第41話032「魔素と精霊(スピリタス)」
「ではまず最初に⋯⋯⋯⋯大まかにだが大気から魔力を供給できるようになるには大気に存在する『
「魔素?」
「ああ。魔素とはこの世界のあらゆるものを構成している物質のことを言う。そして、体内に魔力を持つ者がその『魔素』を取り込むことで体内で『魔力』へと変換される」
「魔素⋯⋯体内で⋯⋯魔力に変⋯⋯換⋯⋯」
私も含めた皆はハヤトの言っていることがまだ理解できずにいた。今まで魔力というのは『体内で作られるもの』としか教わっていなかったのだ。それがこの世界の常識だったのだ。
しかし、ハヤトの言う事が本当に可能ならば魔術士ランキングは確実に上がるだろう。
すると、D組の生徒で『天才』として知られるビンセント・ミケランジュが質問を投げかける。
「ハヤト。本来、体内の魔力は魔力量に限界があるのだけど、ハヤトの言っていることが本当なら⋯⋯⋯⋯いつでもどこでもいくらでも魔力を補充できるということになるがその認識で合っているのか?」
「⋯⋯基本的にはその通りだ」
「「「「す、すげえ〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!」」」」
ビンセントが皆が感じた疑問にハヤトはすぐに肯定した。そのことで皆のテンションがさらに上がる。
「だが⋯⋯」
「だが?」
「だが、さっきも言ったが個人差がある。その個人差が出るのは『
「『
「これだ⋯⋯」
「「「「!!!!!!」」」」
そう言うと、ハヤトの体から強烈な光が
そして、光が弱くなったのを感じ、目を開けると、
「な⋯⋯何⋯⋯これ?」
「「「「!!!!!!!」」」」
目を開けると、周囲には手の平に乗るくらいの背中に羽を付けた小さな人間のような生物? が所狭しと飛び回っていた。
「これが
「す、すごい⋯⋯」
ビンセント・ミケランジュが
「な、何なの⋯⋯この⋯⋯生き物? も、もしかして⋯⋯か、神様?」
私は感じたままの言葉でハヤトに尋ねた。
「いや神ではない。これはこの世界を創り維持している⋯⋯いわば『エネルギー体』のようなものだ」
「エネルギー体?」
「ああ。この世界にある生物や植物、水、火、空気⋯⋯といったすべてを創り出すために必要な素材のようなものだ」
「素材? ということは生き物ではないのか?」
ビンセント・ミケランジュが横から話に入ってきた。
「そうだな⋯⋯。すごく説明が難しいがあえていうなら『生き物であり素材』という感じだ」
「い、生き物であり素材?」
「ああ。
「概念が異なる意思?」
「ああ。
「せ、世界の糧⋯⋯っ?!」
「ああ。
「ちょ、ちょっと待って!『世界の糧』って具体的に何なのよ?!」
「この世界にとって必要なものかどうか、だ」
「!? こ、この世界にとって必要な⋯⋯もの⋯⋯?」
「この世界にとっての必要⋯⋯⋯⋯具体的には『この世界をこれからも維持していくのに必要な存在かどうか』ということだ」
「「「「!!!!!」」」」
次々とハヤトの口から出てくる聞いたことのない話に皆がついていけずにいた⋯⋯⋯⋯一人を除いては。
「⋯⋯なるほど。つまり言い方を変えれば、世界を破滅に導くような存在でなければ
「そうだ。さすがだな、ビンセント」
ビンセント・ミケランジュはすぐに理解したようだ。
嘘でしょ? 全く理解についていけないんだけど?
「つまり⋯⋯⋯⋯ほとんどの人間なら
「ああ、そうだ」
「ということは、
「その通りだ」
「ふん、やはりな!」
ビンセント・ミケランジュが自身の考察が正しかったことに少しテンションが上がった。いや、実際この男の考察はすごいと思う。
「この『
ハヤトは「さっさと進めるぞ?」くらいの勢いで『世界の構成と摂理』について話を始めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます