第12話


アキは口を開かないまま家まで送ってくれた。


2人で足を止めた。


「アキ」

「うん」

「もう会わないでおこう」


今度は私から言った。

その方がいいんだと思った。


「わかった」

「・・・・・」

「じゃあ、な」

「・・・・・」

「アズ、幸せになれよ」

「・・・・・」

「アズは大丈夫だ」

「・・・・・」

「1人じゃないからな、いつでも」


アキが笑った。

そして背中を向けて歩き出した。


小学校からずっと一緒だったアキが、いつの間にか 大きな背中を持ってる。


私は見えなくなるまでなんて 見送らなかった。

アキがこっちを振り向いたか、少し気にはなったけど。



家に戻ると、お母さんがいた。

「アズ、アキと喧嘩したの?」

「してないよ」

「嘘。したでしょ」

「ええ~なんで?」

「お母さんには、わかる」

「さすがです」


この話はあまりしたくなかったので、すぐ2階にあがった。


次の日、少しもやもやしながら駅に向かう。

ちょっとだけ、アキを探した自分がいた。


駅につくと、タクミ君がいた。

「おはよっ」

「おはよ~」

「アズミちゃん、ボーっとしてた?」

「え?してた?」

「うん、してた。変な顔してたww」

「してないし~ww」


タクミ君と笑ってた横を、アキが通り過ぎた。


アキはこっちを少しも見なかった。

少し早歩きで行ってしまった。


慣れるしかない!慣れるしかない!

と言い聞かせた。



タクミ君は、昨日楽しかったから、よく眠れたと言った。

そんなタクミ君が愛おしく思えた。

年上なのに、たまに、心がくしゅってなるくらい キュンとする。


学校までの道。

同じ高校の生徒たちが、増えてくる。

タクミ君と私は、朝からイチャイチャ。

みんながチラチラ見てるが、タクミ君は気にしない。

タクミ君は学校内でも みんなにモテるからよく見られる。

私は、少し気にしてた。


靴箱に着き「またお昼ね~」と言って別れる。

この時、いつも少し寂しくなる。


教室に向かう時、同じ中学で、アキと仲良かった男の子がこっちに歩いてきた。

「っよ!」

「っよ、久々~」

「あのさ、あとで話があんだけどさ~」

「え?なに?」

「いや、後でがいい」

「気になる、なに?」


アキのことかな?と思った。

が、チャイムがなったので諦めた。


「あ、後でな~」

と言って成海は教室に戻っていった。



気になる。。。。。。。



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