逃げる二人

シャリ王国の教会の支部から馬に乗って逃げ出す二つの影。


「おじさん、 一体如何したの?」

「黙っていてくれトゥーンウィ様、 あのままでは貴方の命が危なかったんだ」


彼等はトゥーンウィとラマス、 シャリ王国の聖女とその護衛騎士である。

ラマスは教会の重鎮達は取り返しの付かない致命的な改造を施す危険物を

トゥーンウィに摂取させようとした事を知ったのだ。

トゥーンウィの命を守る為に彼等は逃げている真っ最中である。


「そ、 そんな事をしようとしていたの・・・」

「あぁ!! だから貴女を逃がさなければならない!!」


事情を馬に乗りながら説明するラマス。


「おじさん・・・でも私は・・・生きていても、 もう何も無いじゃない・・・」

「そんな事を言うな!! 私には二人の娘が居た!!

二人共死んでしまったがかけがえのない娘だった!!

死んだ娘達がこうして命の危険に有る貴女を放置する事を良しとしない!!」

「おじさん・・・」

「う!!」


ラマスは馬を止めた。

教会の追手が先回りしていたのだ。


「おじさん・・・」

「ここで待って居ろ」


ラマスは剣を抜いた。


「ラマスよ、 今なら見逃してやる、 聖女を置いて去れ」


包囲していた教会の騎士達が警告する。


「断る!!」

「聖女の犠牲を無駄にするのか?」

「餓鬼の命を犠牲にして生き永らえるつもりはない!!」

「ならば良いだろう、 死ね」


騎士達は一斉に襲い掛かった。


「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」


ラマスが叫びながら特攻する。

しかし騎士達の背後から大量のスシブレードが飛んで来る。


「ぐわ!?」

「ぎゃ!!」

「な、 なんだあああああああああああああ!?」


騎士達が叫びながら散っていく。


「な、 何だ!?」

「ひ、 ひいいいいいいいいいいいいいい!!」


トゥーンウィが絶叫する。


「し、 しっかりしろ!!」

「闇、 やみがやみがやみいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」


絶叫し錯乱し馬から落ちるトゥーンウィ。

そして頭を抱えて震えだす。


「ほう、 中々の闇を持っている小娘が居るな」


闇が現れた。


「な、 何者だお前は!!」

「俺は闇、 お前は?」

「・・・ラマスだ」

「そうか、 さっき襲われていたから助けてやったんだ、 礼位言え」

「・・・・・ありがとう」

「そうか、 じゃあそいつは連れて帰るな」

「・・・何を言っている?」

「俺の目的は闇のスシブレーダーの才能が有る奴を見つけ出す事だ

その娘には才覚が有ると見た、 だから連れて行く」

「話が見えんが、 そうはさせん!!」


剣を構えるラマスであった。

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