第19話 感謝と負い目

 気が付けば、アキラはどこまでも真っ白な世界に立っていた。世界の作成を放棄したように果てなく白く、何もない。自身がそのような場所にいることに不安も不自然さも覚えない朧気おぼろげな意識の中、これは夢だと何となく理解していた。


 近くにアルファが立っている。無表情で、視線はただ前に向けられていて、アキラに気付いている様子もない。動かす者のいない人形。アキラはアルファの横顔からそんな雰囲気を感じていた。


 そのアルファが何かを話している。


「1回目。失敗。未到達。対象死亡による継続不能。支援方法を要検証」


 記録をただ読み上げるような口調で話し続けている。


「2回目。失敗。未到達。対象死亡による継続不能。戦闘支援を要検証」


 興味のない報告を続けるように話し続けている。


「15回目。失敗。未到達。依頼破棄による継続不能。対象は生存。負傷による依頼取り下げ。誘導方法を要調整」


「16回目。失敗。エリア1に到達。対象死亡による継続不能。戦闘支援方法を再検討」


 ひたすらに話し続けている。


「87回目。失敗。エリア7に到達。対象死亡による継続不能。戦闘支援方法を再検討」


「88回目。失敗。エリア4に到達。依頼破棄による継続不能。対象は生存。続行意思喪失による依頼取り下げ。誘導方法を要調整」


 延々と話し続けている。


「497回目。失敗。エリア9に到達。対象死亡による継続不能。戦闘支援方法を再検討」


「498回目。失敗。最終エリアに到達。依頼破棄による継続不能。対象と完全敵対。処理済み。消息不明。全般的な誘導方法を再検討」


「499回目。実行中。未到達。経緯確認中。以上」


 アルファが話を終えた。すると世界から白さすら失われ、真っ暗になった。完全な闇の中にアルファの姿だけがくっきりと浮かんでいるが、その姿もすぐに薄れ、ぼやけ、消えていく。


 一緒にアキラの意識も薄れていく。やがて全てが完全に消え去り、夢が終わった。




 アキラが目を覚ました。妙な夢を見たという感覚は残っていたが、夢の内容は既に忘れていた。続けて自分が見覚えのない部屋のベッドで横になっていることに気付くと、その驚きで夢のことなど意識から完全に押し流された。


 以前のアキラならば、見覚えのない場所で目を覚ましたことを自覚した瞬間、すぐに飛び起きて周囲を必死に警戒していた。しかし今は驚いてはいるもののその警戒心は薄く、寝起きで意識を少し鈍らせたままだ。


 そのかつてなら致命的でさえある緩みの原因は、危険な路地裏以外の場所で目覚めることに慣れてきた日々の生活であり、普段使用している宿よりも安全で上質な部屋の雰囲気でもある。だが一番の理由は、そろそろ見慣れてきた人物が危険など無いと知らせるように微笑ほほえみながら、いつものようにアキラをのぞき込んでいたからだ。アルファだ。


『お早う。アキラ。よく眠れたみたいね』


 アキラが身を起こして状況を把握しようとする。部屋には生活感があり、どこかのホテルなどではない。戦闘で体に付着した血や泥が綺麗きれいに拭かれている。服も真っ白なシャツとズボンに変わっている。疲労は完全に抜けていて、目覚めも良く、体に痛みもない。体調的には万全だ。アキラはそれらを認識すると、まだ少し寝ぼけていた頭の切り替えをようやく終えるとともに、その顔に状況への困惑を強く表した。


『お早う。アルファ。ここはどこだ?』


 アルファはその問いに答えるように部屋のドアを指差した。するとそこからサラが入ってくる。そしてアキラを見て少し驚いた様子を見せた。


「アキラ。目を覚ましたのね」


 サラは大きめのシャツに下着だけという、いろいろと隙の多い格好だ。その随分と気を抜いた姿は、ここがそれだけ安全な場所であると自然に示し、見知らぬ部屋にいるという警戒をアキラからほぼ完全に取り去った。ただしアキラの中で、別の意味での困惑と戸惑いは大きくなった。


「気分はどう? まだ起きるのがつらいのなら、ゆっくり寝ていて良いのよ?」


「えっと、大丈夫です」


 いろいろな意味で戸惑いはしているが、体調自体は申し分の無い状態だ。それを示す意味を含めて、アキラはしっかりと答えた。この様子なら大丈夫だろうと、サラも安心して笑って返す。


「そう。良かったわ。ここは私とエレナの部屋よ。アキラの荷物は向こうに置いてあるから安心して。服も洗って一緒に置いてあるわ。着替えるなら持ってくるけど、どうする?」


