第40話 ヒロ、覚醒する (清side)
「おはよう、
翌朝も桜子はホワホワしていた。
「桜子、良かったねえ」
昨夜メッセージアプリで桜子から一部始終を知らされた
「えへへ、ありがとう」
今日も朝から桜子の顔は緩みっぱなしだし歩く姿はホワホワで危なっかしい。
「ねえ、朝もヒロと一緒に登校した方がいいんじゃない」
「え…やだ、
両手を頬に添えてクネクネする桜子。
「ふわふわ歩いてると危ないぞ。明日から朝も待ち合わせよう」
後ろから声をかけてきたのはヒロだった。ちょうど今、登校してきたようだ。
想いが通じ合って悩みが解消された結果、ヒロが桜子に対して堂々と振る舞うようになっていた。
── 誰?ってヒロなんだけど…別人!別人過ぎるよ!こんなに自信に満ち溢れて…この世の春が来たみたいな!こんな堂々とした人はヒロじゃない!本物のヒロはもっとウジウジしてて暗いもん!
清の心の声が酷い。
「うん…」
真っ赤になった桜子が堂々とした覚醒済みヒロにポーッと見惚れながら返事をする。
── 桜子にはかっこいいヒロに見えているの?このヒロが?…マジか。
「
後ろから清を支える真太郎。
「
「2人が良ければいいんじゃないか」
「……そうね」
それもそうだと納得する
「
「おはようヒロ」
「そうだ
「何だ?」
「婚約の段取りについてだ。お前たちは8歳の時にもう婚約済みだろう?覚えている範囲でいい」
── 昨日の今日で覚醒し過ぎだってば!
ちらりと真太郎を見ると真太郎も固まっていた。
「真太郎?どうした?」
固まって無言の真太郎に問いかける横で、桜子がヘナヘナと崩れ落ちた。精神の限界を迎えたようだ。
もちろん覚醒済みのヒロが桜子の腰に手を回して抱き寄せて支えた。
「心配するな、プロポーズはちゃんとする。シチュエーションもばっちり用意するつもりだから楽しみにしておけよ」
抱き寄せられたままキスの距離でそんなことを囁かれて桜子はショートした。
「…きゅう」
桜子が気を失った。
「桜子!?」
「クポ!」
ヒロが桜子をお姫様抱っこで保健室に運んだが、保健室でヒロだけ追い出された。
── いつでも側についていられるコバたんがうらやましいな。
覚醒し過ぎて別人なヒロだった。
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