コカトリスを喰う

ウィンドゥ達が野営をしている頃、 闇達も野営をしていた。

闇が自ら包丁を握り腕を振るって料理をしていた。


「とは言っても鳥刺しだがな、 バリゾーゴン、 さっき言っていた事は真実か?」

「あぁ、 間違い無い、 こいつは血抜きをしない方が旨い」

「本当かよ」


闇達が話しているのは今日の夕飯である。

今日の彼等の夕飯は野生のコカトリスである。

コカトリスとは雄鶏とヘビとを合わせたような姿の生き物である。

サイズは2m位だろうか。


「鶏だから喰えるとは思うが旨いのか? 体が大きいから大味とかじゃないよな?」

「肉質はしっかりしているから歯ごたえは充分ある

さっきも言ったが血抜きをしない方が旨い」

「血抜きをしない方が旨いかぁ・・・」

「ジビエみたいなもんだろうか」

「いや、 そういうんじゃないんだよ

コカトリスは血抜きをすると駄目なんだよ」

「うん? どういう事だ?」

「コカトリスは草食性だ」

「おい、 さっきめっちゃ襲われたけど」

「襲い掛かるけど草食性だ、 そしてコカトリスの血には喰った草の成分が多く含まれる」

「なるほどな・・・納得した」

「ど、 どういう事ですか師匠」


ブタの男が説明を求める。


「この辺りの草を見て見ろ、 野生ネギとかハーブ類が多い

かなりの旨味成分を蓄えていると見て間違いは無い」

「その通りだ、 流石と言うべきか」

「さてと、 それじゃあ早速鳥刺し出来たから食べようか」

「頂きます」


ブタの男が鳥刺しを一口食べた。

瞬間脳内にイメージされたのは口いっぱいのネギとハーブである。

形容するのならば肉のメントス、 ネギ味である。


「おぉ・・・食べていた物の味がダイレクトに来る・・・

けど肉の味がしない・・・何かスースーする」

「どれどれ・・・」


闇が一口食べる。


「・・・・・確かに風味は凄いけど血抜きした方が絶対旨いだろ」

「えぇー!? そんな事無いだろぉ」


ぼりぼりとコカトリスの骨を喰うバリゾーゴン。


「・・・骨食うのか?」

「うん、 俺は主食岩だし、 固い物は結構好きだぜ?

特に黒曜石は旨い」

「「・・・・・」」


闇とブタの男は確信した、 コイツ味音痴だと。


「ま、 まぁ兎も角、 食おうか」

「そうですね、 勿体無いですし」


コカトリスはスープの出汁にして食べた。

癖のあるスープが取れたので魚介と混ぜて食べたいと思った闇であった。


「所で四天王とかって食えるのかな?」

「いや・・・えぇ・・・それは・・・ないでしょー・・・

貴方美味しいからって人間喰うか?」

「無いかぁ・・・」


がっかりする闇であった。

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