「あ、自分で取ってきます」


「いいのよ。お客さんなんだからゆっくりしていて。持ってくるわ。ちょっと待っててね」


 アキラは状況に流されていた。だがサラが部屋から出ていきドアが閉まると、途端に慌てだした。


『アルファ。どうなってるんだ!?』


『取りえず、ここは安全よ。それを理解したら、まずは落ち着きなさい』


『いや、そう言われても……』


『私から聞いたとは答えられない以上、急に知らない場所で目を覚ました人間が事情を詳しく知っていたら不自然でしょう? まずはサラに聞きなさい。私からの説明は、その後。分かった?』


『あ、ああ』


 アキラはそのまま落ち着かない様子でサラの戻りを待つ。安全な場所にいるのに落ち着けないという経験に戸惑いを覚え、それを自覚して更に戸惑い、もっと落ち着けなくなるという状態だった。その所為せいで、戻ってきたサラから服を受け取った時も軽い緊張を見せていた。


 それらの要因に加えて、サラに見られながらということもあり、少しぎこちない手付きで着替えていると、それを病み上がりの所為せいと捉えたサラに優しく声を掛けられる。


「アキラ。手伝った方が良い?」


「だ、大丈夫です」


「そう? 病み上がりなんだから、無理をしちゃ駄目よ?」


 優しく気遣われることに不慣れな所為せいで、アキラは更にもたついてしまった。だがその自分を見て楽しげに笑っているアルファに気付くと、その態度に反応しないように注意しながら手早く着替え終えた。


 その後、サラが現在の状況をアキラに話し始める。


「先に言っておくわね。アキラが倒れてから、もう3日ったわ」


 サラは驚くアキラのそばに座って、ゆっくりと話し続けた。




 アキラが意識を失った後、エレナ達はすぐにアキラの容態を確認した。致命的な外傷無し。回復薬を短時間で大量に使用して負傷箇所を急速に強引に治療した結果、自然治癒とは少々異なる古傷のようないびつな治療跡となっているが、負傷自体は完治している。血のにじんだ服が大量の出血を示していたが、回復薬のおかげで呼吸も脈拍もしっかりしている。


 最悪でも小康状態。致命傷にはほど遠い。エレナ達はアキラの容態をそう判断すると、まずは安堵あんどした。そしてカツラギ達にすぐに都市に向かうと伝えた。カツラギ達からも異議は出なかった。


 その後、エレナ達は一向に目を覚まさないアキラを自宅に連れ帰ると、目を覚ますまでベッドに寝かせておくことにした。命に別状はないが、恐らく数日は目を覚まさない。原因は回復薬の過剰摂取によるもの。そう判断してのことだ。


 東部で広く出回っている回復薬の中身は、基本的に治療用ナノマシンと各種薬剤の混合物であり、要は壁の穴を塞ぐ材料と道具のセットだ。高級品はナノマシンが細胞そのものの代用品となり、負傷箇所を塞ぐこともある。


 便利だが弊害や副作用もある。負傷による細胞の破壊と、治療による再生。それが短時間で大量に繰り返された結果、使用者が急激に老化することもある。ナノマシンが負傷した状態を正常な状態だと誤認して回復を阻害することもある。


 アキラの昏倒こんとうもその弊害の一種で、怪我けがの治療を主な効用とする回復薬を、体力回復目的で短時間に大量に使用した場合に発生しやすい症状だ。命に別状は無いが、基本的に過剰摂取したナノマシンが落ち着くまで意識は戻らない。


 そしてエレナ達の予想通り、アキラは3日間眠り続け、ようやく目を覚ましたところだった。




 話を聞き終えたアキラが丁寧に頭を下げる。


「命を助けてもらった上にいろいろ面倒を見ていただいて、本当にありがとう御座いました」


「良いのよ。気にしないで」


 アキラはサラの気遣いをうれしく思い、表情を僅かに緩めた。だがすぐに申し訳なさそうな様子で続ける。


「えっと、一応俺も緊急依頼で助けてもらった……ってことになるんですよね? 助けてもらった身でこんなことは言いにくいんですけど、その、俺は金が全然ないんです。支払いって、どうすれば良いんでしょうか?」


 支払いたいとは思う。だがその意思はあっても、無い袖は振れない。近日中に金が入る予定も無い。事実を言っているだけなのだが、ある意味で、取り立てようとしても無駄だと言わんばかりのことを言っていると自覚して、アキラは自分でも厚かましいと思い、軽く項垂うなだれていた。


 だがサラはあっさりと軽く首を横に振った。


「さっきも言ったけど、私達が勝手にやったことだから気にしないで。私もエレナもアキラに緊急依頼の代金を請求するつもりはないわ」


「良いんですか? ……いや、でも、それは……、うーん……」


 有り難いとは思うが、それもどうかとも思い、アキラが渋る。しかし渋ったところで、支払い能力が無い事実に変わりはない。その所為せいで難しい表情を浮かべていると、サラが表情を少し真面目なものに変えた。


