雷神の探し方
昼寝から目覚めたステラはアジ・ダハーカやエマと手分けして、
しかし、神器の名がシッカリと記載されているのは伝説の中だったり、明らかに偽物と分かる
根気強く新聞記事などを追ってみると、少数の記事を見つけられ、ステラは今持っているダイアモンドと記事に書かれている物が一致しそうだと結論付けた。
「この記事を読んでみますね。『ブラウンダイアモンドを持ち上げると、その下からニョロリとヘンテコな蛇が出て来て、いずこかへ逃げた』みたいです」
「うむうむ。『見つけた場所が、守護神インドラを祭る神殿の近くだったから、発見者は伝説を思い出し、少々不気味に感じた』ようだな」
「……でも、『ダイアモンドをあまり調べずに、ガーラヘル王国の業者に売った』……」
相棒とエマも同じローカルニュースについての記事を読んでいたようだ。
彼等の話に頷きつつ、ステラは天気に関する記事を持ち上げる。
「その日を境に、レイフィールドはずーと、お日様マークが続くようになったです。想像すると、”ブラウンダイアモンドをその場から動かしたから雨が降らなくなった”か、”そこから蛇が逃亡したのがやばかった”か、もしくはそのどっちもなのかもです!」
「儂もそう思うぞ」「……うん」
二人が同意してくれたので、更にそんな気がしてきた。
(ブラウンダイアモンドは、やっぱり適当に扱ったらまずそう)
ステラは縞々の囚人服を着た老婆の顔を思い浮かべる。
当初はアレムカからの依頼でこのブラウンダイアモンドを雷神に返却し、それが不可能なら破壊することになっていた。
帝国に来る前は適当に破壊してしまっていいかもしれないと思っていたけれど、今はそれをするのはアウトな気がしている。
何とかして、昨日会ったインドラらしき青年を見つけ出し、返却しよう。
不可能なら元々置かれていた場所に返す。
それが善良な旅人の務めってやつだろう。
「心を決めたです! 私、ちゃんとインドラさんを探そうと思う!」
「うん。……でも、どうやって探したらいい……?」
深刻そうな表情で俯くエマの姿に、ステラは
たしかに、どうすべきなんだろう?
この広大な帝国で人探し、ならぬ神探しをしようとしたら、何年かかるか分かったもんじゃない。やっぱり無謀な挑戦かもしれない。
厳しい現実にステラのモチベーションが落ちていくが、ヤル気が完全になくなる前にアジ・ダハーカが斬新な提案をしてくれた。
「この人工精霊に探させてみてはどうか?」
彼の視線の方向には、雷の人工精霊が浮いている。
ついさっき人工精霊が単純作業しか出来ないと再確認したばかりなのに、いったい何を言い出すのか。
「見つける前に、命が尽きちゃうんじゃないです?」
「そんな無駄な使い方をするわけないだろう。まぁ、儂にちと考えがあってだな……」
「アジさんの考え……。嫌な予感がするです」
「何っ!? そんなに疑うのであれば、なおさら儂の力を証明しなければならないな! つべこべ言わず、雷神に渡された財布を渡すのだ!」
「別にいいですけども……」
テーブルの上に置いていた財布を相棒の方へと滑らせてやると、うまいこと足でキャッチされる。
「人工精霊の属性は雷、それに加えて雷神の私物をヒントとする。充分なエーテルを補充してやれば、同属性の神を探すのくらいわけないだろう」
「もしかして、アジさんは精霊魔法が使えるんです?」
「精霊魔法などという下等な魔法など使わぬ! 似たような効果をもたらす術だ!」
「ふむふむ」
「お主には電池になってもらうぞ」
「あぁ……、まぁいいですけども……」
小さな頃からこのドラゴンには魔法の
ため息をこぼすステラの足元に古代文字が表示される。
続いて人工精霊の下、そして蛇革の財布を囲むように現れ、その全てがアジ・ダハーカに繋がる。
容赦なくエーテルが抜かれていき、有り余るほどのエーテル量を誇るステラでも、少々きつい。
横から支えてくれるエマが居なかったら、直ぐに倒れていたかもしれない。
「うへぇ。身体の力が抜けていくです……」
「もう少し頑張るのだ」
3分~5分程かかっただろうか?
虚空には帝国の地図らしきものが表示され、一カ所だけが明るく輝く。
この短時間にインドラを見つけ出したとは考えづらいが、ステラは自動筆記帳を取り出し、地図を写し取った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます