最終話への応援コメント
長編の方は以前に二部くらいまで読んでますが、あまり設定覚えてないので、ほぼこの話のみという状態での個人的考察です。
「摂取者は全員が、ナノボットを通じて直接連絡を取り合えるように」、「やがて生まれたあなたの体に最初からナノボットが存在することを知ったときは」などの部分が印象深かったです。
ナノボット生成の遺伝コードは(全てか、あるいは原型みたいなのが)ゲノム内にあるのか。あるいは(この作品からはこっちの印象を受けましたが)生成の前に、一時的な書き換えとかによりそのコードを作っているのか。ナノボット自体は保有情報量という個性、またはそれ以外の個性があるものなのか、とかは気になります。
いずれにしろナノボットを遺伝子が作れることは、それを生体分子と考えていいように思います。また遺伝コードがあるとして、従来の細胞構造で生成できるようなものなのだとしたら、ナノボット単体の構造は偶然に発生するような可能性がそれなりにあるかもと思いました。その場合は、ナノボット同士のネットワークの原理的な部分はかなり重要と思います。(ナノボットがナノボットを次世代の者にも受け継がせていく)システム(?)外部で、そのような単体のナノボットが発生する場合をどう考えるかとか。
ナノボットコードが、その特殊な生成過程までを含むものとするなら(そしてコード自体が、多量の情報を短い文に収めることができるような特殊なものとかじゃないなら)とても長くなりそうと思います。 もしナノボットコードが一時的コードなら、遺伝子と多細胞構造、ヒトという高階層(?)の領域との関係が、とても興味深いです
それと、もしナノボットネットワークが電子ネットワークだとするなら、どのようにこの話のような状態を実現していることになるのか、とても意味深に感じます。
作者からの返信
コメントおよび長文の考察ありがとうございます!
本作は《わかりあう》ようになった人間と、そこから取り残される人間との差を主眼としていたので、正直なところナノボットそのものがどのような仕組みなのかについては詳細な設定は設けておりません。私自身の知識不足もあって、ナノボットを何でも可能な便利なアイテムとして用いてるという側面は強いです。
が、「偶発的にナノボットが発生する可能性があり得る」という考察は非常に面白いです。真逆の方向性ですが、長編の方では「偶発的にナノボットが発生しない可能性」が重要なキーの一つとなっています。本作だけでその可能性に思い至るとは、正直恐れ入りました。
長編の方は正直長いので是非!とはオススメしづらいですが、もしお暇なときにまた続きも読んでいただければ面白いのではないかと思います……などと宣伝させていただきますね。
ともあれじっくり読み込んで下さいまして、改めて感謝です。ありがとうございました!
編集済
最終話への応援コメント
前日譚・外伝企画にご参加くださり、ありがとうございます。
情景が素晴らしいですね。高画質のジブリ映画を見ているような感覚だ、この空気感。
未来の話なのに、どことなく時代が遡りをしているような、それでいてホログラム・スクリーンのノートパソコンが未来っぽさがあってそこだけ現実に浮いてるような世界観。
オサナイが島にやってきてから、ばーちゃんと薬との話題に移っていき、過去にいったい何があったのかというミステリー風な展開に。
ドキドキしながら、引き込まれていきました。どうなっているんだろう、と。
伏線の張り方も見事で、思い返せば「おおっ!」ってうなるものばかり。
視点がアカリへぶれていったり、医療AIの話など、そういうことだったのかー、と。
ハジメに注射跡がない理由も、そういうことだったのかー、と。
驚くものばかりですね。
ラストのばーちゃんの遺言も、《わかり合え》ないけど愛してる、というところは、素敵だなと思いました。
ばーちゃんのこの思いは、ハジメにとっての宝物になるでしょう。
ただ、ここまで書いといて、この作品をどこか素直に受け入れられない自分がいます。
コロナ禍をモチーフにしているから……ではないと、思うんです。フィクションだと割りきれているから、そこは問題ないはずで。
ナノマシンを体内に入れて怪我や病気を克服するのはSFの定番だけど、それをミステリーの解にするのが、ずるいと思っているかもしれない。
アカリが死んだのもショックですし……、ネットワークで生きてるような扱いなのも、モヤモヤしているところです。
そう思うのも、私が旧いヒトだからかもしれないです。
いずれにせよ、心に強くこびりついた物語であるのは、間違いない。
要は受け止め方が、人それぞれ分かれるんだなと思います。
それが新人類と旧人類を分ける境界かもしれない。
考えさせられる作品を、ありがとうございました。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
しっかり読み込んでいただいた上での納得のいかなさは、むしろ様々な感想があるということがわかって、私には新しい気づきです。本作は読む人によってハッピーエンドともバッドエンドとも取れそうな物語を目指したのが、かえって曖昧すぎると映ったかもしれません。
何よりこの後の本編の前日譚という扱いが、曖昧さを増してる部分はあると思います。ここで抱かれた納得のいかなさは、本編で解決できているものと、作者自身は信じています。
本編は長ーいので是非にとまでは言えませんが、もしご興味持たれましたらまたよろしくお願いします。
最終話への応援コメント
>ありとあらゆる《わからない》物事に関心を払い続けること。それこそがヒトをヒトたらしめる所以です。
現在進行形の話題と、登場する《分かり合う》ためのガジェットを読んで、よりこのメッセージがぐっと刺さるというか、不思議と読後感でした。
おだやかな風景から想像できないような、終わりにかけてぐんぐん読み進めたくなる展開で、最後は圧倒されました。面白かったです。
作者からの返信
コメントありがとうございます!