「……じゃあ、報酬の代わりに、一つ頼んでも良いかしら。聞きたいことがあるから、正直に話してもらってもいい?」


「そんなことなら、はい。何ですか?」


 その程度のことならばと、軽く笑って答えたアキラが僅かにたじろぐ。サラは非常に真剣な表情でアキラをじっと見詰めていた。そして僅かに躊躇ためらった後に、報酬に見合う質問を口に出す。


「クズスハラ街遺跡で私とエレナを助けてくれたのは、アキラよね?」


 アキラが固まった。




 サラはアキラが眠っている間に、1人でシズカの店を訪れていた。雑談の中でアキラの話を聞いたシズカが苦笑を浮かべている。


「モンスターの群れと交戦するなんて、アキラも大変だったようね」


「しかも日に2度もよ? 滅多めったにない経験よね。アキラの運が悪かったのか、カツラギって人達の運が悪かったのか、それとも両方か。助かったから笑い話で済んだとはいえ、カツラギって人達の方は、エレナから報酬をたっぷり絞られたようだから、踏んだり蹴ったりで項垂うなだれてたわ。最前線からの輸送を折角せっかく成功させたってのに、群れの対応の何だかんだで、もうけの大半が吹っ飛んだって嘆いていたわ」


「それでも大きな怪我けがもなく助かったんだから、運が良いんだか悪いんだか分からないわね。そういえばエレナは?」


「エレナなら近くでカツラギの護衛と監視をしているわ。私はちょっと抜けてきたの」


「そう。……それで、本題は?」


 談笑を続けていたシズカが、気を切り替えるように少し真面目な様子を見せる。シズカはサラの本当の用件を何となく察していた。


 察せられ、促されたことに、サラが軽い驚きと僅かな苦笑を見せた。そして少し真面目な態度になる。


「以前にクズスハラ街遺跡で私達が誰かに助けられたって話はしたわよね?」


「ええ。サラが何度も話してくれたから、細かい内容までちゃんと覚えてるわ」


「シズカは、それが誰か知ってるんじゃない?」


 サラはシズカをじっと見ている。シズカはその強い視線にも目立った反応を見せずに、サラの様子を見て、少し思案してから聞き返す。


「何でそれを私に聞くの?」


「シズカは勘が良いから」


「そう。そういうことなら私の返事は、知らない、よ」


「シズカ」


 サラは少し強い口調でシズカの名を呼び、真剣な表情で相手の目をじっと見ていた。無意識にハンターとしての威圧をにじませていた。


 しかしシズカは動じない。ハンターを相手に商売をしているのだ。その手の耐性は付いていた。何よりも、目の前の友人を、良い意味でよく知っている。慌てる必要は全くなかった。落ち着いた口調で少し言い聞かせるように答える。


「私が本当に知らないし、心当たりもないのなら、知らない。私が勘でそれが誰なのか何となく気付いていたとしたのなら、それが間違いだった時に相手にもサラにも迷惑が掛かるから、知らない。知っているけれど、当人から黙っていてくれと頼まれていたら、話したらその人からの信頼を踏みにじることになるから、知らない。相手から口止めはされていないけれど、知られたくないと思っているようなら、私が口を出す問題ではないし、客が嫌がる話を吹聴ふいちょうしたら店として大問題になるから、知らない。いずれにしろ返答は、知らない、になるのよ」


 サラは黙ったまま僅かに表情をゆがめた。シズカが表情を変えずに続ける。


「それに、本当の本題はそんなことじゃないんでしょう? サラはその人物が誰なのか、明確に予想している。そして、サラの直感はそれが正しいと判断している。でも理性的な経験はそれが誤りだと判断している。だから否定する判断材料を、私に消してほしかった。たとえそれが私の勘でも。そうでしょう?」


 図星だった。正確には、そう指摘されて、サラはようやくそれを自覚した。


 紙に書かれていた子供が書いたような汚い字。ペンダントに加工した弾丸を見た時のアキラの反応。そしてアキラが所持していた回復薬。アキラの所持品を整理した時に見付けたものは、遺跡で譲ってもらったものと同じものだった。それらがサラに遺跡で自分達を助けてくれたのはアキラだと判断させた。


 しかしいずれも決定的な証拠ではない。そして何よりもサラのハンターとしての経験が、アキラの実力では、あの状況で、あの戦力差を覆して自分達を助けるのは不可能だと判断していた。


 判断に迷ったサラはシズカの勘に頼ろうとした。シズカの勘の鋭さは自分もエレナも認めている。そして鋭い勘は時に理性的な判断を覆す納得できる理由になり得る。サラはシズカに自分達を助けた人物はアキラだと、その勘で肯定してほしかったのだ。


