いつかの、懐かしい記憶の匂いがした。

 普段の文章では繋がらないであろう言葉と言葉が、印象的に繋がっている、詩的な作品だった。
 子供の年齢によって構成される1話1話が、独立しているのに、同じ空気感と重量を持って胸に迫る。この懐かしさにも、切なさにも似た空気感は、一度読んでみないと分からない。手に残る質感は、きっと人それぞれだろう。
 その手に残った空気の質感は、文章を理解するまでには、きっと消えている。文字と文字との唐突な繋がりに、読者は瞠目するだろう。そして、瞠目したまましばらく立ち尽くす。
 1話1話は短いが、後に残る余韻はいつまでも続く一作だった。

 是非、御一読下さい。

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