同盟成立

ダースシ・オーモリはアジトに戻って襲撃者を尋問していた。


「お前さん達、 エイは知って居るか?」

「エイ・・・って魚の?」

「そうそう魚のエイだ、 煮つけにすると旨いんだ」


ダースシ・オーモリがエイを取り出す。


「で、 だエイの尻尾には毒が有るって知って居るか?」

「初めて聞いた」

「そうか、 刺されたら割と偉い事になるんだが・・・」


エイの尻尾を切り離すオーモリ。


「誰の命令でここに来た?」


オーモリが襲撃者の眼前にエイの尻尾を突き付ける。


「い、 言えない・・・」

「言えない・・・そうかそうか・・・つまりスシの暗黒卿の手下と言う事か」

「ど、 どういう事ですか旦那!?」


オーモリの部下がざわめく。


「俺に逆らうって事はつまり相手はスシの暗黒卿って事だろ?

新兵器のジャイアント寿司も持って来てたしな、 まず間違い無いだろう」

「・・・・・」


沈黙、 恐らく肯定の意なのだろう。


「ふむ、 それでは一体誰がお前達のボスだ?」

「それは・・・」

「隠す必要も無いだろう」

「!?」


振り返るノーテン、 そこに居たのは首から下をマントで覆い隠した

両目が縫い合わされた男。


「よう、 私が来てやったぞ」

「ヘカトンケイル・・・何の用だ?」

「余りにも余裕で戦争に勝てそうだからな

戦争に勝った後の事を考えてこの街を乗っ取りに来た」


椅子に座るヘカトンケイル。


「この街を?」

「その通り、 海が近いこの街はとても美しい

寿司の材料も手に入る、 是非とも欲しい」

「欲しがる奴はゴマンと居るから驚きはしない、 だがお前めくらじゃねぇか」


ぎょろと縫い合わせた目が見開きノーテンを凝視する。

ノーテンの部下達は仰天して仰け反る。


「勘違いするな、 私は美しくない物を見たくないから目を閉じているだけだ」

「ふん、 それでここに来たという事はやり合う気か?」

「それも悪くはない、 だがお互いに千日手になるだろう

美的センスではお前の遥か上を行く私だがお前は実力だけは高い」

「鬱陶しいね、 じゃあお前は何をしに来た?」

「貴様に手を貸そうじゃないか」

「何?」

「お前は如何やらこの街を完全には支配できていない様子じゃないか

お前の部下じゃない連中に私の手下が爆殺された様だし」

「爆殺・・・あぁ、 そんな事をしている何処ぞの馬の骨が居たな

それでお前が俺に協力して何の得が有る?」

「そうだなぁ、 お前を観察して弱点を探るとしよう

その上でこの街を綺麗にしたら殺し合いと行こうじゃ無いか」

「ふん、 まぁこの村の掃除を手伝ってくれるのならば良いだろう

協力しようじゃないか」


手を差し出すオーモリ。


「握手の習慣はないから断る」

「あ、 そう」

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