 それに気付いて僅かに戸惑っているサラに、シズカが更に続ける。


「ところで、サラは何をどこまで知りたいの? 単に命の恩人が誰か知りたいだけ? それともそれに付随するいろいろな疑問を隅々まできっちりはっきり納得するまで知りたいの?」


「そ、それは……」


 サラは答えられなかった。聞きたいこと、知りたいことは幾らでもある。しかし聞かなければならないことは、知らなければならないことは、その極一部だ。


「よく考えて聞きなさい。聞きたいことと聞かなくてもいいことを、しっかり伝えてから聞きなさい。誠意を持って聞きなさい。それでうそかれたのなら、それはそういうことでしょう?」


 知らないと言われ、本当ならば別人だ。うそなら絶対に話したくないか、何が何でも関わりたくないという意思表示だ。サラはそれを理解して、しばらく黙り込んでいた。


 本来ならアキラが目覚めた後に聞けば済むだけの話だ。しかし自分はそれをなぜか躊躇ちゅうちょしている。サラはそれに気付くと、その理由にもすぐに気付いた。


 尋ねて、それを否定されるのが嫌だった。理由はそれだけだ。サラはそれをようやく自覚した。


 いろいろと自覚したサラがシズカを見て思う。恐らくシズカは自分がようやく自覚したことを自分よりも早く気付いていた。もしかしたら、それを嫌がる理由まで気付いているかもしれない。まだ自分は気付いていない、その理由に。


 それをシズカに尋ねるのはめることにした。それは誰かに尋ねるものではなく、自分で気付くべきものだ。そう思った。サラが吹っ切れたように笑う。


「分かったわ。その時になったら自分で聞いてみる。ありがとう。シズカ」


 シズカも安心したように笑って返す。そして、笑みの種類を少しだけ別の意味で楽しげなものに変える。


「どう致しまして。それじゃあ、参考までに私の勘をちょっと話しておきますか。サラは旧領域接続者って知ってる?」


「旧領域接続者? 聞いたことがあるような……」


「詳しいことはエレナに聞いてみなさい。彼女ならよく知っているはずだから。簡単に説明すると、旧世界のネットワークによく分からない方法で接続できる人間のことよ。その場の遺跡の構造や、そこにいる人間やモンスターの位置を正確に把握できる人もいるらしいわ。便利な反面、その便利さの所為せいで大変なことも多い。そんな人達のことよ」


 サラがシズカの話をアキラに当てめていく。その話が正しければ、アキラ程度の実力でも自分達を助けられる。あの非常に濃い色無しの霧の中で、全員の位置を周辺の地形も含めて正確に把握できれば、全員目隠し状態の中、一人だけ普通に見えているようなものだ。勝率は跳ね上がる。そしてそれを隠そうとする理由も理解できる。どうやって自分達を助けたのか。それを推測すれば、旧領域接続者であると悟られる危険性が高くなる。下手に知られれば、命に関わる。


 サラがじと目でシズカを見る。


「……良い勘をしているわね。初めからそれを話す訳にはいかなかったの?」


 シズカが少し楽しげに笑う。


「いろいろと決めていない人に話したら大変でしょう? 頑張りなさい」


 サラはシズカの返事に納得してしまい、少し悔しそうにうなっていた。




 シズカから旧領域接続者の話を聞いた日の夜、サラが風呂上がりのエレナに少し唐突に質問する。


「エレナ。旧領域接続者って知ってる?」


 エレナは体を拭くのもほどほどにして、頭部装着型の情報端末を操作していた。下着も着けずにバスタオルを巻いただけの、いろいろとだらしない格好だ。サラが以前にそれを指摘すると、防水だから、という返事が返ってきたので、以降は何も言わないことにしている。


 エレナが少し意外そうな態度を返す。


「旧領域接続者? サラがそんなことを聞くのは珍しいわね」


「ちょっとね。シズカがエレナなら詳しく知ってるって言ってたから」


「具体的には何が知りたいの? わざわざ私に聞くってことは、ちょっとネットで調べれば分かるようなことを知りたい訳じゃないんでしょう?」


 サラとしてはその基礎的な知識から知りたかったのだが、正直にそう話すとエレナが怒りそうだったので言い方を変える。


「有効性と危険性。本人と周辺の両方で」


「面白いこと聞くのね。じゃあ、本人の有効性から」


 エレナは少し楽しげに話し始めた。


 旧領域接続者の有効性は多岐にわたるが、最大の利点は旧領域と呼ばれるネットワーク、旧世界時代に構築された情報網に接続できることだ。旧領域は現在でも膨大な情報を保持し続けており、そこに存在する知識の価値は計り知れない。だが現在の技術では旧領域への接続さえ困難な状況で、通常は遺跡などで発見された特殊な接続端末を介して接続しなければならない。


