと思ってしまったり。本当に私がいないと駄目なんだから。


 お仕事中は真剣な眼差しの貴方。笑っている顔も無邪気でいいけれど、そんな表情も素敵だわ。私もちゃんとお仕事しなくちゃね。


 もう少しでお昼休み。貴方はなんだかそわそわしている。今日何かあった?


 お昼休みになった途端、貴方はすぐに何処かへ行ってしまったわ。どうしたのかしら。大事な予定なんか入ってた? 私は仕方なく、カフェで一人、貴方のことを考えながらコーヒーを飲んだの。お昼休みが終わる少し前、貴方は慌てて帰ってきたわ。小さな紙袋を持っていたの。なぁに? プレゼント? 


 あと三十分でお仕事も終わり。今日も素敵な貴方を見ながらお仕事できたわ。そして帰ったら、職場では見れない貴方の表情が早く見たい。



 十七時。ぴったりに終わらせることが出来たわ。帰りに夕飯の買い物をして、貴方においしいご飯を作らなきゃ。



 十八時。スーパーに来てる。今日は何にしようかしら。しょうが焼き? 親子丼? 健康でいてほしいからお野菜たくさん摂ってもらうために、野菜炒めなんてのもいいかもしれないわ。サラダも用意しましょう。トマトとレタスのサラダにキャベツにパプリカ、アスパラあとは何がいいかしら。あ、お肉も少し入れましょう。貴方のためにビールも買っておこうかな。今日は一緒に飲もうかなぁ。


 十八時五十分。お家に帰ってきたわ。貴方はまだ帰ってこないのね。今日は遅いのかしら。さぁ、夕飯の仕度を始めましょ。野菜炒めにスープにサラダで栄養満点ね。


 十九時三十分。貴方が帰ってきたわ。遅かったわね。あの小さな紙袋はまだ大事そうに持ってるの。そして見つからないように隠しているわ。私には見え見えなんだから。さぁ、一緒にご飯を食べましょう。


 おいしい?


 あ、もうそろそろお風呂の時間ね。湯船に浸かると思ってもう入れておきましたよ。ああ、すぐ入る? バスタオルはいつものところにあるからね。さて、貴方がお風呂に入っている間にお片づけをしてしまいましょう。


 もう上がったの? それじゃあテレビでも見ながらビール飲もうか。はい、ビール。ちゃんとグラスも冷やしておきましたよ。美味しく飲めるね。


 テレビも見終わって、ビールもなくなっちゃったね。明日も早いしそろそろ寝ようかな、おやすみ。私達は一緒には寝てないけど、毎朝ご飯は食べる仲。休息はちゃんととらないとだからね。



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