第3話2017年4月1日~7月31日
さあ私の第二の人生スタート。
意気込んだ。とってもとっても張り切った。
始まりの一か月は、出費を抑えたくて、一時間かけて施設まで歩いて出勤してた。
初めの一週間。とってもとっても楽しかった。満ち足りていた。
私とっても役に立ってるでしょ。ねえねえ見て見て。
そんな気持ちでいっぱいだった。
そこから先は、怒られることが多かった。
なんでこれやってないの。なんですぐ来ないの。なんで言ったことやってくれないの。なんでなんでなんで。
私やってたよ。一生懸命やってたよ。休憩時間でも働いてたよ。すっごく責任持って行動してたよ。ねえなんでそこを見てくれないの。なんで私怒られてばっかりなの。
なんで私こんなに惨めなの。
ヤンキー上がりの同い年の女介護職員。うんと年上の女看護師。
私に言ってきたこと。私にしてきたこと。
絶対絶対許さない。許せない。
仕事をしながらの資格講座。自律神経が不安定で、辛くて、吐いて、泣いた。授業中でも、泣いていた。誰も、助けてくれなかった。
いや、あのチューターさんは、いろいろ気にかけてくれた。それだけは、救われた。
4月初めの会社研修の講義の時も涙が止まらなかった。
2月とは別の、メンタルクリニックに行った。診断書をもらった。切り札となった。
リスカはずっとやってた。手首に、腕に、首に。服を血まみれにしてやった。
クリニックで薬をもらってからはそれでODしまっくった。
二階のフロアのベランダから、本気で飛び降りてやろうかと、思った。
3か月経つまで、必死で耐えた。
3か月経って、退職願と診断書を出した。退職日までは、自分がいつ死ぬかわからなかった。
退職願を出したら、施設長が説得しに来た。身勝手なことを言ってきた。私の心には刺さらなかった。
私が退職できるかできないか教えられる前に、施設長が有給を取った。逃げたんだと、思った。自分だけ逃げてずるい、と本気で思った。
私が退職願を出す前に、二人、無断欠勤をしてそのままやめていた。人員が少なかった。私が止められていたのはそのせいだ。私自身が必要だったわけじゃない。私という駒を残しておきたいだけ。
実家に、泣きついた。帰りたいと。まだ死にたくないと。言った。言ってしまった。ここでやっと、自分が間違っていたんだと認められたんだ。気づけたんだ。
退職日直前の3日間、生きてる気がしなかった。
早く終われ早く終われと念じていた。
7月31日、最後の日、出口の扉を開く直前、上記とは別の看護師さんに「がんばってね」と言われた。いろんなものがこみあげて泣いた。
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