 しかし旧領域接続者はそういった機器を一切使用せずに旧領域に接続できる。接続方法は不明で、企業の研究班の努力にもかかわらず完全には解明されていない。また、旧領域を介した通信は、色無しの霧と呼ばれる事象による通信障害に一切左右されないと考えられている。


「それ、そんなにすごいことなの?」


 少し不思議そうに口を挟んできたサラに、エレナはあからさまに分かっていないと言いたげな表情を浮かべた。


「これは物すごいことなのよ? 色無しの霧は濃度の差はあれ東部全体を常に覆っているわ。それにもかかわらず都市間長距離通信が正常に機能しているのは、その通信に旧領域を介しているからなのよ」


「エレナの情報端末とかの通信も? でもあれは色無しの霧が濃いと駄目になるんでしょう?」


「あれは別の通信機能で動いているのよ。都市を中継局にした短距離通信とかでね。だから色無しの霧の影響で使えなくなったりするの。情報端末レベルで色無しの霧を無視した通信が出来れば、一体どれだけ便利になるか。常に高濃度の霧が懸かっている遺跡の調査とかすごく楽になるでしょうね」


 旧領域は現存する多数の遺跡、特に現在でも正常稼働している貴重な施設の通信網で構築されている。その施設のDBデータベースには旧世界の高度な技術情報が今も残っている。旧領域を介してそれらの極めて貴重な情報の取得に成功すれば、そしてその超技術の再現に成功すれば、人類全体に莫大ばくだいな富をもたらす。そう考えられている。


 ただし人間の脳を介して接続する所為せいで、旧領域接続者本人がその情報量に耐えきれない恐れがある。遺跡ではハンターがまれに突然死亡する事例があるが、その際に外傷等が全く無い場合、それは無自覚の旧領域接続者だった所為せいだと考えられている。何らかの理由で後天性の旧領域接続者となった者が、その自覚も制御も出来ずに遺跡から膨大な情報を取得してしまい、脳がその情報量に耐えきれずに脳死するのだ。


「脳死って、そんな可能性があるの? 私達も危なかったりする?」


 少し慌てだしたサラを見て、エレナが笑って安心させる。


「遺跡に行っただけでそんな目に遭う確率は極めて低いから大丈夫よ。少なくとも、モンスターに襲われて死ぬ確率の方がはるかに高いわ。そもそもそんな事態が頻発してたら、誰も遺跡になんて行かないでしょう?」


「まあ、そうだけど……」


「それに旧領域接続者は旧領域に接続して遺跡の場所や構造を把握できるって話もあるわ。非常に高精度な遺跡の地図を売る地図屋は、旧領域接続者だと疑われて大企業にさらわれるってうわさまであるぐらいよ。だから旧領域接続者であっても、その理由で死ぬ危険は低いと思うわ。文字通り、死ぬほど運が悪い、とかなら別でしょうけどね」


「……そうか。そうよね」


 サラが軽い安堵あんどを見せた後に、少し表情を険しくする。


「……旧領域接続者って、良いことばかりじゃないのね」


「正確には、極めて良いことばかりなので、寄ってたかって食い物にされるってとこね。統治企業とかに確保されたのなら、自由と引き替えに良い生活が出来るんでしょうけど。そこらの裏稼業の連中に捕まったら、それこそひどい目に遭いそう。あ、でもその場合は大企業に嗅ぎ付けられて、救出名目で大規模な部隊を派遣されて奪われるのかもね」


 エレナはサラが自分の得意分野の話に興味を持つのを珍しく思いながらもうれしく思い、その分だけ上機嫌に話を続けた。おかげでサラは旧領域接続者について詳しく知ることが出来た。


 それは旧領域接続者から信用を得るのがどれほど困難なのか理解したという意味でもある。サラはアキラが目覚めたら、それを本当に尋ねるべきなのか、少しだけ、迷った。




 アキラは軽く頭を抱えていた。エレナ達を助けた人物が自分だとサラに知られてしまったからだ。ただそれをそこまで深刻な問題とは考えていなかった。エレナ達を助けたのを隠していたのは、その動機や手段などを説明するのが面倒だから。アキラの認識はその程度だ。


 アキラは旧領域接続者だ。しかしその自覚はない。旧領域接続者という単語自体知らない。アルファを認識できるのも、まれにそういう者がいて、自分もその一人、という程度にしか思っていない。


 アルファのことは話せない。どうやってごまかそうか。そう悩み始めた時、アキラはサラが自分を驚くほど真剣な目で見詰めていることに気が付いた。そしてそのサラの真剣な態度に気圧けおされてしまい、思わず思考を止めて黙ってしまう。


