第2話 最悪

「はあ…眠い…昨日のカラオケオールはまずかったか…」


 昨日は友達と、はしゃぎ過ぎたせいか体が痛い。

「あー頭も痛い、もうちょい寝たかったんだけどな…」


 家に帰ってきたのは明け方の午前四時。


 しかも今日は金曜日、平日だ。


 蹌踉めきながらも学校に行く準備を済ませ、食卓にあるパンと牛乳を流し込む。


 「行ってきまーす〜」


 腑抜けた声を上げながら家を飛び出した。


 高校一年生の夏休みの手前、照りつける猛暑がジリジリと俺を容赦なく焦がす。


 トボトボと歩いていくと、我が学校一之宮高校が見えてきた。


 夏服に身を包み汗をタラタラ流しながら生徒たちは校門に流れ込んでいく。


 俺もそれに習って自分のクラスがある下駄箱まで体を運ぶ。


「よー結(ゆい)君、昨日はお楽しみでしたな〜」


 と腕を肩に巻きつけ、うざ絡みしてくる。


「やめろ広斗、変な誤解される言い方すんな」

 

 俺は微笑混じりにヒロトの頭をこつく。


 昨日カラオケに行った連中の一人がこいつだ。


 他愛もない話をしながら教室に入ろうとした瞬間、何やら視線を感じる。


 気になって廊下の方を振り向いてみるが誰もいない、気のせいか。


「どうした、結君?!かわいい女の子でもいたか?」


「いやなんでもない!!いたらお前がまっさきに見つけてるだろ」


「そりゃそうだな」


そのままの勢いでクラスに入るとみんな俺に声をかけてくれる。


結、だとか結君だとか皆フレンドリーに話しかけてくれる。


男女問わずだ。


そうこうしているうちに授業は終わり、バイトに勤しんだ夜の公園で事件は起こった。



 

 

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