悪我識魔王

木島別弥(旧:へげぞぞ)

第一輪廻

第1話 子供にとって自宅の探検は五年かけても終わらないものだ

 苦しみの原因の魔王城。

 魔王城で生まれた少年の空裏(くうり)は、この巨大な城をいつか探検したいと思っていた。

 魔王城は、複雑に回廊が入り組んでいて、階段がたくさんあり、いくつの部屋があるのかわからなかった。

 通れる道、通れない道があり、開く扉、開かない扉があった。

 地下は深く掘り進められていて、魔王城の地下は地獄を内包するといわれていた。

 苦しみしかない魔王城。


 城の主である魔王の名前は、悪我識魔王(あくがしきまおう)といった。

 魔王の幹部の名前は、魔蓮華(まれんげ)、地獄主(じごくしゅ)、毒主(どくしゅ)、外道菩薩(げどうぼさつ)、六道偽魔王(りくどうにせまおう)。

 魔蓮華は、邪(よこしま)な喜びに浸る怪物。

 地獄主は、地獄を創造した主。

 毒主は、毒を創造した主。

 外道菩薩は、悪を極めて無我に至ろうとする怪物。

 六道偽魔王は、六道のすべてで魔王だと偽称する怪物だ。


 その五人の幹部の上に君臨する悪我識魔王は、衆生を苦しめる大悪人だった。


 空裏は、この城はどうやってできているんだろう、この世界はどうやってできているんだろう、と世界の構造に想いを馳せた。

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