 サラはそのアキラの態度を自分達に対する不信だと捉えた。それを払拭するために真剣な表情で必死に訴えかける。


「アキラにもいろいろ事情があると思う。だから余計な詮索はしない。知りたいのは、私達を助けてくれた人がアキラかどうか。それだけ。私達を助けた理由も、方法も、他の事情も聞かない。聞いたことを誰かに話すような真似まねも絶対にしない」


 サラに気圧けおされたアキラは、内心かなり慌てながら表情を固くして黙っている。サラはそこに拒絶を感じた。少し悲しげに、願いを込めるような真剣な表情で続ける。


「どうしても話したくないのなら、私も諦める。二度と聞かない。だから最後にもう一回だけ聞くわ。……クズスハラ街遺跡で、私とエレナを助けてくれたのは、アキラよね?」


 サラの言葉はもう懇願に近い。命の恩人がここまで必死になって尋ねている。アキラはそれを感じて観念した。


「はい。そうです。俺です」


 それで場の雰囲気が一気に弛緩しかんした。サラが表情を緩める。アキラは少し申し訳なさそうな態度を出す。


「黙っていてすみませんでした。その、俺にもいろいろありまして」


「いいのよ。約束した通り深くは聞かないわ。それよりも……」


 サラは軽く首を横に振った後、アキラの手を握った。


「エレナを助けてくれて、私を助けてくれて、本当にありがとう。……やっと、ちゃんとお礼が言えたわ。ごめんね。無理矢理やり聞き出して。命の恩人にお礼も言えないのが結構つらくて。それも私の勝手か。命の恩人にすることじゃないわね」


 サラは笑顔で礼を言った後、申し訳なさそうにそう続けた。アキラが動揺しながら慌てて答える。


「気にしないでください。俺も命を助けてもらいました。お互い運が良かった。それで良いじゃないですか」


「そう? ……そうね。アキラがそう言うのなら、そういうことにしましょうか。ありがとう。本当に感謝しているわ」


「……いえ、どう致しまして」


 サラはいろいろと気が晴れて、とてもうれしそうに笑っていた。アキラも笑って返した。だがその笑顔には、サラには気付けない程度のほんの僅かな陰りがあった。


 サラの感謝の言葉を聞いたアキラの心には、痛みを伴う何かが奥までえぐるように深く突き刺さっていた。アキラはそれを表に出さないように、必死に耐えていた。




 アキラがサラと一緒に食事を取りながら談笑している。先ほどの会話の後、眠っていて数日食事を取っていないアキラの腹が少し大きめに鳴った。それを聞いたサラが軽く笑いながら食事を勧めたのだ。命の恩人の勧めでもあり、アキラには断れなかった。


 テーブルの上には最近のアキラの主食である冷凍食品とは格の違う料理が並んでいる。調理時間が随分と短く、聞き覚えのある音も聞いたが、アキラは気にしないことにした。とても美味おいしそうな料理が目の前に並んでいる。それを重視した。実際に料理はとても美味おいしかった。


 談笑の中で、サラがアキラに助けられた時のことを話題に出す。襲撃者達の所持品の売却金が予想以上に高額になったことも伝える。ホテル暮らしなどで特定の住居を持たないハンターには、ほぼ全財産を常に持ち歩いている者もいる。金を預金口座に預けておくと債務回収などの理由で合法的に引き出されてしまう者に多く、彼らもその類いだった。


 サラ達の金銭問題はその大金のおかげでほぼ解決した。装備を調え直した後はハンター稼業も順調で、稼ぎも増え、更に装備を調えて遺跡探索の成果も上がった。その好循環が続いたおかげで、落ち目のハンターからは完全に抜け出して、以前よりも稼げるようになっていた。サラはそれを感謝の言葉と一緒に伝えた後で、アキラにその分の金を渡すと言ったのだが、断られた。意外そうな表情で一応確認を取る。


「あいつらを倒したのはアキラなのに、本当に要らないの? 結構な額よ?」


「はい。俺は拾わずに帰った訳ですから、今更どうこう言うつもりはありません」


「うーん。そう言われてもね。命を助けられて、私達の資金難も解決してもらって、それで何にも返せないってのも心苦しいのよね」


 アキラの態度を見る限り受け取りそうにない。恩返しに無理強いしては本末転倒だ。しかし少しぐらいは恩を返しておきたい。サラがそう思ってうなっていると、アキラが代案を出してくる。


「そういうことなら、今回助けてもらった緊急依頼の代金をそれで先払いしたってことにしてください。代金の相場とか知らないんで、それで足りるのかどうかはよく分かりませんけど。俺も世話になったのに何も出せないのは心苦しいので、それで相殺ってことでお願いします」


「そう言われたら仕方無いわね。分かったわ」


 サラとアキラはお互いに恩人の顔を立てて軽く苦笑した。


 その後の話題で、サラ達が資金難を解消した後、エレナが真っ先にサラのナノマシン補給を強行した話が出てきた。その流れでサラの体、ナノマシンによる身体拡張者の話に話題が移る。


