第5話

「アキ・・・」

「だめ?いや?」

「だめ」

でも、私は無意識にアキの肩を掴んでた。

アキはその手を見た。


「アズ・・」

「なに・・」

前髪を指で触られた。

耳にかけられ、首筋にあてられたアキの指たち。

「いやじゃないんじゃん?」

「アキ」


もうアキは私に唇をつけた。

そして舌もいれる。

私もアキの舌に絡める。

アキがいつもの優しい顔で見下ろしてくる。

目があったと思ったら唇が塞がれ、激しく噛まれ、激しく離れる。

息ができないくらい繰り返す。

アキの手が私の胸に。

触って、揉まれて、掴まれて、弾かれて。

そして優しく舌が動く。


アキの手が、アキの指が、アキの舌が、

私を気持ちよくする。


アキのソレを私に舐めさせる。

アキは私の頭を押さえ、少し低い声を漏らす。

アキが私の身体を持ち上げ、揺らす。

アキが私に乗り、腰を動かす。


今日は、2回した。

アキは止められなかった。

そして、私も止めることができなかった。


下着をつけた後、スウェットを手にとった。

「お前、少しは太れよ」

「え?なんで」

「脚、細すぎ」


アキはご飯を食べて帰った。

それを私は見送った。

携帯を見たらタクミ君からLineがきていた。


「なにしてる~?」

それから2時間くらいたっていた。

私は嘘をついた。

「寝てた」と。

タクミ君は、今日が楽しかったと言った。

私も楽しかったよ。

それは本当。


なのに、アキのせいだ。

いや、アキだけのせいじゃないのはわかってる。

でも、アキが何もしなかったら、私だって・・・と思ってしまう。


私のこと 別に好きではないって言ったくせに。



次の日の朝。

家を出て、駅に向かっていると、アキとばったり会った。

別に珍しくはない。家はすぐ近くだし。

「おはよ」と言うアキに「おはよ」と返す。

無言のまま歩いた。

アキがコンビニ寄ろうと言うから寄った。

なんとなく外で待ってた。

「ほら、これ食え。アズがすきなの」

と言ってピザまんを買ってきた。


「朝から食べないし」

「は?食えよ」

「う~ん・・ありがとう」

と言ってピザまんをもらった。

でも、食べないもん朝は。

と思ってたら、アキがピザまんをとった。

「じゃあもうあげないし」

「え!なんでぇ食べるよぉ」

「無理して食う?」

「食う」

「じゃあ、はい」

と言って半分くれた。

歩きながら食べてたらすぐに駅に着いた。



駅にタクミくんがいた。




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