第13話  おっさん企む

「自己開示」


 おっさんの目の前に文字列が並んだ。


 文字列が並んでいる時は時間が止まる利点があり、


 周りの動きも停止する。


 しかし、タイムリミットは10分であり、


 それが経過すると自動的に解除される。


 おっさんはその10分間を利用し、


 思考時間を設けることにしたのである。


 おっさんはオーク(10号)との戦い、


 この世界での立ち回りの仕方について考えた。


 条件は次の通りだ。


 1.自分の立場の確立

 →これは、周りから見たおっさんがどんな存在だと認識してもらうかである。


 レイガスとミルルには一部なスキルを知られた以上、今更隠し通すつもりはない。


 となると、冒険者組合に早い段階で登録して、


 自分のスキルとランクなるものがあれば紐付けを行いたい。


 そうする事で、冒険者であるという立場は手に入れられる。


 2.敵存在の確定化

 →女神曰く、各種族間での争いが起きているならば、


 争いの原因を作っている敵という存在がいる筈だ。


 これは実際に身体を使い、情報を得る必要がある。

 このオークの斧を叩きつけた時、


 自己開示で時間を止めたから、


 俺がオークの突進に気づいていないように周りの者は思っている筈だ。


 しかし、流石冒険者、


 レイガス達は俺のサポートに回るべく、


 オークの突進にしっかり対応しようとしてる。


 この状態ならオークにど突かれることはないだろう。


 このオークの立場がどんなものかは今は分からないが、


 へんてこゴブリンよりは力ありそうだし、無力化し、


 言語翻訳機を作成して聞き出してみよう。


 種族同士を仲介する1歩目になるだろう。


 3.自己ステータスの向上

 →これは言うまでもなく、


 仲介役を担う以上、


 戦闘狂と呼ばれる種族がいることを


 前提にした考え方だが、


 単純に死んでしまったら意味がない。


 最強=仲介役までは求めないが、


 近い戦闘力は利益はあっても損はないだろう。


「ま、こんくらいかな」


 おっさんはあと30秒で目の前の文字列が解除されるまでの間、周りを見渡す。


 オークとレイガスとミルル。


 よく見たら、密林の上にへんな奴が立っていた。


「ん?なんだあいつ。・・・こっちを見てるな。・・・戦場を観察し、情報収集か?ふむ・・・逆に利用するか」


 おっさんはニヤリとし、戦闘の時間に戻るのであった・・・

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