第3話 鹿沼家と電話

転校生が来たその日の夜。鹿沼は母と食事しながら喋っていた。

「あっそうだ!伸道、今日ね、お隣さんが引っ越してきてね、あいさつしてきたのよ」

と母が嬉しそうに話していた。

「へぇ~そうなんだ、でも5月に引っ越してくるなんて珍しいよね」

「そうわね~でも人それぞれだから引っ越してくるのは理由も関係ないわ」

「いわれてみればそうか」

「んで、お隣さんってどういう人だったん?」

「容姿端麗でモデルさんとか女優さんなみにきれいだったわぁ、きっと娘さんもきれいだわ」

「そんなにきれいだったのか」

「そうなのよ~、名前は確か、東丘っていう人だわ」

鹿沼は、飲んでいた飲み物を吹き出しそうになる。

「えっほ、えっほ、はい!?!?、ごめん、もう一度名前聞いてもいい?」

「だから東丘っていう人」

「あぁ~はいはい~その名前の人、今日うちの学校に転校してきたんだけど」

「あらまぁ~そんなことあったのね、明日、お隣さんに挨拶してきなさい」

「明日、あいつらと遊ぶ約束してるんだけど」

「そんなことは後でいいから挨拶してきなさい。いいね?」

母の鋭い目つきに僕は背筋が凍る。

「あっはい」

(ただいまぁ~)

玄関から父が帰ってきた。居間でテレビを見ていると父が話しかけてきた。

「伸道、お前は今日そこにいたんか、めずらしいやつだな」

「あの~俺を『神出鬼没の動物がいた』みたいな言い方やめてもらっていい?」

「いやだって、普段二階の自分の部屋にいるじゃん」

「いや確かにそうだけども」

「父さんは寂しいぞ、俺としゃべらないなんて」

「あら?そうなの?伸道」

「いや待て待て、父さんと出かけてる時とか結構喋ってるんだけど!?!?」

「冗談だよ、冗談」

「なぁんだ冗談だったのか、冗談もほどほどにしなさいよあなた」

「フハハハハハ!たまにはいいじゃないか、それより伸道、お前に話がある。今すぐ部屋に来てくれないか?」

「あっうん分かった」

伸道は母を後にし、父の部屋に向かった

(コン、コン)

鹿沼は父の部屋のドアをノックした

「いいぞ、入って」

「失礼しまーす」

「そんな職員室みたいな入り方やめろよ」

「いや、ドアノックしたあとそれを言うのが普通だろ、癖になってるから勘弁してくれ」

「それもそうか、とりあえずそこの椅子に座ってくれ」

父はテーブルがある席に案内した。

「んで、話ってなに?」

「今日、転校してきた東丘さんいるだろ」

「えっなんで知っているの?」

「いやだって、うちの隣が今日引っ越してきた人だもん」

「父さんも知ってるのか、その東丘さんがどうしたの?」

「あぁ、東丘さんの父は俺の職場の同僚なんだ」

「はい?ちょっとまて、職場の同僚ってなんすか?」

「それはまた後ではなす。お前、東丘の娘を頼んだ」

「ちょ、頼んだってどういうこと?」

「うむ、実はな、東丘さんとこの娘さん、まだこの街に慣れていなくて、学校行くにも不安だっていう事を同僚から聞いてな、そんでいてその同僚からお前にしばらくの間登下校は隣にいてほしいってことなんだ」

「父さんもわかってると思うけど、俺が女子が苦手だってことを」

「あぁ、それは十分に分かってる。だけどなお前にもその苦手を克服するべき時が今なんだ」

「今ってか、まぁとりあえず頑張ってみるよ。ダメだったら母さんに頼む」

「おぅ、ほんじゃ、明日、挨拶行くぞ」

「あんたもかい」

「まぁちょっとな、久々に親友と遊びたくてな」

「そういえば、父さんの同僚って、いつから仲いいのよ?」

「小学校からだな、大学行って場所が離れていも必ず連絡はとっていたし、長期休みもお互い都合も合わせて遊んでたからな、今のお前の友達みたいな関係だ」

「なるほどなぁ~今の俺らみたいな関係か、とりあえず部屋に戻るわ」

「うむ、明日頼んだわ」

「あいよ~」


 鹿沼は父の部屋を後にし、自分の部屋に戻った。

ふぁぁ、疲れたなぁやけに情報量が多くて忙しいかったな

(ブゥン....ブゥ~ン.....)

