出待ち

「暗殺!?」

「声が大きいッ」


ボグルの部屋に来たワサビが大声を上げる。


「失礼・・・しかし暗殺ですか・・・」

「そうだ・・・あの闇とブタの顔は暗殺は無理だろう

しかしヴィネガーとアサージならば暗殺は出来る筈だ

寧ろ今の内に殺しておかなければ手が付けられない」


ボグルが語る。


「アサージは洗脳されている、 ヴィネガーも闇寿司の思想に染まっている

こうしなければこの国の将来が危うい」

「・・・闇に報復されないでしょうか?」

「奴がその事について文句を言ってきたら”ヴィネガーは弱かったから殺された”

と言い返してやろう、 強さ云々を散々語って来たんだ

この位の事は見過ごされる筈・・・」

「しかし暗殺ですか・・・影の者をいつの間に手懐けていたのですか?」

「・・・・・」


彼が手懐けていたのは警備兵である。


「まぁ良いだろう、 そろそろ」


コンコンとドアがノックされた。


「誰だ?」

「わたしです、 ヴぃねがー様を暗さつして来マシタ」

「・・・・・」


ボグルはドアの前に立つとドアに思い切り剣を突き刺した。


「何を!?」

「さっきの声からして操られている!!」


ドアを蹴破るボグル、 すると外には大勢の兵が武器を構えていた。

揺れていたり、 目の焦点が合っていなかったり明らかに尋常では無い。


「なるほどヴィネガーを殺しに行ったら洗脳されたと言う事か」

「如何します兄上・・・」

「決まっている、 この人数を相手に勝てる訳が無い、 ここは逃げる」


そう言って部屋の奥に引っ込むボグル、 ワサビも追従する。

王族の部屋にはそれぞれパニックルームが存在する。

パニックルームとは不法侵入者が発生した際に

一時的に避難するために設置しておく部屋である。

王族など身分の高い者の部屋には必ず付いている、 そして王族のパニックルームは

特別製である、 パニックルームから外に出られる通路が存在するのだ。


「この城から逃げるぞ」

「逃げるんですか・・・」

「あぁ、 もう駄目だ、 あの闇という男

勇者所か魔王よりも更に悪質だ、 あんな奴をこの世界に招いてしまったのは

我々のミス・・・ここは生きてこの国を脱出して奴の脅威を世界中に知らしめねばならない」

「・・・・・」


ワサビはギリッ、 と歯軋りとした。

ボグルも手が震えている。

パニックルームから秘密の通路に出た二人。


「しまった・・・・・」


自分のミスを悔やむボグル。

王族のパニックルームから外に出られる通路は全て同じ所から出る。

それならば同じ王族であるヴィネガーの部屋からも同じ通路に出られるのだ。


「待ち伏せていたか」


通路に既にヴィネガーの影武者が佇んでいた。

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