第3話 続 ファイヤーボールってどんな魔法?
「ちょっと。ちゃんと見ていてくれました?」
怪しい動きで両手をわきわきしていた時田が、その動きをやめるやいなや二人に詰め寄った。
「見てはいたわよ」
「じゃあなんか言ってくださいよ」
巻原の物言いに、時田はヘソを曲げたのか両腕を組んで口を固く結んだ。
「いやもう途中から無言だったでしょ。気持ち悪い動きしながら、黙って指をわきわきさせてるだけのやつに、なにを言えと?」
「ツッコミ待ちでしょーが! もうやめてくれよとか、戻っておいでぐらい言ってくれても良いでしょ!」
そう叫びながら、チラと鷲津を見る。すると鷲津は何も言わずにふいと顔をそむけた。
「おいこら幼馴染! 巻原さんはともかく、お前は分かってて無視しただろ」
「そうだが」
「潔いな!」
「最近思うんだけど、あんたたちボケとツッコミ逆よね?」
と、わいのわいのやっている三人組に一人の少女が近づいてくる。
高身長の三人組とは対照的な小さい女の子。
ゆるふわウェーブのボブヘアーに淡い金髪。小さな顔に優しそうな目。そして小柄な身体をゆったりとした洋服で包んでいる。まさに小動物と称するにふさわしい少女だった。
「遅くなってしまってごめんなさい⋯⋯! 音楽の先生に質問していたら、熱弁されてしまって」
少女は関西の訛りで話しながら、ペコペコと頭を何度も下げた。そんな少女に巻原はねめつけるような視線を送った。
「
「す、すみません⋯⋯!」
「うそよ。金星ちゃんはいつも勉強熱心で偉いね。ほら、ここ座って」
巻原の睨めつけもつかの間、パッと笑顔を作り、金星を自分の隣へと座らせた。その様子を見ていた男組が顔を突き合わせる。
「なあ鷲津。俺たちの時と態度が違いすぎないか?」
「女尊男卑。セクシャルハラスメント」
「おいそこ! おかしなことを言うな! 態度が違う原因を作ってるのはお前らだろうが!」
ずびしと人差し指を差し向けた巻原を一度見て、二人はもう一度顔を突き合わせる。
「んん?」
そして同時に首を傾げた。
「そういうところだよ!」
「あ、あのあの、今日は皆さんどんなお話をされていたんですか?」
このままでは埒が明かないと思った金星は、話題を転換させた。彼女はメンバーの中で最も気配り上手である。
「ファイヤーァァア⋯⋯ボォォォル」
「⋯⋯はい?」
ふいに怪しく両腕を上下運動させながら呟く時田を見て、金星は首をこてんと傾けた。
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