なれるもんならNEETになりたい

低井ぺるこ

〜大金欲しい編〜

 ニートになりたいって人います?


 あ、急にすみませんね。俺、祐人っていいます。前島祐人。どうも。

 話は戻りますがニートになりてぇなーって思ったこと、1回はあるんじゃないですかね?

 え?ない?しっかりした人だ……。


 って、そんなことはどうでもいいんですけどね!

 これは俺が皆さんと同じようなことを考えている日常の小説です。




「はぁ、今日も疲れたな……」

 大学の講義を終えた俺は、帰路に就く。


 明日の講義は2コマ目からで、17時からバイトか……。リュック重いなぁ。


 いつもは特別なことがない限りまっすぐ家に帰るが、今日は不思議と遠回りをしたくなった。疲れているはずなのに足取りは軽い。

 横を見ると、――路地があるではないか!普段は入らないけどこんな日だし、と思い足を踏み入れる。


 路地を抜けると、人がまばらに歩いている交差点付近に出た。ゆっくり歩くと、普段意識しないモノを自然と意識する。雲の流れ、街の雑音――。

 普段気にしないことを気にしてみると案外楽しい。冒険をしているみたいだ。


 なんだろう……今日はいい事がありそうな気がする!なんでも出来る気がする!!


 そう思いながら歩いていると、先に宝くじ売り場が見えた。


 ……あれ?宝くじ売ってるじゃん!買ってみるか!


 宝くじは運が全てだと思っている。


 俺は、すぐに走って向かった。1等の大金が当たる気がする。買って早速10円でスクラッチを削ってみた。

 ――そう人生上手くいくわけが無い。当たり前だ。いくらジ○ンボ宝くじより当選確率が高くても1等なのだから。


 そんなもんか……。


 なんだかいい事がありそうだと思っていたのがバカバカしくなり、失笑してしまった。

「ふはっ、まあそうだよなー。運がいい気がする時って大体は思い込みだしな! あーあ、帰ろっと!」

 高いビルが立ち並んでいる隙間から見えている夕陽を眺めながら帰った。

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なれるもんならNEETになりたい 低井ぺるこ @Peruko3

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