パンツネコ
でぃーけーえす
第1話
うちのネコはパンツが好きだ。
特に親父のパンツが。どういうわけか、俺や姉ちゃんのパンツには興味がないらしく、近くに置いても何の行為も示さない。なのに親父のパンツとなるとそりゃあよろこぶ。なんでだろ?俺のは、臭いのか?いや、姉ちゃんのは臭いはずがないよな……ということは親父のパンツが臭いのか!?
「ヴーッ、課題終わんねー。まじ夏休みもろくに楽しめねーじゃんかよっ。高校ってこんなに課題多いのか?」
俺は夏休みの課題に追われている真っ最中だ。うちの決まりで、長期休みの課題は始めの一週間で終わらせることになっている。これは小学生の頃に、母さんが勝手に決めたおきてのひとつだ。他にもお風呂掃除や食器洗いは、姉ちゃんと順番でやる、とかめっちゃある。いっかい、面倒くさくてやらなかったら母さんに、こてんぱんに怒られた。それがすっごいトラウマになって、結局したがっている。今思えば何で母さんはこんなにおきてに、こだわっていたのだろう。まあいいか。それより早く課題終わらせないと。もうあと二日で一週間たっちまう。
「かずまー、課題終わった?」
急に姉ちゃんが入ってきた。
「終わるわけねーよ。終わってたら天才だよっ」
「ふーん。じゃあ私天才だわ」
「……えっ?!終わったの?全部?」
「もちろん!」
「あーーーっ!わかった!高三は課題少ないんだろ」
「ばれたかーってそれは置いといて。そんな課題に追われている君に朗報よ!」
朗報?課題でも手伝ってくれるのか?でも姉ちゃんそんなことしてくれるような人じゃないしなー。
「さっき、お母さんたちが話してたの聞いちゃったんだよね、海行くかって言ってるの」
「えっ!?海!?行きたい!!」
去年は受験でどこにも行けなかった。だから今年は行きたいと思ってたんだよな。たまには気が利くじゃねーか。
「で、いつ行くって言ってた?」
「そう!そこが朗報よ!行くのは明後日だって」
「……明後日って言った?」
「言ったわよ、だから課題☆が☆ん☆ば☆っ☆て☆ね☆!」
…ガーン ガーン ガーン…
あと、一日になってしまった…。明日中に終わるか?どうしよーーーーーーーう。どうしよう。ヴーーーッ。そう考えていると、急に課題たちが踊り始めた。そしてくるりとターンをすると、なぜかパンツに変わってしまったのだ。
「え、パンツ!?」
そしてすべての課題がパンツに変わってしまった。そのとき、
「ニャーー」
「へ?」
「ニャーーー」
扉の近くを見るとネコのにゃんにゃんが入ってきていた。
「にゃんにゃんどうしたの?」
にゃんにゃんはずっとこっちを見ている。
珍しいな。俺の部屋になんか入ってきたことあんまりないのに。
「あ。 パンツ。 」
俺はとっさに課題だったパンツを見た。するとそれは親父のパンツだった。
パンツネコ でぃーけーえす @renkaHirano
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