《わかる》《わからない》という部分は本作や、その元となった前作の一貫したテーマみたいなもんでして、そこに昨今の情勢を絡ませてみました。
人によってハッピーエンドともバッドエンドとも取れるような内容としてみたつもりでしたが、楽しんで頂けたのであれば幸いです。
改めて読み通して頂き、感謝です。
最終話への応援コメント
武石雄由さま
お久しぶりです。
これはアレの黎明についてのお話ですね。
ばーちゃんに対してはあれほどセンシティブなのに、一方アカリの死を彼がまったく気にしていないのが《わからない》私にとってはとても不気味ですが、そこにある意味凄みというかリアリティを感じて背筋に鳥肌が立ちました。
それにしても南の島ってどうしてこれほど郷愁をかきたてるんでしょうね。
作者からの返信
ご無沙汰&感想ありがとうございます!
仰る通り別作の前日譚として考えていたエピソードと、昨今の情勢が絡まり合って出来上がりました。この組み合わせが無性にしっくり来て、思わず書かずにはいられなかったのです。
別作をご存知の方に読んでもらえると、そこまで汲んでもらえるのが嬉しいですね!
最終話への応援コメント
あああ、なるほど、こういう形であの精神感応のシステムと繋がっているんですね!!
現在の社会状況の先、もしかしたらあるかもしれない未来として、ゾッとするようなリアリティがありました。
ばーちゃんとの別れとアカリとの別れがハジメにとって対照的で、この作品のメインテーマを象徴しているように思いました。
大切な人とずっと一緒にいられたら良いですが、本来、形あるものは必ず失われるんですよね。アカリのことだって、曖昧になっているだけで、本当はそうなのに。
二度と戻らないものがあるからこそ、忘れられない唯一の、『その人自身』の感情。
ハジメがこの島で経験したことが、五感として身のうちに沁みて、寂寞とした哀しみを感じるラストでした。
素晴らしい文章表現とも相まって、とても面白かったです!
作者からの返信
コメントありがとうございます!
最後のタグの意味に、陽澄様なら気づいていただけると思いました。
元々はありがちなシンギュラリティだけを契機にしようと思っていたのですが、昨今の情勢が動機づけとしてこれ以上なくマッチしてしまい、急遽組み込みつつ書き上げました。多分、今じゃないと書けなかったと思います。
ばーちゃんの遺した言葉から学んだ彼らは、《わからない》ことへの好奇心を胸に刻んで千年以上先の未来を築いていく……なんて後付けもいいところですが、自分の中ではすとんと腑に落ちる話が書けたと思います。
前作を読んで頂いた方に是非読んで頂きたかったので、これで一つ望みがかないました。改めてありがとうございました!
編集済
最終話への応援コメント
面白かったです。島のおだやかな生活の描写が良いですし。アカリの死を悲しんでいる様子がないのも、異質感を感じさせてドキッ!とします。
繋がりのある作品があるみたいですけど、今は非公開なんですね。
作者からの返信
コメント&素敵なレビューまで頂きまして、ありがとうございます!
元々近未来の島に三人だけというシチュエーションは考えていたんですが、そこに昨今のコロナ禍を体験すると組み込まないわけにはいかないという気になり、こんな話になりました。楽しんでいただけたのであれば何よりです。
ほんの少しだけ世界観を共有している『星の彼方 絆の果て』は申し訳ない、ただいま非公開中ですが、再公開することになりましたらまた近況ノートなりTwitterなりで告知しますので、その折にはよろしくお願いします。
追記(2021/11/14)
今さらで恐縮ですが、本作と世界観を共有する長編『星の彼方 絆の果て』は再公開いたしました。長いお話ですが、ご興味ございましたら是非よろしくお願いします。
最終話への応援コメント
読んでいて、設定を考察したくなるくらい、面白かったです。
そういえば私たちの中にもマクロファージという、どう見てもナノボットな存在があるなあと思い、ヒトモドキになった気分になりました。
意識の主体が脳ではなく、ナノボットにあるからこそ、ヒトモドキなのでしょうか。だからアカリが亡くなっても、お別れするわけではないから、悲しいものではないという…。
作者からの返信
読了&コメントありがとうございます!
本作は処女作である『星の彼方 絆の果て』の、はるか昔の前日譚として書いたものです。ちょうどコロナ禍発生のタイミングだったので、その影響がもろに出てます。解決策のひとつとしてこんな世界もありうるかなーという物語ですね。
ナノボット自体が意思を持つのか、繋がった精神が融合してこうなるのか、そこら辺は『星の彼方~』で書いたつもりです。こちらも是非!というには長すぎますが、お暇と興味がございましたらお目通しください。
改めて、ありがとうございました!