ん?着信が来てる、名前がわからん、まぁ出てみるか。

「もしもし」

『もしもし、鹿沼君の携帯ですか?』

「あぁ、はいそうです、鹿沼ですけど」

『あぁよかった!私、布川って申しますが』

「布川さん?なんで俺の連絡先知ってるんです?」

『あぁ~いやぁ~館林君から連絡先貰いまして』

「あのバカ野郎.....失礼....んで要件はなんですか?」

鹿沼は電話越しで頭を抱えた

『あっいや、明日一緒にお出かけしたいなぁと思ってるんですけどうです?』

「明日は、用事あっていけないんでパスで」

『そうですかぁ~』

「んじゃあ、明後日ならどうです?」

『えっいいんですか!?』

「ただし、館林付きにするんでそれでいいなら」

『わかりました!、後で舘林君に連絡しときますね』

「そろそろ切りますね」

『あっはい!』


 鹿沼は布川との電話切り、館林に電話かけた

『なんだよ、こんな時間に』

「おい!てめぇ、今日は絶対寝かせねぇぞ!」

舘林は何かを察したようだ

『あっはい』

「まず、一つ聞きたい、なぜ布川に俺の連絡先を教えた」

『あっえぇと』

「まさか、彼女がいるのにもかかわらず布川が可愛すぎて見惚れたからすんなりと俺の連絡先を教えたとか言わせねぇからな」

『ひぃぃぃ!!!!待て待て誤解だ、誤解』

舘林は悲鳴を上げて声を震わせながら言った。

「誤解?その言い訳聞かせてもらおうか」

『これには訳があってだな、布川さん、直接俺に来たわけではない』

「おん、んで?」

『布川さんが俺の彼女経由で俺に連絡先を教えてほしいって来たんだ』

「んで、彼女が可愛すぎて連絡先をすんなりと教えてもらったんだ」

『そうなんだよ!俺の彼女めっちゃ可愛いんだよ!!!!お前にはこの気持ちはわからないだろうけどな』

舘林は声を大きくして自慢する形で言った。

「うるせぇよ!にしても何故連絡してきたんだ?」

『さぁな、俺にはわからん、あっ、つうか明日は藍川の家で遊ぶことになったから』

「あいよ、遅れる」

『お前からの電話、急に来るからマジで焦ったわ』

「ふっははは!それぐらいがいいんだよ」

鹿沼は笑いながら言う。

『あっそういえば東丘の父さん、俺の父さんの小学校から親友だった』

「へ?俺の父さんもそうなんだけど」

『もしかして、父さんたちの親友って俺らみたいな関係じゃね?』

「その話を今日してて、俺の父さん曰くまさに俺らの関係みたいだって言ってたぞ」

『そうなんか、家族同士で焼肉とか旅行してぇな』

「あぁ、そうだな、ほんじゃ明日な」

『おう、明日な』

鹿沼と舘林は別れを告げた。


一方、そのころの布川さんは・・・

ふぁ~鹿沼君と話すの緊張したぁ~、鹿沼君普段と違って電話口では優しかったなぁ。鹿沼君いつも友達と話すときは口が悪いのに、私と話すときは丁寧でビックリ。でも明後日は鹿沼君と一緒にいられる!!!!!!!!神さまぁぁぁ!!!!!!!ありがとう!!!!!!!!!

すると布川のお母さんは声のうるささに注意してきた

「ちょっと楓花、うるさいわよ~」

「ごめんなさい!お母さん」

今日、転校してきた東丘さんから鹿沼君には取られたくない。鹿沼君は私以外の女子と話して欲しくない。なんで東丘さんは鹿沼君に話かけてきたんだろう?もう!気になるじゃんか!!!!!





~あとがき~

ご覧いただきありがとうござます。作者の無才能です。前回の作品が投稿されてから実に約2年が経ちました。続きを楽しみしていた、読者の皆さんはいるかどうかは不明ですが、やっとかけてよかったです。ラブコメが書けなくなったこともあり、ラブコメ自体が興味失いつつありました。ですが久々にラブコメ作品を読み、創作意欲が再び上がったのでこれかも投稿していこうかなと思います。また、作品中に出てくる鹿沼の友人たちですが、実際の作者自身の親友たちをもとに書いているので作中に出てくる友人のとの会話はよりリアルに描かれていると僕自身思います。そして、この作品はいつくか細かいところを修正したり、追加で書いたりする部分もあるのでその辺の変化も楽しんでいただけたらなと思います。

次の投稿はいつになるかわかりませんがそれまで首を長くして待っていただけたらなと思います。

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