第125話 興仙さんweek(ほぼ閑話)
少し前に遡る
「伊予への遠征が決まりましたので、明日から1週間は興仙さんにガチャボタンを押す権利をお譲りします」
司箭院興仙さんの背景に百花繚乱咲き乱れたのは気のせいではないだろう。
1日目
「かけまくも畏き、伊邪那岐大神、諸々の禍事、罪、穢、有らむをば、祓へ給ひ清め給へと、かしこみかしこみ、もまをす」
司箭院興仙さんが祓詞を唱えている。俺が言った「物欲センサー」に思うところがあったらしい。ちなみに物欲センサーとは、欲しいCを狙って要らないSSRを引く現象の事。「キャラック船ビクトリア号を作る第1巻」が出るまでに出たSRマゼラン含む船長5人セットの数と言ったら司箭院興仙さん物凄く納得してくれた。あれは本当に悪夢だった。
「あ、ぽちっとな」
ああ、掛け声は変えないのね・・・
がしゃぽん
落ちてきたのはどう見ても石のクマ。口に鮭でも咥えていそうな石のクマ。SSR-ストーンゴーレム(封印されし獣)という表記がされてる中々に怪しいストーンゴーレム。あ、司箭院興仙さんが滅茶苦茶喜んでいる。久々のSSRだからな。
「むほほぉ久々に来た」
司箭院興仙さんが怪しい踊りを始める。なんでも喜びを天に捧げる喜びの舞らしい。
「ところでなあ欧仙。変形とはなんぞや」
「変形?」
司箭院興仙さんの怪しい問いに首を傾げる。
「この獣、最高の理想的な悟りの言葉により変形し人に至るモノと書いておる」
どうやら前脚のところにそう書いてあるらしい。なにか物凄く嫌な予感がするが・・・
「最高の理想的な悟りの言葉ですか・・・祓詞を唱えながら押したのが理由ですかね?」
乾いた笑いを浮かべながら呟く。
「祓詞?というか最高の理想的な悟りの言葉なら
おお流石怪しい仙人。と、「ぶん」という怪しい音と共に石のクマの目が怪しく光る。ぎこぎこと怪しい音を立てながら、石のクマが変形し変形し・・・変形したダメだろ!
「おおこれは面妖な。クマが人形になったぞ?これが変形か」
ああ、察しが良いですね・・・まあ、クマ型だけよりは人型になったほうがいいか。いまはスキルを封じた巻物がない。けど、重いだけでも価値はある。例えば九州の道路整備。土を踏み固めるだけでも便利だ。
あーあー石のクマが石の人間に変形したとか知りませーん。
2日目
「かけまくも畏き、伊邪那岐大神、諸々の禍事、罪、穢、有らむをば、祓へ給ひ清め給へと、かしこみかしこみ、もまをす」
昨日の祓詞で良いモノが出たことに気をよくした司箭院興仙さんが祓詞を唱えている。
「あ、ぽちっとな」
がしゃぽん
C粉ミルク
「うーむ。まあええもんが、そうそう続かんよな」
司箭院興仙さんがうんうんと頷く。まあCでも俺には有り難い出物である。
3日目
「かけまくも畏き、伊邪那岐大神、筑紫のぉ日向橘の小戸の阿波岐原にぃ、禊ぎ祓へ給し時になり坐せる祓戸の大神など、諸々の禍事、罪、穢、有らむをば、祓へ給ひ清め給へと、まをすことを聞こし召せと、かしこみかしみ、もまをす」
おお、司箭院興仙さん。今日はちょっと変えて出雲大社の祓詞を唱えているな。
「あ、ぽちっとな」
がしゃぽん
C粉ミルク
あ、司箭院興仙さんの顔がちょっと歪んだ・・・
4日目
「かけまくも畏き、伊邪那岐の大神さま。この世に生まれるという御蔭を深く感謝。その皇神たちの御恵みを、軽んじた時に過ちを犯すのは今更なり。いま私に罪と穢が有るならば、祓ってください清めてくださいという事を~八百万の神たち共に、平に平にお願いします」
おお、司箭院興仙さん。出雲大社の祓詞を・・・大胆なアレンジをして唱えているな・・・伊邪那岐の大神が黄泉路から筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原に帰って来た神の大道を出産としたわけか。でもいいのか?
「あ、ぽちっとな」
がしゃぽん
C-夜光灯
なんか久々に出たな。これは再現できないからいまだにドロップするんだよな。
5日目
「あ、ぽちっとな」
あ、いきなりボタンを押した。どうやら原点回帰したらしい。
がしゃぽん
SR-蛸兜
久しぶりだなオモシロ海鮮兜。あ、司箭院興仙さんが喜びの踊りを踊っている。
6日目
「あ、ぽちっとな」
今回も、いきなりボタンを押した。司箭院興仙さん意外にゲンを担ぐな。
がしゃぽん
SR-蛸兜
あ、司箭院興仙さん膝から崩れた。SRの連続被りって来るよね。解る。
7日目
「あ、ぽちっとな」
ああ、3回連続おいきなり押し。これは逆張りしたの・・・かな?
がしゃぽん
落ちてきたのはC-ブドウの苗木×1
「むほほぉ来た」
司箭院興仙さんが怪しい踊りを始める。
「えーっと興仙よ。ブドウの苗木のレアリティはCなんだけど?」
「ふふ欧仙よ。儂はレアリティに価値なぞ求めてないぞ?珍しければ何でもええ」
俺の質問に司箭院興仙さんは胸を張る。ああ、なるほどね・・・
「ところでこれは何の苗じゃ?」
「葡萄という果物ですね果実でワインという酒が造れます。でも一本じゃ意味ないですね」
きらりと司箭院興仙さんの目が光る。
「葡萄は本来どこに生えてるんじゃ?」
「うーん。確か明に生えていった・・・あ、あと初代鎌倉殿(源頼朝)のころに甲斐(山梨)に持ち込まれて栽培されているはずです」
俺はポンと手を叩く。確か甲州種とか言われていたハズ。
「ああ、この葡萄、安芸(広島)と備後(広島東部)にある盆地でも栽培は可能です」
「そうか、ではちょっと甲斐に行ってくるわい」
司箭院興仙さんはニヤリと口角を上げると席を立って出ていった。そしていま、司箭院興仙さんは10本ほどのブドウの苗と甲斐武田氏の情報を持って帰ってくるのであった。
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