多数派の意見

「兄さん、 私も賛成よ」

「何だと・・・」


シャルの言葉に驚くウェッジ。


「良く考えろ? お前と俺が赤の他人になるかもしれないんだぞ?」

「寧ろ好都合」

「好都合?」

「それはさておき兄さん

このままだと兄さんと離れ離れになるのは確実だよ、 死に別れるのがオチよ」

「だがしかし・・・」

「ふん、 男らしく無いなウェッジ」


ケイが口を挟む。


「兄離れ、 とは違うが妹が自分の意志で歩き出したんだ

喜ぶべき所だろう」

「しかし・・・」

「私も賛成だ」


ケイが即座に言う。


「な、 何故だ?」

「私は消滅だの何だのそういう事は考えん

だがしかし今までバルドに助けられてきたんだ、 そのバルドがやると言うならば

私は賛成するよ」

「私も賛成するよ」

「右に同じだよ」

「私も賛成よ」

「勿論私も」


マドカ、 グレン、 ナル、 エミリーも賛成した。


「な、 何故だ?」

「バルド隊長はレーア様にぞっこんだけど私達もバルド隊長に助けられたからね

彼に従うよ」

「・・・・・ゴハン、 お前は・・・」

「雇い主がやると言うなら傭兵の俺は従うまでだ

決まり切っているだろう」


ゴハンがきっぱりと言う。


「・・・・・トゥーンウィ、 お前は如何だ?

バルドとの思い出が消えるかもしれないんだぞ? それでも良いのか?」


縋る様にウェッジが尋ねる。


「ウェッジさん、 貴方は・・・」

「うぇっじ、 あなた、 だいじなことをわすれてる」


ラマスを制止してトゥーンウィが語り始めた。


「え?」

「このままやみずしをほっとけば

わたしみたいなかわいそうなこがせかいじゅうでうまれるよ

そうなったらこのせかいはじごくだよ、 でもそうならないかのうせいがあるのならば

そのかのうせいにかけるべきだよ」

「・・・・・」


ウェッジは俯いた。


「ウェッジさん、 僕もこれは心から賛成できない」


バルドが呟く。


「でもトゥーンウィの言う通り、 このままじゃ僕達は絶対に勝てない」

「黙ってくれ」


ウェッジが呟やきふらふらと外に出る。


「ウェッジさん?」

「少し一人にしてくれ」


そう言って外に出た。


「・・・・・それじゃあ今日は解散だな」

「女子でパジャマパーティしようか」

「何だそりゃ」


そう言いながらばらけ始める。

それぞれ覚悟を持ちながら・・・


「皆さん、 良いですか?」

「何だ、 バルド?」


皆がバルドを見る。


「・・・・・ロープ、 外して貰っても良いですか?」

「あ、 すまないな」


そう言ってバルドはロープを外された。


「ありがとうございます」

「何、 構わないよ」


バルドはロープを外されて自分のテントに戻ったのだった。

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