スシブレーダー、ピザを喰う

ファウンデーション教国の兵士の士気は高い。

それと言うのも・・・


「はい、 この箱に触って」

「はい」


ピザボックスに触れる兵士、 するとピザボックスから好みのピザが生成される。

この摩訶不思議なピザボックスのお陰で兵の士気が高まり

更に食費も減ると言う二段構えである。

ピザのカロリーは訓練で相殺されるから良しとしよう。


「しかしスシブレードが部隊として認められるとは驚きだ」


紫のオールバックのスシブレーダーラルフが呟く。


「そうかい? 先の戦いでは結構活躍したじゃない」


スシブレーダーグレンがヘラヘラと笑う。


「まぁスシブレーダーとしてこれから前線に出るとか考えたけどよ

俺達やっていけるかな?」


ウェッジが不安そうに声を絞り出す。


「どういう事?」

「ヤミ・マスターやスシの暗黒卿達に勝てるかなって事だよ」

「・・・・・」


辺りのムードがシン・・・となる。


「馬鹿かよ」

「下らねぇ」


スキンヘッドのグリードと

もじゃもじゃドレッドヘアの大柄なゾーバがビール片手に悪態を吐く。


「・・・ごろつきが」

「へっ、 家柄が良い人は心配症だなぁ」

「ラルフ、 勝てる勝てないか問題じゃねぇよ、 やるだけだ」


ゾーバがビールを呑んで、 ピザを貪り食う。


「ボス、 どうぞ」

「おう」


グリードが酌をする。


「だが我々は未だに未熟だ」

「敵さんも未熟だ、 考えても見ろ、 スシブレードがこの世界に来てから

まだ半年も経っていない、 俺達がスシブレーダーになってからまだ二ヶ月も経っていないが

言い換えれば経験の差は左程無いと俺は考える、 そして時間は誰にも平等だ」


ビールを呑むゾーバ。


「こっちが修行すれば相手も修行して強くなる

ならば相手がまだ未熟な今の状況は悪い状況じゃねぇだろ」

「聡明ッス、 ボス」

「差が有るとすればスシブレード、 そして魂の差だろうが」

「流石ッス、 ボス」


グリードが合いの手を入れる。


「・・・ごろつきが」

「ごろつきはごろつきでも俺は腹を括ったごろつきだ

こっちは息子を殺されているんだ」


ゾーバは元々、 鶴帝国で幅を利かせるギャングだったが

とある事件が原因で捕まり、 闇のスシブレーダー達の手によって逃げ出す事に成功した。

しかしゾーバの息子、 ジャバが闇のスシブレーダー達に殺された事を知り

復讐の為にファウンデーション教国に身を寄せて一兵卒となっている。

グリードは鶴帝国のチンピラだった。


「つまり修行は無意味、 と?」

「無意味じゃない、 修行で差は埋まらないと俺は考える

相手も修行していたら差は変わらないだろう」

「ふむ・・・」

「つまり、 一生懸命に戦えば良いと言う事だね」


魚介ピザを食べるエミリー。


「うん、 おいしい」

「絵になるなぁ」

「映えるって奴だな」

「ナウいッス、 ボス」

「ふ、 これでもヤングな心は忘れていない」

(((((いやナウもヤングも古いだろう)))))


周囲の人々はそう思ったが口に出す野暮な事はしなかった。


―――――――――――――――――――――――――――

登場したSCP

SCP-458 - はてしないピザボックス

http://scp-jp.wikidot.com/scp-458

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