ロクデナシ回顧録
幸 石木
はじめに ※必読※
「それを小説にしたら面白そうなのに」
とよく言われた。高校生の時からである。
もちろん、私の他にもそう言われたことのある人は多いだろう。
他愛もない身の上話の中で、少し特異な経験を話せば誰かがそう慰めてくれる。過ぎた話であれば特に。
済んだ話だからこそのウェットなジョークとも言えるか。
言わずもがな、私もそれを真に受けたことはなかった。
たしかに、他で聞かぬ話ではあるものの、私の人生は私にとっては普遍のものだからだ。私の人生は、そんな特別なものではないという謙虚さがあった。
事実、生きていれば到底、私が思いもつかないような経験を聞かされることが多い。
だが決定的に違うと理解した出来事があった。
このキャッチコピーにもある通り、私は私の娘の顔を知らない。
娘が生まれたその日に、妻に別れを切り出され、その日以降妻にも娘にも会うこと叶わず現在に至るからだ。
これと同じ経験をしたものが居れば手を上げてほしい。仲間だ。手を取り慰め合おう。
さてそれまでも、人生が小説のように波乱に満ちている、と言われた私だったが、この出来事には私自身が間違いなくその通りだと思った。
私は今、小説になるようなドラマチックで数奇な人生を歩んできたという自負がある。
そして数年がたち、私自身の納得をもって、私の人生を綴ることを決意した。
これは共感を得るためのものではない。
思い知らせるものである。
このような人生もあると知れ。
このようなロクデナシがいると知れ。
と、挑戦的な文章を書いたものの、私は臆病者である。
「母が自分の腹を目の前で刺し、父はそんな母を蹴り上げた」
比較として、この程度では済まない事を置いておく。
念のため言うと、蹴り上げたのは母が帰ってきてすぐのことである。よって父は捕まっていない。母も刃先が少し入っただけで2,3日の内に帰って来たと思う。
まあ大したことではない。
こう書くとまるで暗い話ばかりのようなので、明るい話題を置いておく。
「家が倉庫に間違われ、通りすがりにカラーコーンバーを投げ込まれた」
これは本当に、私の好きな思い出で笑い話である。
さて、そしてもちろんできれば共感もしてほしかったりする。私はズルい大人である。
よって自身の筆力向上も兼ねて、様々な形式で人生を綴ることとした。
紹介文にも書いてあるがポエムにはタイトルに『』を付けてある。その他、カッコは付けないつもりでいる。
ポエムのいろはも知らぬ男の書いたものなので、過度な期待は禁物である。理論とか全く知らない。
さいごに、忘れてはならないのが、これはロクデナシの回顧録であると言う事である。
性描写あり、とのタグから察する方も多いと思うが、私は女性関係に難がある。
まぁ離婚したという時点で、難があることは完璧で傷一つない事実である。
そのほか私は人生において間違いを犯し続けてきた。
これはそんな私の、赤裸々な告白であり、贖罪であり、また異常に楽観的で気の抜けた私が形成されるまでの回顧録である。
ここまで覗いていただけた方々に、文章では伝えきれぬ感謝を致します。
そしてどうか、最後まで私の人生を覗いていってくださいませ。
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