「それでね? ナノマシン系の身体拡張者は、予備のナノマシンを体の一部に確保していることがあるの。私の場合は胸よ。外付けのカートリッジにする人もいるけれど、カートリッジをなくしたりしたら大変だから私はめているわ。全身に少しずつ保持する方法もあるけど、それも限度があるからね」


 サラが自身の胸を指差す。予備のナノマシンの保管庫にもなっている胸は、ナノマシンの保有量としても、女性的な魅力としても、十分な豊満さを取り戻していた。


「その手の身体拡張者はナノマシンの消費量の具合で体型が変わることが多いの。服のサイズが大幅に変わるのよ。その都合でちょっと見苦しい格好なのは勘弁してね?」


 サラの格好はすきだらけだ。下着は比較的サイズの調整が容易たやすひもの部分が多く、かなり大きめのシャツもいろいろと隠れていなかったりしている。可変する体型の最大値に服のサイズを合わせているからだ。そしてアキラの前で平然とそのような格好をする程度には、その手の格好に慣れていた。


 なおその慣れには、変な勘違いをして手を出してきた不審者を、身体強化拡張者の驚異的な身体能力を十全に活用して排除することへの慣れも含まれている。犠牲者もそれなりに出ていた。


 その良い意味でも悪い意味でも魅力的な体の持ち主の前で、アキラは平静を装っている。


「いえ、俺は別に構いませんが……」


 だがサラはアキラの視線の微妙な動きに気付いていた。そして少し誘うように微笑ほほえむ。


「……興味があるなら、命の恩人だし、ちょっとぐらいサービスするけど?」


揶揄からかうのはそれぐらいでお願いします……」


 僅かに顔を赤くしたアキラを見て、サラは楽しげに笑っていた。


 アルファが不満げな態度を隠さずに文句を言う。


『何か私と態度が随分違うわね。体型とかなら私が勝っているはずよ? 何なの? 着エロなの? それがアキラの趣味なの?』


『黙ってろ』


 アキラは表情を変えないように注意しながらアルファの文句を切り捨てた。そして話題の切り替えを試みる。


「体格が変わるなら、遺跡に行く時の戦闘服とかはどうするんですか? 強化服とかは個人用に調整とかが必要なものもあるんですよね? 毎回調整するんですか?」


「私は可能な限り伸縮性が高くて着やすい防護服を着ているわ。その上でいろいろ羽織ったり、追加装甲を着けたりしているの。アキラの服は……、それ、一応は防護服、で、良いのかしら」


「まあ、一応は」


 アキラはシズカからその服をもらった時のことを話しながら、話題をずらしていった。防護服の性能の話から、それを着用して身を守る相手、モンスターの話題になる。


 東部に生息するモンスターは、基本的に西側ほど弱く、東側ほど強い。最前線とも呼ばれる東端では、戦車や人型兵器でなければ交戦が困難なほどに強力なモンスターが徘徊はいかいしている。だが西端では拳銃があれば十分対処可能なものぐらいしかいない。そして西側にも東側にも多種多様なモンスターがいる。時には誰かが悪ふざけで作ったようなものまでいる。


 アキラがサラから聞いたモンスターの話に半信半疑の表情を浮かべる。


「……本当にそんなやつがいるんですか? ポリタンクに脚が生えた機械なんて……、いや、そもそもそれはモンスターなんですか?」


「本当よ。ポリタンクの中に可燃性の液体燃料が入っていて、人や車を見付けると近付いて爆発するの。だからモンスターとして扱われているわ。上手うまく爆発させずに倒すと、液体燃料がそれなりの値段で売れるのよ。昔はよく狩ったわ」


 サラはその当時を思い出してしみじみと話していた。それがアキラに対象の実在を実感させ驚かせていた。


「何でそんなやつがいるんでしょうね」


「年月がっておかしくなった旧世界の生産工場が製造しているなんて話もあるわ。車に近付くのは給油をしようとしているのだとか……。じゃあ人に近付くのはなぜかしらね? 車まで案内させるため? 荒野を車で移動していたハンターが燃料切れで立ち往生していたら、そういうモンスターが給油をして去っていった。おかげで助かった。そんな話もあるわ。どこまで本当か怪しいけどね」


 その後もハンター稼業関連の雑談が続く。興味深く話を聞く駆け出しハンターと、自身の経験を少し饒舌じょうぜつに話す先輩ハンターの形式となった談笑を、どちらも大いに楽しんでいた。




