終わる世界に、終わらない夢を。

綿雪 ミル

拝啓、愛するものたちへ・・・

 一本の蝋燭が薄暗い部屋にある机の上でその炎を揺らめかせ輝いている。

 蝋燭は机の上に置かれ、かろうじて蝋燭の灯りで机の上と椅子に座る人物、そして周りにある本棚と大量の散らばった本が少しだけ見て取れる。

 どうやら椅子に座っているのは青年のようだ。歳は10代後半から20代前半と言ったところだろうか…青年の髪は白く蝋燭の灯りで輝き、瞳は金色をしていた。右手には羽ペンを持っている…どうやら手紙を書いているようだ。


 手紙にはこう書かれている…


「拝啓 愛するものたちへ…

 魔獣がこの世界に現れ地上が滅ぼされてから2年の月日が流れた。私たちは生き延びた人々を連れ命からがら空へと逃げ延び現在は浮島で生活をしている。どうやら今日、これからの方針を決めるため生き延びた各国の代表達が集まるらしい…私も王として参加しなければならない。

 諸外国の王たちは地上を取り戻そうとするだろう、だが私たちではそれは無理だろう…私たちには…私にはそこに至るまでの力がない。だからこそ、世界の行く末は未来の愛するものたちに託すことにした。

 だが、私も何もしない訳にはいかない!せめて私の愛するものたちが生き延び世界を取り戻すために少しでも真理に近づこうと思っている。

 未来まで届くかは分からないがここに私の得たものを残そうと思う…」


 青年はそこまで書くとペンをそっと置き立ち上がり、部屋を後にした…誰かの名を呼びながら…


「行こう✕✕✕!」

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