【外出自粛の街で#2】渋谷・原宿 4月26日12時半~14時

すでおに

2020年4月26日12時半~14時 渋谷・原宿

 2週間ぶりの渋谷。真昼間であっても人は少ない。暦の上ではゴールデンウィークで、練馬は夏日となった絶好のお出掛け日和でもスクランブル交差点を横断するのは20人程度。普段なら人がひしめき合う日曜昼の渋谷の光景。


 閉じられた109の前に人はいない。少ないのではなく一人もいない。「時代の象徴」「若者の聖地」と謳われる109も閉まっていてはビル群の一つに過ぎない。

 センター街も閑散としていて、マクドナルドは開いていたけれど、テイクアウトのみで客も数人。


 渋谷で働いていたことがあるから雑踏を見慣れているのに、不思議と違和感は抱かなかった。むしろ人垣の途絶えた街並みを心の深層が肯定的にとらえている感覚がある。据わりが悪くない。

 普段の混雑しすぎた、人酔いするような窮屈さがなく、緊張せず精神の平穏を保てるせいかもしれない。ここが渋谷だからというのではなく、本能的に平静を欲している。それは自分だけか誰しもが抱くものかは分からないけれど、森の空気を吸うと心が洗われるのは多くの人に共通するだろう。人のいない渋谷の空気をマスク越しに吸い込む。


 そこから明治通りを原宿まで歩いた。2週間前の夜は原宿に到着するまで2、3人しかすれ違わなかったけれど、昼はそれよりは多い。でも数える程度。太陽は人影にじゃまされることなく目いっぱい歩道を照らしていた。


 竹下通りの通行人は普段の日曜の100分の1もいないかもしれない。開いている店は洋服屋と雑貨屋、クレープ屋、ドラッグストアなど、全体の3分の1程度。

「マスク売切」と店頭に貼り紙がされたドラッグストアの側の洋服屋や雑貨屋でマスクが売られていた。山積みはいいすぎだが、店頭にはそれなりの数が積み上げられていて「個数制限はありません」と店頭で呼びかけている店もあった。相場は50枚入り1箱3000円強。1箱買っていた外国人は本当に欲しかったのか興味本位だったのか。あとは中年の夫婦が何店か回って価格調査をしていた。何かと話題の客引きもマスクをしていた。


 渋谷や原宿より、地元の商店街も方がよっぽど人が多い。「外出」に当たるのは電車やクルマで遠出することで、近所の商店街にその感覚は薄いのか。食品や日用品を買うためのものもあるだろうが、地元に対する安心感が警戒心に勝るのかもしれない。


 ゴールデンウィーク最初の日曜日。感染者が13日ぶりに100人を下回った東京で。

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