出遅れを憂う

「まず私が寿司ネタにするのは孤児の肉だ、 孤児はとても可哀想な存在なんだ

両親から愛情を注がれる年齢にも関わらず両親が居ない、 とても可哀想な存在なんだ

そして可哀想な事に彼等の未来はとても暗いんだ、 暗黒と言って良い

彼等の未来はとても制限されている学業、 就職、 結婚

全てにおいて孤児と言う肩書はマイナスに作用する、 そして暗黒が深い者は

その闇を周囲に振りまくんだ、 闇のスシブレーダーが周囲を攻撃する様に

孤児も未来においては周囲に迷惑をかけるんだ」

「・・・全ての孤児がそうとは限らない」

「そうだろうとも、 だがしかし・・・彼等は可哀想な存在なんだ・・・

だから私は美味しい寿司ネタにして食べて貰って社会に貢献させようとしているんだ・・・」


涙を流すセキユー。


「私にはこうするしか彼等を救う事が出来ない・・・」

「セキユーさん、 僕も孤児でした」


バルドがセキユーに向かって言う。


「だけど、 僕はお嬢様、 レーア様に救われた

孤児でも救う方法は他に有るでしょう」

「愛を与えて慈しみ育てるとか?」

「そうです」

「駄目だ・・・」


ごぼっ、 と血を吐くセキユー。


「何故!!」

「もうやったんだよ!!」


セキユーの目が見開かれる。


「私は彼を愛した!! 育てた!! 慈しんだ!! 他の子と同じ様に!!

だけど彼は駄目だった!! 愛で闇を掃う事は出来なかったんだ!!」

「・・・何の話ですか」

「どうやっても駄目な子は居るんだよ!!」


げぼげぼと血を吐き続けるセキユー。


「だから・・・どんな子でも私は寿司ネタにして美味しく食べて貰う方法で

私はこの子達を救うしか無いんだ」

「・・・・・セキユーさん、 アンタその傷ではもう助からねぇよ」


ゴハンが静かに言った。


「まだだ・・・まだ・・・」

「如何するつもりだ?」

「確かに私の内蔵はバラバラ・・・だけども眼の前に新しい内蔵が有る・・・」


そう言ってバルドを見るセキユー。


「孤児ではサイズは違うが私と同じ位の背格好の君なら

君の臓腑ならば今すぐに詰め替えれば命は繋げられる・・・」

「・・・・・その状態で戦うつもりですか」

「・・・・・」


血塗れになりながらスシを構えるセキユー。

致命傷を負った、 半死人、 どころか八割死人のセキユーだったが

彼から溢れるオーラは生半可な物ではなかった。


「・・・・・バルド、 全員で行くぞ」

「分かっています、 一人では勝ち目が無い」

「行くわよ・・・」


バルド、 ゴハン、 グレンもそれぞれスシブレードを構えた。


「「「3, 2, 1, へいらっしゃい!!」」」


それぞれスシブレードが射出された。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る