氷の貴公子〜職と国を追い出されたけど貴女を護る為に戦います〜

希望の花

実質的な追放

「ルークス、あなたを本日よりヒルベリア王国近衛騎士団団長の座を解雇します」

それは、突然言われた。

女王陛下の目は真剣そのもの。

「な、何故...ですか...?」

かろうじて声を振り絞り、理由を問う。


「あなたが団長になってから、何か騎士団が仕事をしましたか?」

女王陛下の言葉が突き刺さった。

「何も...」

私がなってから何事も起きていない。


「仕事をしていないものをただおいておくわけにもいかないのです。わかってくれますね?」

黄金色の瞳が私の胸を貫く。


「はい」

そう答えるのが精一杯だった。


「では、明日から異界へと旅立ってください」


「は...?」

言っている意味が理解できなかった。


「一つの世界が、滅びかけています。

元騎士団長の力を使い、その世界を救ってきてください。これは、女王命令です」


「わかりました」

女王命令と言われてしまった以上断ることは誰もできない。


「その世界を救い終えたら、また戻ってきてください」


「わかりました。では準備があるので失礼します」

私は、そっと部屋の扉を閉めた。




「ルークス。信じて待っています」

女王陛下が私の旅立ちを見ている。


「──」

目を合わせて、転移門へと入っていく。


「転移 アスルート」

視界は白に呑み込まれていった。




「ルークス。あなたなら必ずできます。」

そう言った女王の目は、解雇した人間に向ける目では無かった。


ルークスが異界へと出た二日後、

ヒルベリア王国は、時がまった。






───────────────────

今回は短めに書きました。

次話から長めに書いていきます。

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