それでもまだ

いつも通りの夏

「あっつ......」

　最近、すごく暑い気がする。夏なんだから仕方ない気もするけれど、暑いものは暑いのだ。

「もうそんな時期か....」

　ふと目に入ったカレンダーを見ながら、こんな事を思う。

　お祭りか.....昔は毎年行ってたな.....すごく楽しかったことも今でも覚えてる。かき氷食べたり焼きそば食べたり、あとは.....

「来てたり、するのかな......。」

　人を探してた。会えるかどうか分からないけど、ずっと。

　なんなら、夜店をまわることよりも必死だったかもしれない。

「ばっかみたい。」

　でもそれはもう何年も前の話。もし今年会えたとして、どんな話をすればいいかも分からないし、それ以前の問題で、緊張して話せなくなるかもしれないのに。

「って、なんで会えたとしてって話進めてんの....本当に馬鹿かよ。」だけど......毎年この時期になると、考えてしまうんだ。

「賭けてみるか」

　毎年、会えずじまいだけど.....今年も。

　無駄かもしれないけれど....少しくらいなら期待してもいいよね？

　神様がくれるキセキ.....夏の魔法みたいなものを。

　もし、会えたなら必ず伝えます。

『君が好き』って。

　だからもう少しだけ、馬鹿でいさせてください。