希うヴォルフガング

ヴォルフガングは駐屯している、 サンシャイン王国首都ヒノモトのヒノモト城で

会談用の遠見水晶をオフにした。


「ふう・・・」

「良いんすか? 嘘言っちゃって」


左腕が巨大な蟹バサミになったヤミ・マスター、 ピースメイカーがへらへらと笑いながら尋ねる。


「良いんだよ、 お宝は僕の物だ、 これ位は報酬で貰っても文句は言わせない」

「バレても知らねーっすよ」


けらけらと笑うピースメイカー。


「君達スシトルーパーが裏切らなければ問題は無い」


スシトルーパーとはスシの暗黒卿直属の闇のスシブレーダーの事である。

階級はヤミ・アプレンティス以上から指名される

大量に選ぶ者や少数精鋭、 スシの暗黒卿の個性によって決まる物である。


「まぁね、 俺は弱い物虐めが出来ればそれでいーんで」

「楽で助かるよ」


立ち上がるヴォルフガング。


「旦那? 何方へ?」

「レーアに会って来る」

「へーい、 レーアを連れて来た奴は如何します?」

「バラムツをたらふく食わせてやれ」

「きひひひ」


笑うピースメーカーを背に地下に向かうヴォルフガング。

そして地下牢屋に着くヴォルフガング。


「ヴォルフガング様・・・ようこそいらっしゃいました」


見張りのソルジャースシが牢屋の前に立っていた。


「お客さんは?」

「そちらに」


牢屋の中には気丈そうな娘が居た。


「下がれ」


ソルジャースシは下がった。


「貴女がレーア嬢ですか?」

「貴公が指揮官か?」


牢屋の中に居るにも気丈さは失われず気品を感じさせる佇まいで逆に尋ねるレーア。


「えぇ、 スシの暗黒卿、 ダースシ・ヴォルフガングです」

「ヴォルフガング? 確かシャリ王国の名門貴族・・・」

「そこの現当主です」

「はっ、 現当主がスシの暗黒卿とは、 先祖が気の毒だな」

「気の毒にしてやりましょう、 さてレーア嬢

私の質問に答えて頂きたいのですが良いですかね?」


話は終わりと手を叩くヴォルフガング。


「質問? 何だ? スリーサイズなら教えないぞ」

「興味が有りませんね、 貴方も僕のスリーサイズには興味無いでしょう」

「確かに」


はっはっはと笑う両名。


「次、 余計な事を言ったら舌を引っこ抜くぞ」

「おや? それでは質問に答えられないなぁ」


べーと舌を出すレーア。


「減らず口を・・・まぁ良い、 質問に答えてくれたら貴女の解放を約束しましょう」

「私一人助かって何の意味が有る?」

「なら貴女の領地もセットで構わない」

「大盤振る舞いだなぁ・・・勝手にそんな事をやって良いのか?」

「こっちの望みが叶うならば問題無い」

「望みだと?」

「その通り、 死ぬ前にオーガス王が言っていたよ

『レーアの領地にはあらゆる願いが叶う物が眠っている』と

僕はそれが欲しいんだ」


ヴォルフガングは牢屋の鉄格子に顔を近づける。


「僕の望みが叶うならばこんな国の侵略なんて止めても良いと思っている」

「自分勝手だな」

「ありがとう、 それでそのお宝の場所が何処でどんな物なのか具体的に教えて欲しい

今の所、 部下に君の城を探させているが手間を省きたいんだ」

「答えないと言ったら?」

「そうだな、 この街の人達を虐殺する、 なんて如何だ?」

「出来ない事を言う物じゃないよ」


脅しにぴしゃりと釘を刺すレーア。


「何故出来ないと?」

「何故? 如何やら君の行動はダークネスシ帝国とは無関係な独自の行動じゃないか」

「そうだが」

「では君がそんな行動をして目立って他の連中にバレる事はしないだろう」

「あ・・・」


間の抜けた声を出すヴォルフガング。


「・・・・・」

「気が付いていなかったのか?」

「五月蠅いな、 君が願いの叶うお宝を素直に教えてくれれば何も問題は無いんだよ」

「誰が教えるか、 ただでさえ危険な代物なのに

お前の様な闇のスシブレーダーに教える訳が無い」

「・・・・・」


ヴォルフガングは箸を取り出した。


「仕方が無い、 本当はこんな事はしたくないのだが

話が成り立たない以上はやるしかない、 君の様な他者を思いやれるいたいけな女性に

こんな事をするのは本意じゃないんだが君が話をしたくないというのならば

こちらもそれ相応の対応を取らなければならない、 本位では無い

君が話したくなったら何時でも言ってくれ、 さっき言った通り望みが叶うと言うのならば

この国何か如何でも良い、 君だって如何でも良い、 どんな状況でも話してくれるのならば

君の解放は約束しよう」

「・・・・・」


ヴォルフガングの異様さに唾を飲むレーア。

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