弱くて強いOUR LIFE

音葉のの

出会い編

第1話 出会い➀

___新しい街、新しい匂い。

 引っ越したばかりのこの高揚感。

 春の柔らかい空気のなか目的地にむかって歩みを進める。



 ***

「整理券番号35番でお待ちのお客様~」

 そう。ここは最近話題らしいプリン専門店。

 近所にあったお店でずっと気になっていたのだ。


 片づけも終わったことだし、自分へのご褒美に大人買い。

「買いすぎたかもしれない...」

 期間限定は買っちゃうよね? 今日はご褒美だし。いいや。なんて自分に言い訳を続けていると、

「えー!限定のやつもう売り切れですか??」

 制服を着た男の子の声が響いた。

「あれ、今日までなのに、」

 なんだか、子犬の尻尾が垂れ下がっているよう。


 ・・・って!買い占めたの私だ!

 悲しんでるその子を見てたら、だんだん申し訳なくなってきて、

「あの、もしよかったらこれどうぞ。」

 声をかけてしまっていた。

「んぇ?いいんですか??」

 あぁ、瞳をキラキラさせてる。思い切り尻尾を振っている幻覚がみえる…

 すると、その子は急にハッとした顔をした。

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