ご主人様の為に、一肌脱いでみた猫
卯野ましろ
第1話 宇宙猫は実現した
自室に入ると、そこは宇宙になっていた。
「……は?」
この厳しい暑さで頭がおかしくなったか、と思っていた矢先。
「ニャオミちゃーん」
「えっ!」
愛猫ララがフワーッと宙に浮いていた。
しかも喋った。
ニャオミ……
私、今ララに名前を呼ばれた!
戸惑う私にララは手を振っている。そのかわいらしいピンクのプニプニを、ご主人様に見せている。
「ねぇララ! これ、どうなってんのっ?」
「んー?」
驚いた私はララに問う。彼女は私と正反対で、のびーっとしながら気持ち良さそうにフワフワ浮いている。
「ニャオミちゃんが願ったから、一肌脱いだんだよ~」
「願った……あっ!」
七夕の短冊のことか!
昨日、私はスーパーで配られた短冊に願い事を書いた。
何を書こうか……と考えているうちにパッと浮かんだのが、
「猫と会話したい」
だった。そのとき私の近くにララがいた。あのときララは、しっかりと短冊を見たのだ。
それにしても。
「うまくいき過ぎでしょ! 2020年夏に猫が進化するなんて聞いていないっ!」
「まあまあ。猫は気まぐれだけど、その気にニャればニャンだってできるんだよ~」
フワーッとマイペースを崩さないララを見て私は思った。
この背景は今の私にピッタリだな、と。
宇宙っぽい背景に猫を掛け合わせた画像を思い出した。あれは訳の分からない物事を目にした際に用いられている。
宇宙猫ならぬ宇宙人……いや、それは意味違ってくるか。宇宙飼い主? うーん……。
「2020でニャオニャオ~。今年は猫が他にもニャにかするかもね~」
ポカーンとし続けている私に構わずララは呑気だけど意味深な言葉を放った。
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