 帰宅の準備を終えたアキラが玄関でサラに頭を下げている。


「いろいろありがとう御座いました。では、これで失礼します」


「病み上がりなんだから、気を付けてね」


「はい」


 帰ろうとするアキラに、サラが少し迷ってから尋ねる。


「アキラ、その、今日のことをエレナにも話して良い? 勿論もちろん口止めはしっかりしておくわ」


「下手に広めたりしなければ構いません。シズカさんも知っていますしね」


「……やっぱりシズカは知ってたか」


「ちょっと鎌をかけられて、バレました」


 苦笑を浮かべたサラに、アキラも苦笑を返した。


「そう。教えてあげる。シズカはすごく勘が良いのよ。だからアキラが装備品とかで迷ったら、シズカのお勧めにしておくと良いわ。勧める品にも勘が利いているみたいだからね」


「分かりました。サラさん。お世話になりました。エレナさんにもよろしくお伝えください」


 アキラは軽く会釈してサラ達の家を後にした。




 宿まで戻ったアキラは、自室で少し項垂うなだれていた。エレナ達の家の内装と無意識に比べた所為せいか、安宿の部屋の中が随分と見すぼらしく見える。だが項垂うなだれている原因はそれではない。サラとの食事や談笑で僅かに高揚状態だったアキラの精神が平常に戻ったことで、蓋をしていた感情が表に出てきたのだ。


 アルファが少し心配そうな表情で尋ねる。


『大丈夫?』


「…………ああ」


 アキラは表情も口調も返事とは逆の様子で答えた。するとアルファが少し強めの口調で続ける。


『言っておくけれど、私に隠し事をしようとしても無駄よ? 私はずっとアキラのそばにいるのだから、絶対にバレるわ。……だから、抱え込んでいるものは私の前で吐き出しなさい。それだけでも結構気が晴れるものよ。多分それはめ込んでおくものではないわ』


 アキラは黙ってアルファを見ている。アルファは優しく微笑ほほえんでいる。しばらくして、アキラがつぶやくような声を出す。


「……礼を言われるのがつらいって経験は初めてだった」


 アキラにはエレナ達を助けたつもりなどない。エレナ達を襲った連中を殺す口実にしただけだ。そのエレナ達に命を救われた。自分などを助けてくれたことを深く感謝している。


 その命の恩人から身に覚えのない礼を、相手を利用さえしていたことに対して感謝を告げられたことが、アキラに心をえぐる罪悪感と負い目を与えていた。


 アルファが思案する。アキラの中には何らかの基準が存在している。だがその基準の内容は分からない。少なくともその何らかの判断基準では、今回の件は借り貸しの相殺にはならず、むしろアキラを落ち込ませるものとなった。実に不可解だ。だがアキラの行動原理を把握するには、この基準の解明が必要だ。それにより、アキラをより精密に誘導し、操作できる。そう判断した。


 アルファは誰よりもアキラを理解しようとしている。誰よりも、アルファ自身のために。


 アルファが優しく微笑ほほえんで声を掛ける。


『そう。それなら次はちゃんと助けてあげなさい。それで良いと思うわ』


「……そうか?」


『そうよ。そうすればそれで今回の件はアキラの中で相殺されるのよね? それでアキラは気が楽になるし、エレナ達は助かる。私はそれで問題ないと思うけれど、違うの?』


 アキラはしばらく黙って話の内容を咀嚼そしゃくしていた。そして結論を出すと、軽く笑う。


「……。そうだな。確かにそうだ。その通りだ」


 アキラは自身に言い聞かせるように強くうなずいた。


「ありがとう。大分気が楽になった」


 元気を取り戻したアキラに、アルファが不敵に微笑ほほえむ。


『それは良かったわ。それならアキラはその次の機会にエレナ達をちゃんと助けられるぐらいに強くなっておかないといけないわね。それぐらい分かって言ったのよね?』


「あ、ああ」


『良い意気込みだわ。大丈夫よ。これからも訓練はどんどん厳しくなっていくから、アキラもすぐにそれぐらい強くなれるわ。これからも頑張ってね』


「も、勿論もちろんだ」


 アキラはうそなど言っていない。本気で答えている。しかし、不敵に微笑ほほえむアルファを見て、一抹の不安を感じずにはいられなかった。アルファはそのアキラを見て楽しげに微笑ほほえんでいた。


 意気を取り戻したアキラが、ふと何かを忘れていることに気付く。


「アルファ。俺は何かを忘れてないか?」


『日々アキラをサポートする私への感謝とか?』


「いつもありがとう御座います。で、何か知らないか?」


『そういえば、あれから3日ったけど、シェリルはどうしているかしら』


「……あっ!」


 アキラはシェリルに拠点に来てほしいと頼まれて、一応顔を出すと約束していた。いろいろと不可抗力があって行けなかったが、随分と必死に頼んでいたので、一応行くつもりではあったのだ。


 大分遅れてしまったが、いろいろあったのだ。仕方無いだろう。アキラはそう言い訳して、今更ながらシェリルの拠点に向かった。

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