第5話 ハッピーエンド

私は飛んだことが無かった。もし、飛べなかったら、と怖くて勇気が出なかったからだ。だから飛び方を知らない。だが、私は諦めなかった。一生懸命翼をバタバタさせる。だがうまく飛べない。


「落ちていく~~っっ!!」


それでも一生懸命翼をバタバタさせていたら、不安定ながらも飛べるようになった。


(神様、ありがとう。裂けた翼でも私に与えてくれて。私、今、飛んでるよ。最初、こんな裂けた翼は完璧じゃないと思っていて嫌いだったけれど、今はとっても好きだよ)


私は雲を見つけた。無理だろうと思いながら雲の上を歩いてみる。


「え、嘘、歩ける! 知らなかった、雲の上を歩けるなんて!」


翼を使って飛べるようになったから知ったことであった。それから私は雲の上にいることが多くなった。ここなら、安全でしかも誰も知らない。誰にも見つからないように家に帰った日には家族に飛べるようになったことを話した。家族は、とても驚いていたが、同時にとても喜んでくれた。


 飛べるようになった今でははおりものを着なくなった。  


(私はもう何も怖くない)


何を言われてもどのように見られても私は、堂々と歩いた。あの三人は私が死んだと思っていたみたいで、学校に姿を現した時には目を丸くしていた。それがなんとも心地よくて私は自信に満ちていたのだった。そして三人は二度と私に近づくことはなかった。


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